私は自閉スペクトラム症のかたに多く見られるおとへの過敏性についての調査研究を行なっております。この研究のために、専用のスマートフォンアプリが開発されました。このアプリは実生活の中の音のデータを記録し、そのおとを変化させることができる機能があります。これを用いて当事者のかたに過敏さを感じるおとを収集していただき、自分がどのようなおとに感じたかを再現していただくという実験を行なう予定です。  この実験で収集したデータから、自閉スペクトラム症のかたが主にどういったシチュエーションでおとへのつらさを感じるのかを分析し、よりよい支援のあり方に繋げていくことを目指しております。この分析は近年盛んになっている機械学習の技術を用いて行なわれ、当事者のかた自身もげん語化できずにいた問題を発見することや、自閉スペクトラム症の方々がもつ感覚の傾向を客観的なデータに基づいて明らかにできることが期待されます。  さらに、最終的には収集したデータを活用して、外から入ってくるおとや本人の特性に応じておとをストレスなく変換してくれる『スマート耳栓』や、過敏性が起こりそうな状況で対処法を伝えてくれる『感覚過敏ナビAI』など、これまでにないタイプの支援機器を開発することを目標としております。  現在、アプリを使った実験の参加者を募っております。ご興味ございますかたはぜひご参加ください。