脳機能系障害研究部 高次脳機能障害研究室流動研究員の高嶋ゆふ子です。 私が現在行なっている2つの手話の研究について紹介します。 ひとつめは、日本手話の記述的研究です。 日本手話は、日本で「ろうしゃ」が使っている日本語とは異なる言語です。 例えば「私は足が速かった」。日本語では形容詞に「た」をつけて過去の状態を表すのですが、日本手話の場合は、過去の状態を表すのに形容詞の後ろに何かをつける方法は使いません。このような基本的な文法項目の網羅てきな文法記述を作っています。 手話の文法の記述では、しゅし単語を日本語に訳して並べて書くことが多いです。非しゅし要素、手で表されるしゅし単語以外の、顔の動きやからだの向きも文法を示すので重要です。非しゅし要素は複数が同時に表されるので、注目するものだけ取り出して書くこともありますが、詳細まで映像に残すべく、ろうしゃと例文の映像を撮影し、それにアノテーションをつけて日本手話の文法を整理しています。 記述研究とは別に、ろうしゃの手話の脳内処理について研究を進めています。手話をろうしゃが見るとき、ちょうしゃが文を読んだり聞いたりするのと同じ脳内活動があると言われています。しかし、非しゅし要素がどのような処理をされているのか、あまりわかっていません。コロナかではマスクをつけて話すことも増えましたので、顔の一部が見えないと頭の中で何が起こるのかをえふえむあーるあいで調べる実験を準備しています。 この実験は現在ネイティブ・サイナーの参加者を募集していますので、ご興味のある方は、ぜひこちらのアドレスまでご連絡ください。