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センターだより第49号(平成30年12月発行)ウェブ版 もくじ

誰でも簡単にできる いろいろセルフケア 〜導入編〜
誰でも簡単にできる いろいろセルフケア 〜ツボ・体操〜
見学・公開講座
市内オリエンテーション
全学年レクリエーション
視覚障害者に対するリハビリテーション研究会
利用者募集案内
見えない壁を乗り越えよう 〜通勤編〜
センター見学のご案内
基本理念・基本方針

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1.誰でも簡単にできる いろいろセルフケア 〜導入編〜

 当センターでは視覚に障害がある利用者さんたちが、あんま(按摩)や鍼(はり)、灸(きゅう)などの専門的な勉強をしています。
 そんな勉強をしている内容のうち、誰でも自分でもできる体の痛みをやわらげる方法、セルフケアについて、少しご紹介していきたいと思っています。まず今回は、導入編です。

【多くの日本人が悩まされている、つらい腰痛や肩こりなどの「痛み」】
 実はこの「痛み」は、慢性的に続くことが多く、病院で診てもらっても、はっきりとした原因が分からず、いくつもの医療機関を渡り歩く患者も少なくありません。痛みが気になるあまり、不眠や食欲不振を招き、さらにイライラや不安を感じたりする、という悪循環を招いてしまい、生活にもさまざまな支障が出てしまうことになりかねません。

〜慢性痛のイメージ〜
・天気や気温の変化を受けやすい
・痛みの強さが傷害の程度に関係しない
・消炎鎮痛薬が効かないことがある
・原因としての明確な傷害がない(治っていることも多い)
・心的ストレスで痛みが増す
・疲労、不眠、うつ状態、怒り、恐怖症などを伴うことも

【いつでも、どこでも、簡単に、セルフケア】
 でも、本格的な治療を受けるためには、お金も時間もかかってしまったりして、なかなか大変です。
 そこで、自分でもできる対処法として、セルフケアの方法をご紹介しましょう。「セルフケア」とは自分自身で症状をコントロールするための方法です。いつでも、どこでも、簡単に、お金をかけずにできるのがセルフケア。

1.痛みの強さに有効なもの:森林浴、運動
2.ストレスに有効なもの:ツボケア、ヨガ、考え方
3.継続率が高いもの:ツボケア、考え方、アロマ
4.満足度が高いもの:ツボケア(お灸)、ヨガ
5.最近、密かにブームとなっているもの: 禅リラックス法、HSP入浴法、ドライヤーお灸など

2.誰でも簡単にできる いろいろセルフケア 〜ツボ・体操〜

 ではまず、今回は肩こりのツボケアについて、簡単にご紹介してみましょう。肩こり体操もとても簡単で、いつでも手軽にできると思いますのでお試しください。

肩こりのツボケア肩こりのツボケア
肩こり体操肩こり体操

 いかがでしょうか?セルフケアにはいろいろな方法があります。
 自分に合ったセルフケアを上手に取り入れて、無理なく続けられそうなことを、毎日続けるのがとても大切です。
 今回は導入編ですので、ごく簡単なものですが、次回から、もうすこし詳しくご紹介していきたいと思っています。どうぞお楽しみに。

3.見学・公開講座

 このコーナーでは、当センターが年間を通して実施しているイベントから、実習や講座などについて、いくつかご紹介します。

〜施術所見学実習〜
 センターの外に出て現場を見学する、在学中の利用者を対象とした実習です。施術所の形態は、企業に併設されたヘルスキーパータイプ、繁華街のビルの一室、住宅街の一軒家など様々です。現場の先輩たちは、技術面の指導だけでなく、地域に密着した活動についてや、経営のノウハウなど、リアルなアドバイスをしてくれますので、皆の将来のビジョンを膨らませる役に立っているようです。

○札幌市中央区の「朝倉治療院」。 
この後、美顔鍼のデモンストレーションで、「顔がひきしまった!」と大盛り上がりでした。

○函館市堀川町の「宍戸鍼灸院」
院長が手をとって、脈の変化による臓腑の異常の見つけ方や腹部の状態の見方を指導してくれました。

〜進路別講座、実力講座〜
進路別臨床講座は、卒業を控えた3 年生が対象の講座で、年に数回実施されます。それぞれの進路や希望に合わせて、オーダーメイド的に、きめ細かな内容で実施します。

病院への就職希望者には、「ベッドから車椅子の移乗の補助」などについての実技講座を開催。

〜卒後研修会〜
 札幌や函館で実施している、卒業生を対象とした研修会です。テーマは毎回、時勢に合ったものが選ばれます。
 研修の後に、同窓会が開催されることも。

札幌で「救急救命」をテーマに実施された研修会。次にご紹介する「市民公開講座」との同時開催でした。
函館の当センターを会場に実施された「地域包括ケアシステム」がテーマの研修会。
パネルディスカッションも行われました。

〜市民公開講座〜
 当センターの「市民公開講座」は、毎回、皆様からご好評をいただいている、人気の講座です。この講座は、函館市の「まなびっと広場」と連携しています。また、上記の「卒後研修会」と同時開催することもあります。
 開催の告知は、毎年夏〜秋に当センターのブログに掲載されますので、是非ご参加ください。

テーマは色々!
・「体」すっきり!「心」晴れ晴れ!自分でできる指圧法
・腰痛、肩こりがラクになる!誰でも簡単にできるいろいろセルフケア
・「見える」を科学する 〜ものの見え方と目の病気〜 など

「美と健康」をテーマに、女性限定の講座を実施したこともあります。
今年の10 月に、札幌で「ロービジョン(弱視)」についての講座を開催しました。

その他にも…

 センターでは、各種のイベントに「自分で簡単にできる何々治療」といったブースを設置することもあります。ご要望に応じた内容での研修会も可能ですので、どうぞお気軽にお声かけください。

4.市内オリエンテーション

 当センターでは、毎年4月、就労移行支援(養成施設)の新入所の方と職員で、函館市内を散策する市内オリエンテーションを企画しています。市内オリエンテーションの目的は、新入所の方の函館市内の見聞を広めること、新入所生間の親睦を深めることを目的に企画・開催しています。

 今年は4月24日に開催し、箱館奉行所、北島三郎記念館、青函連絡船摩周丸へ出かけました。箱館奉行所では、所内の厳かな空気の中、案内スタッフの説明に、皆さん真剣に耳を傾けていました。見学後は皆さん笑顔で記念写真を撮りました。

箱館奉行所での集合写真箱館奉行所での集合写真

〜圧巻のコンサートを再現〜
 当センターでは、毎年4月、就労移行支援(養成施設)の新入所の方と職員で、函館市内を散策する市内オリエンテーションを企画しています。市内オリエンテーションの目的は、新入所の方の函館市内の見聞を広めること、新入所生間の親睦を深めることを目的に企画・開催しています。

  北島三郎記念館は、演歌界の大御所、北島三郎氏の半生を、見て、聞いて、触って、体験できる素晴らしいミュージアムでした。皆さん館内の風景を写真におさめたり、北島氏の歌に思いをはせたりと、北島三郎一色で、とても楽しまれていました。見学終盤に見たコンサートの再現は圧巻でした。


北島三郎記念館での様子北島三郎記念館での様子

〜青函連絡船摩周丸でタイムスリップ〜
 青函連絡船摩周丸は、1988年終航まで80年間本州と北海道を結ぶ大動脈として活躍した連絡船で、座席や操縦室、客室などが当時のまま残っており、実際に座席に座って外の風景を楽しめたり、モールス信号を操作できたりと、まるで当時にタイムスリップしたかのような感覚を味わうことができました。見学後は紐結び体験をし、救難・救命時に活用するもやい結び等を教えていただきました。


箱館連絡船摩周丸での様子箱館連絡船摩周丸での様子

 当センターでは、日ごろの訓練以外に、センター利用者の方々、皆さんの親睦をさらに深めることを目的に、様々なレクリエーションを企画しています。皆さんでさまざまなことを体験、挑戦し、楽しさや、新しい発見を分かち合えたときの喜び、一体感は格別です。今後も皆さんがさらにわくわくできるレクリエーションを企画していきたいと思います。

5.全学年レクリエーション

釣り堀釣り堀

 7月6日( 金)、全学年レクリエーションを実施しました。
 全学年レクリエーションは『日ごろのストレスの解消と、参加者間の交流』のため毎年行っていますが、今回は『自然とのふれあいや物作り等のレクリエーション体験( 釣り体験、公園内散策、ペダルボート体験、キーホルダー・アイスクリーム作り体験) に触れること』を目的に、大沼公園へ行ってきました。
 当日は少し肌寒い気温でしたが、就労移行支援10 名、自立訓練1 名、職員15 名総勢26 名に参加いただき、各々が選んだレクリエーション体験を楽しみました。


 釣り体験では、大中小様々な魚を何匹も釣り上げ、魚が釣り上がる度に歓声が上がりました。公園内散策では、緑の中を歩きながら野鳥観察を楽しみ、マイナスイオンに触れ穏やかな時間を過ごすことが出来ました。ペダル
ボート体験では、クジラ型の珍しいボートに乗り参加者と協力しながらペダルを漕ぎ、大沼中をボートで駆け巡りました。また、キーホルダー・アイスクリーム作り体験では、かわいらしい人形のキーホルダーを協力しながら作り、最後に自分たちで作った甘くておいしいアイスクリームを食べ、笑顔があふれていました。
 レクリエーション体験後は、皆で遊覧船に乗り込み大沼をめぐり、ガイドの方から大沼各地の説明や大沼の歴史や物語などを教えていただきました。
「実は大沼は沼では無く湖であった。」ことなど、今まで知らなかった話を沢山聞くことが出来ました。
 帰りは七飯町の道の駅へ寄り、函館の名産品を食べたり、お土産を買ったりして楽しく過ごしました。帰りのバスの中で、お土産の話を楽しそうにする利用者の笑顔が印象的でした。
 今回の全学年レクリエーションも大成功に終わり皆さんも日ごろのストレスの解消になり、参加者間の交流も深まったと感じます。今後も皆さんに喜んでもらえるようなイベントをどんどん企画・立案していきたいと思います。

かわいいボートで大沼中を駆け巡りました!

ボートボート

レクリエーション体験後、参加者総勢で写真撮影!
充実した1日になりました!!

レクリエーション参加者集合写真レクリエーション参加者集合写真

6.視覚障害者に対するリハビリテーション研究会

 国立施設職員の支援スキルの向上や、視覚障害者支援に携わる地域の関係機関の方に自立支援局の取り組みを知っていただくことを目的に、7 月26日・27 日に当センター主催で行われました。

研究会の様子研究会の様子

 基調講演では、公立はこだて未来大学の伊藤精英教授をお迎えし、「体と諸感覚を理解し、視覚障害者の生活の
質を高める」という演題でお話をいただきました。
 伊藤教授は視覚障害である自らの経験を交えながらご講演され、その中に視覚障害者と目隠しした晴眼者の地下街での歩行を比較した研究がありました。実験で視覚障害者は券売機や改札などの普遍的に存在する目印を気に留めている発話が多かったのに対して、目隠しした晴眼者では人の声や足音など動く物体への発話が多い結果となり、このことから歩行能力の高い人は対象物や道の形状などのランドマークに注意を向けているのに対して、歩行に不慣れな人は変化する情報を多くとらえてしまい移動に必要な情報に注意が向きにくいことがわかりました。そしてこの傾向は方向音痴のメカニズムと同じと考えられるとの事でした。


「視覚障害者に対するリハビリテーション研究会」開会時の島村所長の挨拶「視覚障害者に対するリハビリテーション研究会」
開会時の島村所長の挨拶

 また、液体を容器に溢れないよう注ぐ方法について、一般に水かさを利用する(容器の内側に指を入れて液体に触れる)方法などがありますが、基本共鳴周波数?を使った方法でも可能であるという興味深いお話もありました。なんだか聞いたことのない難しい話のようですが、液体が容器に貯まっていく時には、液体が縁に近づくほど音のピッチが高くなるという原理を使ったもので、慣れている方は無意識に身につけています。この方法は音の違いを聞き分ける練習をすれば覚えられ、練習ではマグカップのような直径が一定の容器が適しており、注ぐ時も容器からある程度離したほうが落下音が大きくなり聞き取りやすいとのこと。皆様、飲み物を注ぐ際に試してみてはいかがでしょうか?


 このように視覚に障害のある方にとって、日常生活動作を行う上で視覚以外の感覚を上手に活用することが重要となります。急須から湯のみにお茶をこぼさずに注ぐにはどうすれば良いのか、交通ルールを守りながら安全に目的地までたどり着くには何に気をつけて歩けば良いのかなど、不自由な視覚を補って、聴覚や触覚、時には嗅覚もうまく働かせることによって出来ることも増えていきます。
 当センターでは自立訓練(機能訓練)を行っており、利用者の訓練が上手くいかなかった場面では、訓練士がその理由を探り、効率よく動作を覚えられる方法や手段を考え指導することが求められます。それゆえ、伊藤教授の講演は、支援に当たってのヒントとなる内容がたくさん聞けた貴重な機会でした。

「体と諸感覚を理解し、視覚障害者の生活の質を高める」という演題で基調講演を行う、公立はこだて未来大学システム情報科学部伊藤精英教授「体と諸感覚を理解し、視覚障害者の生活の質を高める」
という演題で基調講演を行う、
公立はこだて未来大学システム情報科学部
伊藤精英教授

 また、研究会では各国立施設の取り組みが発表され、当センターからは「雪上における歩行訓練の取り組み
について」の発表を行いました。視覚障害を支援する施設の中でも数少ない雪国にある施設として、地域の特
色を活かし雪上の歩行技術の支援に力を入れ取り組んできた成果を発表させていただきました。
 2 日間に渡る研究会が無事終わり、参加者のアンケートからは大変満足度の高い結果が得られました。今後
もこのような研修の機会を通じ、職員の資質向上に努めていきたいと考えております。


7.利用者募集案内

 当センターでは自立訓練(機能訓練)及び就労移行支援(養成施設)の利用者を募集しております。自立訓練(機能訓練)、就労移行支援(養成施設)を利用する方で、通所が困難な場合は、宿舎を利用することができます。施設利用の申込手続きの詳細及び見学については、当センター支援課で受け付けておりますので、お気軽にご相談下さい。

○身の回りのことを自分でしたい方は…
自立訓練(機能訓練)

 歩行訓練(屋内での移動や白杖を使用しての屋外歩行)、コミュニケーション訓練(点字、パソコン、ハンドライティング等)、日常生活訓練(身だしなみや日用品の整理等の身辺管理、掃除・洗濯・調理等の家事管理等)、スポーツ訓練、レクリエーション訓練、弱視者のためのロービジョン訓練等を行います。

・利用資格:視覚に障害があり市区町村から「障害福祉サービス受給者証」の交付を受けた方
・募集期間:随時受付
・利用期間:訓練内容や訓練期間は個々の利用者のニーズや状況に応じた個別支援計画及び訓練プログラムを作成し、ご本人同意の上で決定します。

○仕事をしたい方は…
就労移行支援(養成施設)

 「あん摩マッサージ指圧師」、「はり師」、「きゅう師」の国家資格取得のための教育(学習、実技等)を行います。一定のカリュキュラムを終え、法令に定める単位を修得すると、国家資格の受験資格を得ることができます。  
 国家資格取得後は、治療院の開業、治療院や病院への就職等で社会参加を目指します。

・利用資格
下記の二つ要件を満たす者
 @視覚に障害があり市区町村から「障害福祉サービス受給者証」の交付を受けた方。
 A大学に入学することが出来る方(高等学校を卒業した者に準ずる学力があると認められた方)
・募集人数
あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう科
専門課程(修了年限3年) 20名
・募集期間
随時受付(2月末まで)
・利用開始
4月上旬を予定

問い合わせ先 電話 /0138−59−2751(代) 支援課入所担当
※当HPに利用申し込み用の各書式を掲載しておりますのでご活用下さい。→リンクはこちら

8.見えない壁を乗り越えよう 〜通勤編〜

 皆さん、お久しぶりです。ナオミです。ご無沙汰していてごめんなさい。私は、相変わらず元気にひとり暮らしをしています。ひとり暮らしをはじめた頃は、一人きりの夜が慣れなくてちょっと怖かったけど、最近はすっかり熟睡できるようになって、朝起きるのが大変になってしまいました(笑)。そうそう、お料理のレパートリーもずいぶん増えたんですよ。
 今回はそのレパートリーなどをご紹介したいと思っていたのですが、最近、視覚障害者のホーム転落事故の報道をよく耳にしますね。いろいろな人たちや、各種の団体でも一生懸命、転落事故をなくす啓発活動をされていることを知ったので、料理の話はまた別の機会にして、今回は、私の通勤方法についてお話します。

ポイント1 職場と相談し通勤ラッシュ時をさけて時差通勤に
 私は、職場まで電車で通勤しています。さすがにラッシュのさなかに電車に乗るのは、正直、怖い面があります。
 そこで、職場に相談してご配慮をいただき、時差通勤をさせてもらってます。ほんの少しですが時間がずれるだけで、ホーム上の移動を含めた通勤がだいぶ楽になりました。
ラッシュの時間というのは、皆さんも急いでおられるので、白杖(※1)に気が付いてもらえない時があるんです。
 杖を短めに持って注意していても、やはりまわりの方に杖が当たってしまうこともあるのです。もしラッシュ時の通勤で苦労されている方がおられたら、時差通勤について可能かどうか、職場で相談してみることも良いかもしれませんね。

ポイント2 相対式ホームの場合は、ホームの壁際を歩くとスムーズ
 視覚障がい者がホームを移動するときは、点字ブロックを伝って歩いていると思われがちなんですけど、それは意外と怖い面があったりするのです。点字ブロックはホームの端に近いところに引いてありますし、点字ブロックの上にお客さんが並んでいることも多いですから。だから私の場合には、相対式ホーム(※2)の場合は、逆にホームの壁を利用してホーム上を移動することが多いかな。壁ぎわにベンチとかゴミ箱なんかが置いてあったりしますけど、前もって障害物があるところはだいたいわかっているので、気をつけて歩いていけば、大丈夫。
 それよりも、壁際を歩いていれば、線路に転落するリスクはかなり低くなるので、やっぱり安心できるというのが大きいですね。これは意外と使える手なんですよ。

ポイント3 島式ホームの場合は、なるべく移動しないほうがベター
 ホームに壁がない島式ホーム(※3)の場合は、なるべくホーム上での移動をしないようにしてます。なぜかというと、左右から電車が入ってきて、自分が今いる位置が分からなくなることがあるからです。ホームの両側を歩こうとしても、お客さんが電車を待っているので、なかなかまっすぐ歩けません。
 私の場合、島式ホームでは階段を下りたところの壁や、エレベーターを降りたところで電車を待つようにしてます。えっ、どうしても島式ホームを移動しないといけないときはどうするのかって?そのときは、点字ブロックよりもホームの中心を歩くイメージで、保有視覚(※4)を利用しながら目的物を一つ一つ作って、それを目指して歩いてますよ。

ポイント4 白杖で伝って歩けるとは限らないので要注意
 とにかく、点字ブロックに内側線がついていても、なかなか白杖で伝って歩けるとは限らない、ということは、多くの方に知っておいてほしい点ですね。もちろん、ホームドアがあると一番安全なんですけど、ホームドアを設置するには、その駅の乗降客数の基準などがあるようなので、すべての駅に設置することはまだ難しいようです。それに、ホームドアにもいろんな形態(※5)があって、それはそれで駅によっても違うみたい。それに、駅を利用するお客さんは本当にいろんな方がいらっしゃるので、すべての方に安全なホームを考えるのは大変だろうなぁ、って毎日思いながら電車に乗っています。

ポイント5 定期券はIC乗車券が便利
 定期券はIC 乗車券の定期券を使ってます。IC 乗車券はチャージさえちゃんとしておけば、乗り越し精算をしなくても済むし、コンビニで小銭がないときでも使えるし、何かと便利なので、しっかり活用しています。チャージ方法が難しいという声もあるけど、券売機によってはテンキー操作でチャージができますし、駅員さんに頼んでチャージしてもOK ですよ。もちろん私は、もっぱら駅員派です。ちゃっかり援助依頼してます(笑)。
 私の通勤方法はこんな感じなのですけど、イメージできましたか?やっぱり、視覚障害者が単独でホーム上を移動するときには、いろいろな危険があります。できれば、専門の歩行訓練士さんに訓練をしてもらえると良いと思います。(※6)
 では、またお会いできる日まで。風邪などひかないように気をつけて。

※1 白杖(はくじょう)
視力障害がある人が歩くときに使う白い杖(ツエ)のこと。歩行の安全を確保するために欠かせないものであるのと同時に、周囲に視覚障害者であることを知らせる意味もある。 ※2 相対式ホーム(そうたいしきほーむ/あいたいしきほーむ)
線路をはさんで設けられるホーム(プラットホーム)のことで、上下線が別々のホームになる。上下線の列車が同時に到着しても、ホームが混雑しないなどのメリットがある。 ※3 島式ホーム(しましきほーむ)
二本の線路の間に設けられるホーム(プラットホーム)のことで、上下線(同一方向の場合もある)が同じホームとなる。
上下線の列車が同じホームなので、ホームを間違えることがないなどのメリットがある。
※4 保有視覚を利用しながら
ナオミさんは全盲ではなく弱視(ロービジョン)の、「見にくい」人。ロービジョンには、光の濃淡は感じられる、狭い範囲だけが見えるなど、人によってさまざま見え方がある。色彩のコントラストや大きさがわかりやすい目的物などが歩行の助けになる。ちなみに、多くの点字ブロックが黄色くなっているのも、黒っぽい路面との色彩コントラストがはっきりして、わかりやすいから。 ※5 ホームドアにもいろんな形態
ホームドアには、左右に開くタイプのほか、昇降式の柵になっているタイプなどがある。目が見えない(見えにくい)人にとっては、そのホームのホームドアがどんな形態なのかという情報も必要。 ※6 歩行訓練についての相談
白杖を使った歩行訓練については、当センター支援課にご相談ください。

9.センター見学のご案内

 当センターでは、随時見学を受け入れております。
 「センターの利用を考えたいけど不安」というご本人やそのご家族、「紹介したいけど、よく分からない」というお知り合いの方や福祉関係者の皆様などなど、授業や訓練の様子、宿舎など、見学できます。学習のために、見てみたいということでもOK です。お気軽にお越しください。
 見学が可能な時間帯平日(月曜日〜金曜日) 9時〜17時まで(要予約)
 利用・見学をお考えの方はご予約ください。 TEL (0138) 59-2751

10.基本理念・基本方針

【基 本 理 念】
私たちは個人の尊厳と主体性を重んじ共に生きる社会の実現に向け支援します。
【基 本 方 針】
一 あらゆる場面で利用者の基本的人権を尊重します。
二 常に利用者の立場に立って良質かつ適切な福祉サービスを提供します。
三 利用者が社会の一員として社会、経済文化等あらゆる活動に参加できるよう支援します。
四 地域に開かれた施設として地域住民関係機関との連携に努めます。
五 公正に職務を遂行し、専門的知識と支援技術の研鑽に努めます。


 企画発行
 国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局函館視力障害センター
 042-0932 函館市湯川町1-35-20