【ページ】4 【タイトル】ロービジョン訓練室について 【本文】 視機能(物を見る力)には、視力(物を見分ける力)、視野(見える範囲)、明暗順応(暗所から明所、明所から暗所に移動すると見えるまでに時間がかかる)、色覚(色を見分ける力)等の機能があります。視覚に障害を受けるとこれらの視機能が複合的に阻害されます。世界保健機構(WHO)では、両眼の矯正視力が0.05以上0.3未満の状態をロービジョンと定義していますが、一般的に矯正視力が0.4未満、視野が1/2以上欠損して、大幅な改善が見込めない場合、「読み書き」や「歩行(移動)」が困難になるだけでなく、仕事や学業や家事等、社会生活の様々な場面で困難が生じると言われます。ロービジョンとは、全く見えないのではなく「見えにくい」という状態を指します。周囲からは見えていると思われがちで、障害を理解されにくく「見えにくさ」に起因する社会的障壁への無理解により、偏見をもたれることがあります。 当センターの自立訓練(機能訓練)では、視覚障害の方に「見えない」「見えにくい」ことで生じる様々な困難を少しでも軽減するための支援を行います。白杖歩行訓練や音声ソフト・画面拡大ソフト等を利用したパソコン訓練等の場面でも、保有視覚が活用できるかどうかに配慮しながら支援を行いますが、ロービジョン訓練では、今の視機能を有効活用できることに特化した内容で支援を行います。 ロービジョン訓練室で行っていることをいくつかご紹介します。@自分の見え方を理解して、他者に説明出来るようにする。A「読み書き」に困難がある場合、拡大鏡(ルーペ)、単眼鏡、拡大読書器等の視覚的補助具の選定や使用方法を紹介する。B遮光眼鏡の選定。遮光眼鏡は、まぶしさを抑え、物のコントラストを向上させる効果があると言われています。トライヤルレンズを用いてその方の用途に応じたレンズの色を選定します。また、選定した遮光眼鏡の貸出しも可能です。眼科等の医療機関とは異なり、生活場面で時間をかけて支援できるため、室内・屋外・天気・時間帯等、様々な環境下で評価することができます。C見え方を補う様々な工夫について。例えば、窓と机の配置を換えたり、食器と食卓のコントラストを高くする、読書時は書見台を利用する等の助言や提案をします。評価の結果、日常生活で視機能を活用しての読み書きが実用的でない場合、IT機器や活字読み取り装置のような視覚代替補助具の活用等、職員間で情報共有をして、他の訓練科目とも連携しながら支援を行います。