【シリーズ理療教育の科目紹介 Vol.8】
はりきゅう基礎実習Ⅱ
理療教育・就労支援部 理療教育課

 前号紹介の「はりきゅう基礎実習Ⅰ」に続き、今回は基礎実習Ⅱについてです。

 1.はりきゅう基礎実習Ⅱとは? 
 本科目は専門課程1年次あるいは高等課程3年次に週2時間配当されている、【灸(きゅう)】の実技科目です。年間約60時間をかけて、きゅう師に必要な基本的な施術技術や知識を学びます。医師以外の者で、灸を業とするには「きゅう師」免許が必要となっています。

 2.灸(きゅう)施術とは 
 灸施術は、松尾芭蕉の奥の細道に『三里に灸すゆるより』とあり、旅路での足の疲れを癒したり、また、吉田兼好の徒然草に「40歳以上の者は三里に灸をすると、のぼせ(高血圧)を引き下げる」というように、灸の効果というのは昔から伝えられてきています。
 実際に、灸施術を行うためには、蓬(よもぎ)から作られた艾(もぐさ)を円錐状に捻ること、大きさは親指大(母指頭大)の練習から始まり、米粒大の大きさまで捻る練習をします。また、隔物灸という塩やショウガなどを皮膚と艾の間に介在させて行う灸法も学びます。

今まで火を見たことが無い、あるいは火を付けたことがない(ライターでの点火など)利用者にとっては、その作業自体がとても難しく、苦労しながらその取り扱いを含めて熱心に練習に取り組んでいます。

 3.おわりに 
 はり施術同様、灸施術もまた「見えないからできない。」「見えないから仕方がない。」という考えでは、きゅう師の資格を取得しても宝の持ち腐れになってしまいます。視覚に障害があっても灸施術を安全かつ積極的に行うためには、はりきゅう基礎実習Ⅱでの技術の習得、さらには日々の「おきゅう」への興味が重要となります。
 近年、お灸女子という言葉があるように、社会的に灸に対する認知度は上がってきています。利用者の方々に少しでも灸の有効性を体験してもらい、次年度のはりきゅう応用実習Ⅱ、さらには卒業学年時におけるはりきゅう臨床実習につなぎ、資格取得後に社会のニーズに応えることができるような「きゅう師」の育成を目指しています。
(文責:佐取幸枝)

写真:お灸の様子