高次脳機能障害者の地域生活支援の推進に関する研究    主任研究者 中島八十一

研究の目的

 すべての都道府県に、高次脳機能障害者を支援する拠点機関を設置し、支援コーディネーターを配置する。
 地域で完結する地域支援ネットワークを構築することにより、高次脳機能障害者が居住地で暮らしながら、能力に応じたあり方で、自立した日常生活及び社会生活を営むことができるようにする。
   地域ごとの問題点を明らかにし、対処法を講じ、実践する。

研究でわかったこと

 平成23年度末までに全都道府県に70か所の支援拠点機関が設置された。支援コーディネーターは合計115名配置された。  平成23年度1年間の全支援拠点機関における相談支援件数(のべ件数)は合計64,695件であり、21年度の約2.2倍だった。平成21年度から23年度までの3年間合計で133,462件だった。
 精神手帳用診断書の改訂に当たり、改定案を作成するとともに、信頼性と妥当性の検証を実施した。
 高次脳機能障害者の社会生活実態調査を実施した。登録症例は120名であり、発症から回答した支援拠点機関に入院するまでの平均日数は96日、平均在院日数は97日であった。認知リハビリテーションは、作業・理学・言語療法を組み合わせて1日あたり各1から2単位を約3か月継続するというのが標準的であった。発症1年後では復職と一般就労の合計が23%であった。
 高次脳機能障害をもち画像診断陰性である症例は相談者全体の1.7%であった。
 中学生・高校生時期の就学支援は十分な支援体制が取れていない。
 失語症患者は就労支援とコミュニケーション支援の両方を必要としていたが、福祉サービスの利用は限定的であった。

結論とこれからの課題

 全都道府県に支援拠点機関が設置され、年を追うごとに活動量は増加した。高次脳機能障害支援普及事業は充実した成果を上げている。
 失語症者を含めて就労率の向上を図る必要がある。
 学童期まで含めて年少者の就学への道筋の整備が必要である。
  画像陰性例については基礎的な条件が明らかになったので、取扱いの標準化を図る必要がある。  


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