全8紙面のうちの2紙面。 進取の精神を忘れずに。 所長。 松岡利男。 卒業生の皆様ご卒業おめでとうございます。 センターでの教育・訓練の日々は長かったでしようか、短かったでしょうか。また、苦しかったでしょうか、 楽しかったでしょうか。 卒業の日を迎えて、みなさまそれぞれの胸中には、この三年間・五年間に幾度となく、途中で勉強を止めてしまおうかと 思ったかたもいらっしゃったのではないでしょうか。 そんな時、誰が背中を押していっぽ前へ進めてくれたのでしょうか。家族のかたの温かい声であったり、 先輩や友人の励ましの言葉であったり、とそれぞれでありましょうが、結局最後に決断したのは自分自身なのです。 それはみなさまの心の中に、目的に向かって最後まで頑張ろうとする気持ちがあったからです。 今までになかった新しい知識を獲得し、今までにない自分になろうとしていたのです。人間は目的を持って努力すると、 自分を変えることができる、という素晴らしい可能性があることを、みなさまが身をもって証明されました。 卒業されたのちも、今までと同様に常に何らかの目的を持つことで、これからの生活に張りと潤いをもたらすことが できると確信しております。 ある大学の校歌に、進取の精神、学の独立、という、いっせつがあります。私達にも必要なのはこのまさに 進取の精神なのであり、色々なことに挑戦していれば必ず結果は後から付いてきます。結果が良くても悪くても、 いつか役に立つ人生のこやしになるはずです。 以上、みなさんがたのご健勝と益々の精進を祈念して、贈る言葉といたします。 視能訓練士の見学。 今年度、当センターでは、新たな取り組みとして、視能訓練士養成学校の見学受け入れを行いました。 目的は、多くの視覚障害者が最初に出会うことになる視能訓練士に、視覚障害者を取り巻く環境について理解してもらい、 また、見学の中で職員と関わり持つことで訓練士自身に施設を身近なものとして感じてもらい、今後の入所者募集、 視覚障害者の社会復帰の一助とすることでした。 現在、関西地区には視能訓練士養成学校が4校ありますが、今年度は、そのうちの3校を受け入れました。 見学プログラムの内容は、センターをひとまわりするだけでなく、講義として 「センターの概要について」、 「視覚障害者の職業について」、「生活訓練について」、と視覚障害者の現状・リハビリテーションの歴史についても 聞いてもらいました。内容が当センターの事業だけにとどまらず、全体的な視覚障害についての説明となったこともあり、 充実した内容だったという感想をいただきました。その後、センター内見学、実際に触れてもらいながら、 便利グッズの紹介を行いました。 全体としては半日かけたプログラムとしました。ほとんど休憩のない忙しいプログラムだったにも関わらず、 参加した学生からは、「学校で学ぶことができないことがいくつもあった」、「見え方や不安な気持ちについては まだまだ勉強不足だったことに気づいた」、「今後自分たちがしなければならないことが分かった」、 「卒業後は見えにくい人たちのために何かできる訓練士になりたい」、という感想を多くいただきました。 特に視覚障害者の職員による講義を組み入れたことは、学生には、よい刺激になったようで、 「実際に働いている姿をみられてよかった」、という感想もいただきました。 視能訓練士は現場に出てしまうと忙しく、今までゆっくりと施設を知ってもらう機会がありませんでした。 今回のように視能訓練士を目指す学生のかたに見学にきてもらうことは、お互いに連携しやすくなり、 医療から福祉という流れが作りやすくなるという点でも、双方にとっていい見学会となりました。 来年度は、可能であれば4校全てを受け入れて、当センターの存在・役割を視能訓練士を目指しているより多くの学生に 知ってもらい、多くの視覚障害者が必要な情報をより早く入手することができる仕組み作りが続けられればと考えています。