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センターだより第52号(令和3年10月発行)ウェブ版 もくじ

1.畑プロジェクト始動
2.視覚障害者の読書について
3.センター見学のご案内
4.利用者募集案内
5.基本理念・基本方針

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1.畑プロジェクト始動

みなさん、こんにちは。私はいま、函館視力障害センターの裏庭に来ています。「畑プロジェクト」という言葉を小耳にはさんだので来てみたところ、確かに、色々な作物が植えられていますが…どういうことなのでしょうか?
教務課長の舘田美保さんに聞いてみましょう!

(以下、インタビュアー;イ、舘田さん;舘)
畑と、畑プロジェクトについて聞く
イ「色々な野菜があるようですね」
舘「ええ、すでに収穫が終わったものもあります」
イ「豊作でしたか?」
舘「残念ながら、そうでないものもあります。ただ、それが目的ではないので…」
イ「あ、そうなんですか。では、畑プロジェクトというのは…」
舘「今年度から、『共創(きょうそう)』をテーマに、はこだて未来大学との連携をはじめました。その中で、ひょんなことから、皆で畑をやってみようか、という話になったんです」
イ「最初から決まっていたわけではなく?」
舘「はい。当センターの講師の先生の中に、野菜栽培の経験者がいらしたことや、利用者さんの中に農業の勉強をしてきた方がいらしたことなど、様々なことが重なって」
イ「プロジェクトという名前から、てっきり、何か難しい理論からのスタートだろうと思っていました」
舘「そんなことはないんです」

雑談からネット中継へ
イ「先日は、インターネットで、畑から生中継をされたそうですね」
舘「はい。Zoom(ズーム)で、『共創ワークショップ』を開催しました」
イ「そう聞くと、また構えてしまいそうですが…」
舘「難しいことは一切ありません。畑で作業をしている人に話してもらったり、当センターの畑と、みらい大学の畑を結んで、わいわいと…、かつらをかぶったり、コスプレをする方までいたんですよ」
イ「バラエティ番組みたいですね。共創とか、ワークショップという言葉から抱いていたイメージと違います」
舘「ですよね。またできれば…と思っていますので、ぜひ見てみてください。」

(以下、武田さん;武)
畑クラブの活動は?
イ「さて、畑プロジェクトを担っているのは、畑クラブの面々だそうですので、顧問である武田和男講師にもお話を伺います。顧問を頼まれて、いかがでしたか?」
武「実は、授業(自然科学概論)を担当しているクラスから、授業の中に取り入れられないか、との質問は2、3年前からありました」
イ「皆さん興味がおありだったんですね」
武「そのようです。自分も農業を始めていたので、気楽にできたらと思いました」
イ「実際のところ、どうでしたか?」
武「こんなに(プロジェクトとして)広がると思っていなかったので、こりゃ大変と思うのと、楽しいと思うのと半分半分で…いや、楽しい方が多いかな!」
イ「やはり、教室で行う授業とは違いますか?」
武「そうですね。利用者さんとのコミュニケーションが多くなって、お互いの個性が見えてきたように感じますし、きっと精神的にプラスになっていると思います」

楽しいが一番
当初は「よくわからない」と思っていた畑プロジェクト…。
お話を伺って、根っこに『共創』があることがわかりました。様々な業種の人びとが集まるうちに、ひょっこりと生まれてくる「何か」。畑プロジェクトも、その一つだったのです。
私の感想は、「よくわからないけど楽しそう!」に変わりました。これからも、ワクワクドキドキ、見守っていきたいと思います。
どうもありがとうございました!

○共創とは…
「共創(共に創る)」は、「Co-Creation(コ・クリエーション)」の日本語訳。各種企業など、異なる業種同士が協力しあい、新たな物やサービス、価値観などを作り出すこと。

※今号は、「セルフケア」はお休みです。次回をお楽しみに!

畑の全体像畑の全体像
収穫前のトマト収穫前のトマト
『共創ワークショップ』@『共創ワークショップ』@
『共創ワークショップ』A『共創ワークショップ』A
畑クラブ活動畑クラブ活動

2.視覚障害者の読書について

 視覚障害者の読書というと、点字の図書というイメージがあるかもしれません。センターへの相談者の中にも、眼疾患のため、本を読むことが難しくなったという方は多くいます。中でも読書を趣味にしていた方は、字を見ること自体にストレスを抱えて、かといって点字の習得もためらい、読書することは諦めましたとがっくりと肩を落とされます。

点字図書と視覚障害者用ポータブルレコーダー
しかし、読書は文字(普通字、点字)だけとは限りません。今は音楽配信と同じように、書籍を音声で聞くことができるサービスがあります。そうした本を聞いて楽しむことが、障害のある方だけでなく、一般の方にも普及してきています。
テキストを読み上げる音声アプリも充実してきており、人間の読み上げと変わらない音声で聞くことができます。

 実は、視覚に障害をお持ちの方は、点字よりも音声で読書を楽しんでいる方のほうが多いかもしれません。視覚障害などのある方のために、著作権法第37条第3項で、情報の提供ができるように配慮がされているため、小説やエッセイ、週刊誌や月刊誌など多岐にわたるジャンルの本が音声で楽しめるようになっているからです。
もしも周りに目が見えない、見えにくいために、本を読むことを諦めている方がいれば、別の方法で本を楽しむことができることを教えてあげていただければ幸いです。

音声で図書を楽しむ姿音声で図書を楽しむ姿
点字図書と視覚障害者用ポータブルレコーダー点字図書と視覚障害者用ポータブルレコーダー

3.センター見学のご案内

 当センターでは、随時見学を受け入れております。
 「センターの利用を考えたいけど不安」というご本人やそのご家族、「紹介したいけど、よく分からない」というお知り合いの方や福祉関係者の皆様などなど、授業や訓練の様子、宿舎など、見学できます。学習のために、
見てみたいということでもOK です。お気軽にお越しくださいませ。
 なお、マスク着用、体温測定等の新型コロナウイルス感染症対策に関する協力をお願いしておりますので、あらかじめご理解ください。
 見学が可能な時間帯平日(月曜日〜金曜日) 9時〜17時まで(要予約)
 利用・見学をお考えの方はご予約ください。 TEL (0138) 59-2751

4.利用者募集案内

 当センターでは自立訓練(機能訓練)及び就労移行支援(養成施設)の利用者を募集しております。自立訓練(機能訓練)、就労移行支援(養成施設)を利用する方で、通所が困難な場合は、宿舎を利用することができます。施設利用の申込手続きの詳細及び見学については、当センター支援課で受け付けておりますので、お気軽にご相談下さい。

○身の回りのことを自分でしたい方は…
自立訓練(機能訓練)

 歩行訓練(屋内での移動や白杖を使用しての屋外歩行)、コミュニケーション訓練(点字、パソコン、ハンドライティング等)、日常生活訓練(身だしなみや日用品の整理等の身辺管理、掃除・洗濯・調理等の家事管理等)、スポーツ訓練、レクリエーション訓練、弱視者のためのロービジョン訓練等を行います。

・利用資格:視覚に障害があり市区町村から「障害福祉サービス受給者証」の交付を受けた方
・募集期間:随時受付
・利用期間:訓練内容や訓練期間は個々の利用者のニーズや状況に応じた個別支援計画及び訓練プログラムを作成し、ご本人同意の上で決定します。

○仕事をしたい方は…
就労移行支援(養成施設)

 「あん摩マッサージ指圧師」、「はり師」、「きゅう師」の国家資格取得のための教育(学習、実技等)を行います。一定のカリュキュラムを終え、法令に定める単位を修得すると、国家資格の受験資格を得ることができます。  
 国家資格取得後は、治療院の開業、治療院や病院への就職等で社会参加を目指します。

・利用資格
下記の二つ要件を満たす者
 @視覚に障害があり市区町村から「障害福祉サービス受給者証」の交付を受けた方。
 A大学に入学することが出来る方(高等学校を卒業した者に準ずる学力があると認められた方)
・募集人数
あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう科
専門課程(修了年限3年) 20名
・募集期間
随時受付(2月末まで)
・利用開始
4月上旬を予定

問い合わせ先 電話 /0138−59−2751(代) 支援課入所担当
※当HPに利用申し込み用の各書式を掲載しておりますのでご活用下さい。→リンクはこちら

5.基本理念・基本方針

【基 本 理 念】
私たちは個人の尊厳と主体性を重んじ共に生きる社会の実現に向け支援します。
【基 本 方 針】
一 あらゆる場面で利用者の基本的人権を尊重します。
二 常に利用者の立場に立って良質かつ適切な福祉サービスを提供します。
三 利用者が社会の一員として社会、経済文化等あらゆる活動に参加できるよう支援します。
四 地域に開かれた施設として地域住民関係機関との連携に努めます。
五 公正に職務を遂行し、専門的知識と支援技術の研鑽に努めます。


 企画発行
 国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局函館視力障害センター
 042-0932 函館市湯川町1-35-20