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発達障害に気づく


 保健・医療分野の専門家は、どのような機会に、どのような点から発達障害に気づくのでしょうか。また、気づいたときにはどんな対応があるのでしょうか。ここでは、そのポイントをご紹介します。

医療分野における発達障害への気づきと対応 

 

さまざまな課題の背景にある発達障害

 医療機関では、攻撃的・反社会的な問題行動、不登校・ひきこもり、そのほか、さまざまな精神・身体症状の背景に、発達障害が隠れていたことがわかる場合があります。
 たとえば、広汎性発達障害をもつ小学生Aちゃんのケースでは、保育園のころから、毎年、年度のはじめごろ、呼吸苦やめまいなどの身体症状と円形脱毛などがあらわれていました。Aちゃんは、想像力の苦手さから新しい場面・状況に対応することが難しく、新年度の時期になるとストレスが高まって、身体症状や円形脱毛の原因となっていたのです。また、小学校低学年で不登校となった広汎性発達障害のBくんは、聴覚の過敏さが不登校の原因のひとつになっていました。
 Aちゃんのようなケースでは、新年度や新しい取り組みの前に、丁寧に説明や事前の見学などを通して見通しをたてやすくするような支援が考えられます。また、Bくんのケースでは、イヤーマフ(ヘッドフォン型の防音器具)の使用など聴覚の過敏を軽減する方法を考えてみてもいいかもしれません。
 ご家族との相談のうえ、それぞれの子どもの発達特性に応じた治療・支援計画を検討する必要があります。

二次障害から発覚する発達障害

 発達障害を持つ人たちの中には、気分障害や不安障害などの精神症状や、ひきこもりや職場不適応などの二次障害を主訴として精神科を受診するケースもあります。受身型の広汎性発達障害で発達・行動特性が目立たず、それまで未診断であったケースなどでは、診断に迷うことも少なくありません。
 まずは、“三つ組み”といわれる(1)対人的相互反応における質的な障害、(2)意志伝達の質的な障害(コミュニケーションの障害)、(3)行動、興味および活動の限定(興味・関心・イマジネーションの障害)について詳細な発達歴を聞き取り、現在の発達・行動特性についても丁寧に所見を取る必要があります。質問紙や評価尺度の使用も有効ですが、個々の設問が何を意味しているのかを充分に理解していないと、かえって的確な診断の妨げになってしまうこともあります。このほか、幼児期における多動、過剰な怖がり、感覚の過敏または鈍感さ、こだわり、かんしゃく、自傷行為、睡眠の問題などについて有無の確認が必要です。

青年・成人期の診断と支援

 青年・成人期でひきこもり状態におちいっている広汎性発達障害の人の場合、これまで未診断であったケースも少なくありません。こうした場合、就学前の療育や特別支援教育を受けた経験がなく、すでに深刻な二次障害が固定化した状態に至っていることがあります。必要な福祉サービスや就労支援などの社会資源を活用できるようになるまでに、根気強い心理療法的アプローチが必要なケースもあります。心理療法的アプローチの目標としては、対人関係上の違和感や被害感、不快感を軽減させること、現在の生活パターンへのこだわりをゆるめ、新しい取り組みへの意欲を育むことなどでしょう。

青年期・成人期の面接のポイント

 面接を進める上でのポイントをあげます。
  • 具体的で簡潔な言葉づかいなど、相談者が理解しやすい話し方を心がけること
  • 描画や作業療法的な活動、ノートやメールなどの視覚的手がかりの活用など、相談者が取り組みやすい話題や交流様式を積極的に活用すること
  • 本人自身の発達特性やこれまで経験した出来事の文脈などをわかりやすく説明すること(心理療法的アプローチ)、
  • 援助者側の考えや感情を積極的に伝え、相談者が他者の心を意識できるようにはたらきかけること

 このほか、本人が日常生活場面の不適応について悩んでいる場合などは、早い時期から社会技能訓練(SST:ソーシャルスキルトレーニング)を導入することで成果がみられるケースがあります。また、安全な対人場面や所属感を体験してもらうこと、偶発的な体験に慣れること、社会的な場面での対人スキルを増やすことなどを目的としたグループ支援が適しているケースもあります。
 知的障害のない発達障害者については、近年、精神障害者保健福祉手帳を取得し、障害者自立支援法に基づいた支援機関・制度を活用するケースも増えています。


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