アジア太平洋地域リハビリテーション関連職種教育機関調査

病院 柴田貞雄
更生訓練所 服部兼敏
日本社会事業大学 植村英晴

 平成9年度、アジア太平洋地域のリハビリテーション関連教育機関の調査を行なった。事前調査によって13ヶ国、111校を選定し調査票を送付した。うち10ヶ国、28校から回答を得た。結果は以下のとおりである。

* 設立機関は、民間団体15校、政府機関11校、NGO2校であった。
* 運営資金の提供者は、民間団体14校、政府機関12校、NGO2校であった。
* 設置の承認は高等教育機関資格審査委員会17校、政府機関8校、学会団体1校によって行なわれた。2校は審査を受けていなかった。
* 入学資格は高校卒19校、大卒5校、関連分野での就労経験2校、中卒1校、特に定めていないが1校であった。
* 学生の選抜は面接、入学試験、国による統一試験、推薦、出身校における成績などである。
* 修学年限は、国により就学制度自体が異なり集計できなかった。
* 学生数は25人から1000人以上まで様々である。
* 取得可能学位は、学士号16校、準学士8校、修士4校であった。
* 免許は理学療法士が一番多く13校、その他4校、作業療法士3校であった。
* 卒業生の就職先は、リハセンター、病院施設などである。
* 24校が国際協力事業への参加意思を示していた。
* 教官の学位水準は博士29%、修士14%、学士47%であった。

 現在、インターネット経由で調査を継続している。その結果、以下のことが明らかになりつつある。中進国以上では、博士レベルの教官の獲得に成功し、大学院レベルでの教育が行なわれつつある。しかし、この教育は必ずしも地域レベルのリハビリテーションサービスに結びついていないようである。インターネットによる情報の伝播によって先進国との差が縮小しつつある。特に英連邦諸国でグローバル言語としての英語を用いる諸国は有利な状況が生まれつつある。各国の先端養成機関と比較したとき、日本の後れが顕在化しつつある。当センター学院を含め早急に強化策をとる必要があろう。

 今後は、調査結果をインターネット上に開示し、養成機関に関わる情報発信の中核となるように務めてゆきたい。また痛みを伴うが日常的なリハセンター業務全体をグローバル・スタンダードに引き上げることで、このセンターを真の意味で「WHO指定研究協力センター」にする必要があろう。




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