高次脳機能障害モデルスケジュールの作成と試行

病院 高次脳機能障害支援
モデル事業病院部会
三輪隆子・浦上裕子・角田尚幸・川松生湖・川村のぶ子・北村昭子・久保明夫・四ノ宮美恵子・清水健・白坂康俊・高岡素子・横田美恵子・長島緑・西川民子・林弘美・三刀屋由華・餅田亜希子・森田稲子・山本正浩・山本吉晴・吉田由美子・長岡正範

 高次脳機能障害支援モデル事業病院部会の活動の一つとして、記憶障害・注意障害・遂行機能障害等を中核症状とする高次脳機能障害患者の適切な医学的訓練プログラムの確立を検討している。今年度の取り組みとして,日常生活が自立し復職・復学が目標となるレベルの高次脳機能患者の訓練スケジュールを作成し、平成13年6月から試行しているのでその経過を報告する。
 これらの患者は、身体機能が復職・復学可能な状態になっても,高次脳機能障害のため就労や就学に困難をきたすことが多い。また、本人や周囲が障害を十分に認識できないことがさらに困難を増大する。これに対応するためには,医学的リハビリテーションの段階から、できるだけ就労・就学場面に類似した環境を設定し,その中で患者の問題点を明らかにし、障害の認識を高めていく必要がある。その上で,個々の問題点について患者にあった適切な対処法を検討し、その情報を患者本人だけでなく家族や職場学校関係者等に情報提供し、社会復帰後適切な対応が得られるよう環境調整することが必要である。
 しかし、従来の医学的訓練プログラムではこの問題に十分対応できなかった。そこで、我々は、現在の病院環境で可能な範囲で、@多職種が互いに連携するチームアプローチをとる。A就労・就学環境にできるだけ類似させる。を目標にモデルスケジュールを作成した。具体的には、月曜日から金曜日まで途切れなくスケジュールを設定、一時間以上の訓練時間枠を設定、グループ訓練をできるだけ多く導入した。現状の病院訓練スタッフの人的配置から、一時期に対応できる患者は4名までとした。
 上記モデルスケジュールを平成13年6月から12月まで、6名で試行した。対象患者は、20歳から53歳で、男性5名、女性1名。原因疾患は外傷性脳損傷4名、脳血管障害2名。4名は入院、2名は外来で訓練を試行した。外来患者1名は経済的問題から途中で脱落した。他の5名は試行上特に問題はなかった。
 今後の課題は、患者の選択条件・訓練内容・訓練効果の評価尺度の検討である。




前頁へ戻る 目次へ戻る 次頁を読む