運動機能系障害研究部、分子病態研究室では障害者の身体不活動に伴い起こる様々な身体の異常の背景にある分子メカニズムを解明して、新しい治療法や予防法の開発につながる研究を行なっています。 研究テーマは大きく二つに分かれています。 一つ目は、骨に関する研究です。 骨は身体を支え、日常生活を送るためにかかすことのできない組織ですが、長期間の寝たきり生活や車椅子生活など運動をしないような状況では骨は弱くなってしまい、転倒などのちょっとした衝撃でも骨折してしまいます。 逆に運動を行うと、骨は丈夫になります。 私たちは、障害者の身体不活動で骨が弱くなってしまったり、運動すると骨が丈夫になる分子メカニズムを解明する基礎研究を行なっています。 この研究では、ゲノム編集技術を利用して作成した遺伝子改変マウスや次世代シークエンサーを利用した網羅てき遺伝子発現解析といった、先駆的な実験技術を導入した解析を行なっています。 この研究から、骨を丈夫にするための薬や骨折を予防するための手法の開発が期待され、障害者はもちろん、健康な子供やお年寄りの骨を守る未来を切り開くことが可能になります。 二つ目の研究は、筋肉に関する研究です。 筋肉はトレーニングをすることによって肥大し、使わないと萎縮してしまいます。特に怪我で寝たきりになったり、年取ることにより筋肉は萎縮してしまいます。萎縮した筋肉内では炎症反応が促進しており、私たちは、高齢者や障害者にも適応できる簡便な方法を用いて筋肉内の炎症反応を抑えることによって筋肉の萎縮を抑えられないかを調べています。またそのメカニズムを調べ、怪我後の早期回復や高齢者が健康な生活を送るのに役立てることを目指しています。