運動機能系障害研究部を紹介するページです。 【画像】  運動機能系障害研究部のシンボルマークを左上に掲載しています。  トレッドミルの上を歩いている写真です。 【ミッション(使命)】  運動機能障害に対する治療法・リハビリテーション技術の開発をしています。 【研究方針】  当研究部は研究活動を通じ、臨床リハビリテーションにおける課題、あるいは  障害者の社会的ニーズに対し、先端的な研究手法を駆使し解決法の探索と  エビデンスに資するデータの提供を行います。また一方で、長期的視野に立って  運動機能障害に対する新たな治療法の開発や新しいリハビリテーション技術の  創出につながる基礎的知見を探索し、その知見を臨床現場に還元することを  目指します。 【部の詳細説明】  運動機能系障害研究部には、4つのプロジェクトがあります。  各プロジェクト毎に説明します。 【再生医療と連動したリハビリテーションプロトコル構築】  脊髄損傷者に対する再生医療の治療効果を高めるリハビリテーション手法の開発を  目的としています。経頭蓋磁気刺激などの電気生理学的評価、動作解析や歩行  ロボットを用いた運動(力)学的な評価などを行い、細胞移植後の機能変化を包括的  に捉えることを目指します。改善効果を左右する要因を明らかにし、生理学的メカ  ニズムに基づく最適なリハビリテーション手法を確立します。  【画像】リハビリテーション実施に伴う中枢神経系および運動機能の評価を行う      ことによって、細胞移植後の機能回復のメカニズム、リハビリテーション      効果の検証を行います。      立位・歩行運動中の筋活動計測および三次元動作解析の画像では、身体に      モーションキャプチャー用のマーカを付けた人が歩行している写真と、      それに対応するスケルトンモデルの画像を掲載しています。また、計測した      筋肉の部位毎の筋電位の波形などを表示しています。      電気生理的手法による中枢神経系の可塑的変化の定量の画像では、Motor      Cortex(運動皮質)の皮質脊髄路興奮性の変化(運動野マッピング)を      評価しています。また、Spinal reflex(脊髄反射)は脊髄運動ニューロン・      伸張反射経路興奮性を評価しています。Spinal CPG(中枢パターン生成器)は      脊髄神経ネットワークの定量的評価を行っています。      病院再生リハビリテーション室との部門間連携のもと、再生医療実施機関との      臨床研究を促進し、脊髄損傷者を対象とした再生医療を治験段階から一般保険      診療へ移行するために、医科学的エビデンスの構築と医療実施体制・      リハビリテーションプロトコルの整備を進めています。 【グリア細胞を標的とした脳卒中治療薬の開発】  脳卒中は死亡原因の第4位を占め、運動障害をはじめとした罹患後の後遺症も多く  みられ、ADL(日常生活動作)低下の大きな要因となっています。そのため、  医学的にも社会的にも新たな治療法の開発が期待されています。私たちの研究室では  脳卒中モデルマウスを用いて脳卒中の病態を分子レベルで明らかにし、新しい治療  薬の開発につながる研究を行っています。特に、脳の半分を占めるグリア細胞を  標的とした薬剤の開発を目指しています。 【身体不活動による健康障害の分子的理解と低負荷のリハビリテーション法の開発】  長期間に渡る車椅子生活や寝たきり生活といった身体不活動の状態が続くと、  さまざまな健康障害が発生します。一方で、適度な運動は健康促進をもたらすことが  わかっています。しかし、身体不活動による健康障害の発生や運動による健康促進  のメカニズムは必ずしも明らかになっていません。身体不活動による健康障害の  発生のメカニズムや運動による健康促進のメカニズムを明らかにすることで、健康  障害を予防・改善し、障害者の健康増進や生活の向上につながる画期的なリハビリ  テーション方法の開発を目指します。  【画像】さまざまな健康障害として、認知機能低下、肝機能低下、骨萎縮、      免疫機能低下、造血機能低下、循環機能低下、代謝機能低下、筋萎縮があり、      これらの発症メカニズムの解明をしています。      健康障害の逆の作用として、認知機能向上、肝機能向上、骨量増加、      免疫機能向上、造血機能向上、循環機能向上、代謝機能向上、筋肉増加があり、      身体運動による組織恒常性維持のメカニズムを解明しています。      発症メカニズムの解明と、身体運動による組織恒常性維持のメカニズムを      解明することで、メカニズムに立脚したリハビリテーション法を開発し、      障害者の健康増進・QOL向上を目指します。 【運動麻痺者の二次障害予防研究】  運動麻痺者に多発する、二次障害としての褥瘡再発を予防する研究を行っています。  この研究は活動的な脊髄損傷者の方の他に、動き難くなったり、痛みや温度を感じ  難くなった高齢の方のためにも必要とされています。  【画像】褥瘡発生・組織破壊のメカニズムを明らかにするため、3種類の研究を      行っています。      まず、褥瘡を発生させる動物モデルの開発をすることで、身体の外部から      加わる圧迫力の大きさ、時間の影響を明らかにします。      次に、柔らかく変形する人体臀部ダミーを開発することで、身体の内部で      生じる力とずれ(剪断力)の影響を明らかにします。      最後に、病院と共に行うシーティング・クリニックにおいて、臨床で      明らかになる課題の解決と類型化をし、マニュアルを作成します。      これらの研究により、褥瘡発生・組織破壊のメカニズムを明らかにする      ことで、褥瘡を予防する方法や影響を軽減する方法を提示することが      できるようになります。また、マニュアル化によって、個人に合わせて      実行できる・褥瘡を予防する方法を普及させます。