病院 第一機能回復訓練部 | 北村昭子・藤本茂記・梅崎多美 |
更生訓練所 | 石渡博幸・佐藤徳太郎 |
運動療法部門の体育においては、入院患者や職能入所者の訓練手段の1つとして、また職リハの体育や入所者クラブ活動においても、ツインバスケットボールを積極的に取り入れている。そこでツインバスケットボールが及ぼす効果を検討するために、頸髄損傷を中心にアンケート調査を行った結果を報告する。
日本ツインバスケットボール連盟登録の34チーム(340名)と未登録チーム16チーム計50チームにアンケートを送付した。
郵送によるアンケート調査。
(1)プロフィール
(2)頸髄損傷の基本的障害から発生し易い合併症について
(3)スポーツ実施に伴うスポーツ障害について
(4)身体機能・動作等への影響について
(5)生活・精神的状況への影響について
(1)回答者の状況
頸髄損傷者(255名)、脳性麻痺(31名)、神経・筋疾患(11名)、その他(9名)、総計306名。
(2)頸髄損傷者の状況
受傷より平均150カ月(12.5年)を経過し、医学的リハビリテーションを終了した一般社会生活(職業訓練校在職者を含む)を送っている頸髄損傷者255名中、男性246名平均年齢32.94歳、女性6名平均年齢29.40歳(5名)。
(3)アンケート結果
@競技・練習中の失禁(尿、便)はほとんど見られない。
A褥創の発生もほとんど見られない。
B競技・練習中のスポーツ障害も打撲、捻挫、骨折等の重篤なものはほとんど見られない。
C体力、車椅子走行・操作力向上にツインバスケットボールの影響が大きいと感じている。
D社会生活面では外出の機会や交際範囲の拡大、生活が楽しくなった等にツインバスケットボールの影響が大きいと感じている。
E精神的な側面においてはツインバスケットボールの影響はあまり感じていないようである。
重度の障害を呈している頸髄損傷者を中心に、ツインバスケットボールは長期に渡り安全に行われている。さらに体力の維持・強化や生活範囲の拡大等にも少なからず好影響を与えていることが推測される。