近年、教育を受ける権利、保健・労働・雇用の権利、社会保障、余暇活動へのアクセスなど障害者権利保障に関する取組が進んできています。
2008年に改正された障害者保障法では、国はすべての障害者に対して、リハビリテーション、教育、労働・就業、文化的生活、バリアフリー環境、社会保障などを権利として保障することが明記されました。また、2006年に改正された義務教育法によって、障害児の義務教育の保障が国および地方政府の責務として明記され、自閉症スペクトラム児も法的な裏付けをもって義務教育の対象となりました。2017年に改正された障害者教育条例においては、義務教育の保障や、職業技術教育と就学前教育の充実、高等中等以上の教育を徐々に発展させるという今後の障害者教育の方針が示されました。
また、教育部基礎教育司から、第二期特殊教育を推進する計画(2017~2020)に関する通知が発出され、2020年までに、人口30万以上の市・自治区(地区)と障害児童が比較的多い県(市)において必ず特別支援学校1校の設置を実現し、条件に満たない市町村においては、行政区域内の特別支援学校で障害児童を受け入れる方針が示されました。更に、各地域で自閉症児を受け入れる特別支援学校(部)の設置を推進する方針も示されました。
2016年に、国務院(日本でいう「内閣府」にあたる)から「十三・五」障害者の基本的生活を保障する計画に関する通知が発出され、低所得障害者の生活補助制度と重度障害者の介護補助制度の構築が示されました。重度障害者を対象とする介護補助制度では、障害程度が1級、2級で長期的介護を必要とする各種の重度障害者を対象に、条件を満たす地域では重度以外の障害者と精神障害者(発達障害者を含む)及び他の障害者へと対象を拡大して、補助金を交付する方針が示されました。
2016年には「十三・五」障害者入所サービス計画に関する通知が発出され、「十二・五」計画に引き続き、政府がサービスを購入する方法で、基準を満たす知的障害者、精神障害者、各種の重度障害者が入所サービスを受けられるよう支援を行うこととなりました(※注)。
※注:「十二・五」計画において、就業年齢に達していても就業に至らず在宅で長期的な介護を必要とする知的障害者、精神障害者、各種の重度障害者を対象とする入所支援(デイサービスと居宅サービスも同時に)に関する基本的な枠組を示し、今後の入所支援の在り方に関する政策が示されました。