障害工学研究部,自立支援ロボット技術等研究室で実施している, 遠隔操作システムを活用した障害者の社会参加機会の拡大に関する研究開発についてご紹 介します. 情報通信技術の発展により,外出が困難な脊髄損傷などの重度肢体不自由者がリモートで 活躍される場面が増えています. 近年では,ロボット技術の発達により,活躍される空間が,居宅外のリアル空間にまで拡 大してきています. 移動機能により,リモート観光や,リモート案内が可能になりました. さらに高度なロボットアームの機能により,リモートでカフェでの給仕や,バリスタ業務 が可能になりました. これらを背景に本研究では2つの課題について検討しています. 一つは,リモートからリアル空間での業務に就労できる選択肢をさらに拡大することです. もう一つは,移動やロボットアームを用いた作業を,素早くかつ正確に行えるようにして, 臨機応変な業務を実現することです. まずは選択肢の多様化のために,私たちは,介護専門職のアシスタントとしての可能性を 検討することが,入り口になると考えました. 重度肢体不自由者ならではの気づきを活かせたり, 社会問題となっている介護専門職の負担を減らせたり, バリアフリー環境をロボットの操作に活用できたり,複合的なメリットが見込まれるため です. そして臨機応変な業務の実現のために,操作がシンプルなフォークリフト型ロボットを開 発しました. 右上に示すような様々なアシスタント業務に共通する作業を,素早く・正確に行えるよう に, 認識の難しい奥行き情報を邪魔にならないように可視化するなど,映像表現の工夫を行っ ています. 以上です.