芳賀信彦総長 就任挨拶

令和5年4月1日に国立障害者リハビリテーションセンター総長に就任しました。就任にあたり一言ご挨拶をさせていただきます。

国立障害者リハビリテーションセンターは昭和54年に「国立身体障害者リハビリテーションセンター」として開設されました。その後様々な社会状況の変化があり、平成20年には「身体」の二文字を取り除き「国立障害者リハビリテーションセンター」と改称し、障害全体を視野に入れた機関として機能を再編しました。近年は「医療から職業訓練まで一貫した体系の下で、障害者の生活機能全体の維持・回復のための先進的・総合的な保健・医療・福祉サービスを提供するとともに、リハビリテーション技術・福祉機器の研究開発やリハビリテーション専門職員の人材育成等を行い、その成果を全国に発信、普及することにより、障害者の自立生活、社会参加の推進に寄与すること」を目的に挙げ、これを達成するために、病院、自立支援局、研究所、学院、企画・情報部、管理部の各部門が力を合わせています。

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総長 芳賀 信彦

当センターが対象とする障害は、脊髄損傷、四肢の切断や先天性形成不全、高次脳機能障害、視覚障害、聴覚障害、吃音、発達障害など多岐にわたります。例えば重度の四肢麻痺を示す頚髄損傷に対して、病院では医学的管理とリハビリテーション診療を、自立支援局では機能訓練や就労移行支援を行っています。近年は脊髄損傷に対する再生医療後のリハビリテーションにも力を入れ、研究所、病院の再生医療リハビリテーション室が加わり、リハビリテーション治療と効果の検証を行っています。視覚障害に対しては、病院では評価やロービジョン訓練を、自立支援局では機能訓練(歩行やパソコンなど)を行うほか、はり師、きゅう師などの養成も行っています。また研究所では網膜の病気や再生について研究しています。高次脳機能障害や発達障害に関しては、それぞれ情報・支援センターを設置し、リハビリテーション医療や福祉サービスに関する情報提供、全国の支援拠点との連携を担っています。また障害の種別に関わらず、生活習慣病や二次障害の予防を目的とした障害者健康増進・運動医科学支援センターも活動しています。

私は当センターの目的にある「障害者の自立生活、社会参加の推進」を達成するハードルはまだまだとても高いと思っています。個々の障害者の一生涯をみれば、支援はある一時点で終わるものではありません。また障害者全体を見渡せば、障害の多様性、時代とともに移り変わる環境に適応した支援が必要です。当センター職員一同、常に先を見据えながら前進してまいりますので、宜しくお願いいたします。

令和5年4月
国立障害者リハビリテーションセンター
総長 芳賀 信彦