福祉機器開発部を紹介するページです。 【画像】  福祉機器開発部のシンボルマークを左上に掲載しています。  車椅子のマークです。 【ミッション(使命)】  ひと・生活・もの − ユーザの思いを支える福祉機器の開発と評価について  研究しています。 【研究方針】  当事者発の考えを重視し、現場密着型を基本として、研究活動を実施しています。  先端福祉機器の開発、工学的試験評価と規格、臨床評価と適合、精神・認知機能  支援機器を柱とし、障害者・高齢者の自立と社会参加の促進、QOLの向上に寄与  することを使命としています。 【部の詳細説明】  福祉機器開発部には、5つのプロジェクトがあります。  各プロジェクト毎に説明します。 【3Dプリント自助具の開発と普及促進】  上肢を使った作業を補助するための自助具は、ニーズが多岐にわたるため、作業  療法士が手作りすることもしばしばです。そこで、近年低価格化が進む3D  プリンタを、自助具製作に応用する研究を進めています。これまでに実現でき  なかった複雑な機構を有する自助具も、安価に製作できるようになります。  また、自助具の形状データを簡易に作成するための設計支援手法の開発や、3D  プリント自助具の長期有用性評価を通して、その普及にも努めています。  【画像】弊機関の自立支援局で評価中の3Dプリント自助具の写真です。      電気シェーバー用に作成した3Dプリント自助具と、電気プラグを      コンセントに抜き差しするために使用する3Dプリント自助具を      紹介しています。  【画像】タイピング用自助具の設計支援システムの写真です。      スティックのパラメータを調整する画面を表示しています。      自助具の板の厚み、手の甲の幅、手の甲の厚さ、スティック部の長さ、      自助具の横幅、挿入ガイドの長さをミリ単位で設定することができます。      また、スティック部の角度とガイドの角度を設定できます。      さらに、スティック使用時の回転方向が水平か垂直か、      スティックキャップの使用の有無や、サイズが大か小かも設定できます。 【AI・ロボティクス技術を用いた先端福祉機器研究開発】  近年目覚ましく発達するAIやロボット制御技術は、障害のある方にとって、とても  有用です。福祉機器をより使いやすくしたり、高機能にしたりする技術として期待  されています。ここでは、その技術を用いて障害者特有の体温や体調の急激な変化  といった複雑な現象のモデル化や変化予測・調整方法などを研究開発しています。  ■頸髄損傷者の体調変化に関する研究   ●暑熱環境下における体温変化のモデル化と予測アプリの作製   ●体調変化を予測するための計測システムと予測方法の構築  ■重度肢体不自由者の運動・姿勢に関する研究   ●ジョイスティック操作能力に基づく電動車椅子コントローラ技術の開発   ●長時間安全に作業できる座位姿勢制御の研究  【画像】頚髄損傷者用体温予測アプリの画面の例です。      体温が高温になり危険となる体温(40度)を赤線、注意が必要な体温(38度)      を黄色の線で示しています。リアルタイムに体温の変化をみられるように      なっているため、注意が必要な体温を越えた場合には、すぐに体温を下げる      ための処置を行うことができ、その効果をリアルタイムに確認することが      できます。 【短下肢装具の破損事例収集】  短下肢装具の安全性の向上に役立てるため、破損した装具の写真および関連情報を  収集するアプリを開発し、全国の義肢製作所の協力を得て、破損事例を収集分析  しています。  ■破損事例収集システムの構築   ●簡単な操作で、破損事例を収集できるシステムを構築   ●スマートフォンで破損装具を撮影添付   ●プルダウンメニューから関連情報を選びタッチ操作で入力  ■破損事例の収集   ●主構成、破損箇所・内容、費用他、ユーザ特性を収集  ■破損事例の分析   ●装具の種類や破損部位別の事例分類   ●使用期間や年齢、体重など、ユーザ特性との関係分析  【画像】スマートフォンで破損事例収集システムにデータを入力している写真です。      破損装具の写真を添付した後で、プルダウンメニューから関連情報を選択      してタッチ操作で入力している様子を撮影しています。 【福祉機器の臨床評価の科学性向上に向けた取り組み】  近年、障害者を支援する機器に対して、その効果についての科学的な根拠を期待  する声が高まっています。いろいろと制約がある中で、信頼性のより高い、量的に  比較可能な計測や研究デザインが必要であり、その確立に向けて取り組んでいます。  ■車椅子利用者の座位姿勢の定量的評価に関する研究   ●既存技術を応用した、より簡便な姿勢計測システムの開発   ●当研究所で開発された薄型センサを応用した座面せん断力の計測  ■多数の被験者が確保しにくい状況下で科学性を高める方法に関する研究   ●医薬品・医療機器分野などを参考に応用可能な方法論を抽出  【画像】車椅子に座った状態で骨格の位置を確認するスケルトンモデルの      デモンストレーションをしている画像です。 【高齢者の記憶や認知機能低下に対する生活支援ロボットの開発】  高齢者の自立・自律した生活を維持・促進するために、アクションリサーチ(住民参加  型研究)という研究手法を採用し、日時やスケジュールなどの生活に必要不可欠な情報  を伝える生活支援ロボットを開発しました。現在、地域利用のための研究をしています。  ■在宅高齢者の実態把握   ●認知機能低下が疑われる人ほど、近所の人との会話・外出が少ない  ■開発したロボット   ●名前の呼びかけ・日付やスケジュールなどの情報提示・朝晩の挨拶などを、    会話を通して提供    【画像】開発したロボットを利用された高齢者の方お手製の服をロボットが        着ている写真です。  ■住民による利活用モデル・運用モデルの考案   高齢化しても、地元とのつながりを維持するために活用   ※ロボットの想定利用者は介護保険利用前です。   【画像】高齢者の方々が参加されているサロンの様子  ■社会実験で抽出された導入モデル   【画像】地域のキーパーソンであるサロンなど主催者、民生委員、区長、老人会長、       地域福祉推進委員が地域包括ケアシステムと連携するとともに、サロンなどで       ロボットを紹介し、記憶や認知機能低下のみられる高齢者ご本人を支える       モデルの図です。