函館視力障害センターロゴ

センターだより第47号(平成29年12月1日付)ウェブ版 もくじ

見えない壁を乗り越えよう2 学習(勉強)編
見えない壁を乗り越えよう3 日常生活編
センター見学のご案内
「免許保有証」ご存知ですか?
利用者募集案内
基本理念・基本方針

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1.見えない壁を乗り越えよう!2 学習(勉強)編

画像:イメージイラスト イクゾウさん40歳男性 妻と二人の子供がいる。
糖尿病網膜症で、全く見えなくなり、退職。
ここでは、視覚に障害がある人がどのように学習(勉強)しているかご紹介します。


 あ、皆さん こんにちは。イクゾウです。
 私は、某会社の経理事務の仕事をしていたのですが、糖尿病で見えなくなり退職せざるを得なくなりました。僕には、妻と二人の子供がいます。どうやって養っていこうかと途方に暮れていました。自暴自棄になっていたのも確かです。そんな私に職場の元上司が、「函館視力障害センター」を紹介してくれたのです。様々な葛藤の末「いつまでも落ち込んでいても仕方ない、あん摩マッサージ指圧師の資格を取って働こう」と一念発起したのでした。
 ただ、決めたのはいいけど、どうやって勉強すればいいのか?今の目では、教科書も読めないし、ノートも取れない…。ひたすら暗記する?どうやって?自慢ではないが、一度聞いたくらいじゃ覚えられないぞ。
 困っていた私にセンターの職員が「自立訓練を受けて、勉強する準備をしましょう」と言ってくれました。そこで、自立訓練を受けることにしました。

・<勉強するための準備1>
不安なことの1つ目は、教科書が読めないことです。
画像:DAISY録音再生機 ←DAISY録音再生機
僕はDAISY(デイジー)という形式の音声教科書を使うことにしました。
これは、しおりを付けたり、章ごとで移動ができたりするので便利です。
ロービジョンのナオミさんは、拡大読書器を使っています。
最近は、iPadで勉強する人も増えているようです。うん、これは面白い。

・<勉強するための準備2>
ノート作成。音声パソコンです。メールで資料をもらったり、参考書読むことも出来るし、大事なところをまとめたり、とても便利です。時々は息抜きに動画を楽しんだりしています。
一度聞いただけじゃ覚えられないので、録音も。これは、教科書を読む時に使っているDAISY録音再生機を使って録音します。編集も出来るので、いいですね。
写真:音声パソコン

・<勉強するための準備3>
試験の回答は、点字。ナオミさんは罫プレートを使って、マジックで書きます。この罫プレートは職員さんが手作りしてくれたようです。いいなぁって思ってたら、僕にはサインガイドを作ってくれました。これでも全盲でもサインできる。やったぁ。
画像:手作りのサインガイド ←手作りのサインガイド

・<勉強するための準備(おまけ)>
センター周辺の環境認知。つまり、歩行訓練を受けました。3年間、生活する場所ですから、必要なところに行けるように。これで、一人で病院受診、買い物、帰省することができます。
夏休みは妻と子供が函館に遊びに来るって言うし、近くの食事処でイカでも食べさせてやるかなぁ。
そのために、色々頑張って覚えるぞー。
では、また皆さんお会いしましょう。

2.見えない壁を乗り越えよう!3 日常生活編

画像:イメージイラスト ユリエさん 70歳女性 息子家族と同居
緑内障で、視野障害あり。ぼんやりと見える程度。
こんにちは。ユリエと申します。5年前に主人に先だたれて、息子家族と一緒に生活することになったのですが、最近見えづらくなってしまって…。息子や嫁は見えづらい私を気遣ってくれるのは有り難いけど、何にもさせてもらえなくて…。しかも、昼間息子夫婦は仕事で不在、小学生の孫が帰って来るまで退屈で退屈で。1日中、テレビの前に座っています。

 そんな自分を変えようと視力障害センターの自立訓練を利用する決心をしました。だけど、ぼんやりとしか見えないので、視力障害センターまで行くのは不安です。残念に思っていたら、「ご自宅で訓練しましょう」と職員さんが言ってくれました。嬉しかったです。視力障害センターの近隣であれば、自宅で訓練をしてくれるそうです。
 センターの職員は、分かりにくかった電子レンジや炊飯器のボタンに大きなぶっくりとしたシールを貼って、使いやすくしてくれました。これなら、ヘルパーさんや家族がいなくても、自分で温かい飲み物や食べ物を用意することができます。
画像:触って分かるシールの付いた電子レンジの例 触って分かるシールの付いた電子レンジ
いつもかけ過ぎちゃう醤油は、一定量だけ出る醤油さしで。これなら自分でかけられるし、健康にも良いですね。
画像:一定量が出る醤油さしの例 一定量が出る醤油さし。ヘルシーなスプレータイプも♪
 それから、音声図書の紹介を受け、音声図書を聴くための器械の使い方を教えてもらいました。最近は映画もあるんですね。画面は無くても、映画も楽しむことが出来ます。もともと本を読むことが大好きだったんです。見えにくくなり、諦めていた読書が再び趣味になって嬉しいです。

また、自立訓練では年に何回かレクリエーションを行っています。普段、出来ないことも出来るし、同じように見えない見えにくい人たちが居て、気楽でとても楽しいです。良い情報交換の場にもなりますしね。携帯電話の使い方も覚えて、メル友も出来ました。イクゾウさんやナオミさんを見ていると、私もまだまだ頑張らなきゃといい刺激になります。
さぁ、次は何を覚えようかなぁ。

3.見学のご案内

利用希望の皆様(ご家族の皆様)、福祉関係者の皆様へ
当センターでは、センターの利用を考えている方、そのご家族やお知り合いの方、また福祉関係者の皆様の見学を歓迎します。マッサージ等で自立を目指したい方はもちろん、イクゾウさん・ユリエさんの記事を読んで興味をお持ちになった方、福祉関係で「視覚に障害のある方から相談を受けるけど、センターのことはよく知らないし…」と感じていらっしゃる方々、どうぞお気軽にご連絡ください。

見学が可能な時間帯 平日(月曜日〜金曜日)9時〜17時まで(要予約)

4.『免許保有証』ご存知ですか?

画像:免許保有証の見本
 平成27年の秋、(公財)東洋療法研修試験財団から『厚生労働大臣免許保有証』を発行する、というお知らせがありました。これは、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の免許(国家資格)を持っていることを証明するためのカードです。
 免許証自体は、卒業証書のようなサイズですので、常に携帯するのは大変です。しかし、はりきゅうマッサージ師にとって、「免許を持っている=国家資格を持っている」という証明は必要不可欠です。クレジットカードサイズの持ち歩ける免許保有証は、そういった声に応えたものなのでしょう。
 免許保有証は、鍼灸関係の団体などを通じて、上記の財団に、有料で発行してもらいます。
ただし、あくまでも「私は有資格者です」と言うためのものであって、免許そのものではありません。
また、発行は希望制ですので、有資格者が必ず所持しなければならないものでもありません。
上記の財団のホームページトップの『免許保有証』のリンク先に、
最新の情報が掲載されていますので、是非ご覧ください。→ http://www.ahaki.or.jp/
(当センターでは仲介等はおこなっておりませんので、お問い合わせはお控えください。)

5.利用者募集案内

当センターでは、就労移行支援(養成施設)、自立訓練(機能訓練)の利用者を募集しております。 利用を希望される方がおられましたらご案内いただきますようよろしくお願いします。

・就労移行支援(養成施設)
仕事をしたい方…
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師を養成するための教育・訓練を行います。
平成30年度の利用開始は平成30年4月です。

・自立訓練(機能訓練)
身の回りのことを自分でしたい方…
視覚障害により日常生活動作が不自由になった方に生活技術(歩行、点字、パソコン、調理等)の習得のための訓練を行います。随時募集しており、手続きが済み次第利用開始可能です。

利用をお考えの方はお気軽にご相談ください。
  電話:0138の59の2751
  FAX:0138の59の4383
  Eメール:shien-hkdt[あっとマーク]rehab.go.jp

※当HPに利用申し込み用の各書式を掲載しておりますのでご活用下さい。→リンクはこちら


・【基本理念】
私たちは個人の尊厳と主体性を重んじ共に生きる社会の実現に向け支援します。
・【基本方針】
一 あらゆる場面で利用者の基本的人権を尊重します。
二 常に利用者の立場に立って良質かつ適切な福祉サービスを提供します。
三 利用者が社会の一員として社会、経済文化等あらゆる活動に参加できるよう支援します。
四 地域に開かれた施設として地域住民関係機関との連携に努めます。
五 公正に職務を遂行し、専門的知識と支援技術の研鑽に努めます。
画像:函館視力障害センター建物外観


 企画発行
 国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局函館視力障害センター
 042-0932 函館市湯川町1-35-20