全12紙面のうちの6紙面。 花束贈呈・入所生からの言葉。文化交流会を振り返って。 専門1年。なかだ。まなぶ  今回、僕は、軽音楽部の部長として、文化交流会に参加することになった。  「まだ、本番までイッカゲツ近くもある」。 そう思って、割と気楽に考えていたのだが・・・。  仲間同士の、スケジュールの兼ね合いやテスト勉強との両立、演奏における、個々の技術的な問題、経験の少なさからくる不安との戦い、そういったカットウの日々を送るうちに、またたく間に本番の日を、迎えてしまった。  「ここまて来たらアトは、精一杯演奏するだけ。」  そんな言葉を掛け合い、部員一同、緊張したオモ持ちで舞台に上がった。トチュウ幾度となくミスをしたが、どうにかこうにか最後まで乗り切ることができた。 会場にいる人達から、たくさんの、暖かい拍手をいただき、本当に感謝の気持ちでいっぱいになりながら、意気揚々と控え室に戻ったときに、僕は初めて、マエカワヒロミさんのことを思い出した。 「彼女は一体、どんな人なんだろう」。  そんな興味本位にも似た、歓楽的な気持ちを抱きながら、会場へ引き返すと、彼女のステージは、すでに始まっていて、そこで僕は、今までに感じたことのないほどの衝撃に、心奪われ、思わずその場に立ちつくしてしまった。 そのスケールの大きな音楽表現、視覚障害者という、ンディキャップを背負っているとは、到底思えないほどの、彼女自身から溢れ出る存在感、そして何より会場全体を、悠々と包み込む、底知れぬ歌唱力に、圧倒され、僕は思わず、息を呑んだ。 彼女の歌声は、その場面ごとに目まぐるしいほどに表情を変え、時には、ミズカらの内面をトロするかのように痛々しく、繊細で、はかなく聞こえ、そして時には、力強くどこまでも透き通っていて、いつわりのない彼女の人柄そのものを象徴しているかのようだった。 時折、語ってくれた彼女のこれまでの人生で体験してきた、数奇なエピソードのカズカズも、どれもこれも興味を引くものばかりで、その中のどれをとっても、「たとえ、どんな障害があっても、希望は持てるし、夢だって叶う」。 という彼女の一貫した強いメッセージが、言葉のフシブシにしみ出ているような気がした。 トッピな経験の中で、裏打ちされた確かな自信を持って、観客に語りかける彼女の姿勢は、ともすれば夢に挫折しがちな、僕の気持ちを、アト押ししてくれているようにすら感じられて、思わず平静を装うことに、懸命となってしまった。そういった中でも僕は、今、彼女がいるその場所に、数分前までは、自分も立っていたんだ、ということを思い返してた。ぼんやりと、彼女を見つめながら・・・。 「いつか自分たちにも、聴いてくれる人の心をツカム演奏が、できたなら・・」。  ふと頭の中に浮かんだそのフレーズを、気がつくと僕は、何度も必死で繰り返していた。その言葉の中に、何か大切な物が、隠れているような気がしてならなかったのだ。ウックツした気持ちのまま、やがて、すべてのプログラムが終了し、打ち合わせ通り、僕は、花束を手渡すために彼女のモトへと向かった。 彼女と同じ目線に立ち、花束を渡す瞬間に、観客からの惜しみない喝采が送られ、それをきっかけにして、僕は、すべてに気付くことができた。先々のことを考えても、確かなことほ何もわからなくて、苛立ち、イキドオルけれど、それでも、興味とチャンスがあるのなら、あらゆることに、チャレンジしよう。 夢は、見るほどに増えていき、叶えるごとに生まれていく。僕は今回の文化交流会を通して、そんな素敵な言葉を見つけた。