〔更生訓練情報〕
新たにスタート 「国立更生援護施設理療科教官研修会」
指導部 生活訓練課 生活訓練専門職 河野 智子


 夏の暑さが戻って来た去る7月30日(月)から8月 3日(金)までの5日間、懐かしい顔、初々しい顔、ベ テラン、新人が一堂に会して、厚生労働省と当センター との共催で、新たに配置された理療研修主事のもと、国 立更生援護施設理療科教官研修会が開催されました。こ の理療科教官研修会は、従来行われていた学科中心のも のに臨床研修を導入し、内容、期間ともに充実させたも のです。
 今回は、「確かな専門教育のための学習法をさぐる」 というテーマを掲げ、専修学校としてだけでなく、視覚 障害者のリハビリテーションの観点から研修会を実施し 、議論を深めていこうとするものです。具体的な内容は 研修会中期計画に基づいております。
 さて、主な内容を紹介しますと、初日は、東洋療法学 校協会会長の後藤氏を招き、「鍼灸師教育の現状と課題 」について講演していただき、米国の実情、鍼灸師養成 学校の急増に伴う諸問題、教育現場の課題等について問 題提起していただきました。その中で、全体としての資 質向上はもちろんのこと、「onlyone」を目指す 教育こそ重要であるとの提言が印象的でした。
組織学を講義する中村陽市先生
組織学を講義する中村陽市先生
 2日目から3日目の午前にかけては、基礎医学を1講 座、臨床医学を3講座配置し、基礎医学では、「発生学 ・組織学」を東京医大の中村先生に、また臨床医学とし て、「血液検査の意義」を埼玉医大の河津先生に、「肝 臓病最新研究」について当センターの佐久間先生、「ス ポーツ選手の腰痛管理」を日大医学部の斎藤先生にお願 いしました。いずれの先生も第一線で活躍中の方であり 、統計的数値を交えての明快な説明で、わたしたちが授 業をする上で良いお手本になるものと思っております。
 3日目の午後は頭を切り替え研究討議です。テーマは 、全体のテーマと同じ「確かな専門教育のための学習法 をさぐる」です。これは、学習者の能力、障害特性に応 じた学習法、学習技術を検討し、個別的援助を実施する ことにより、より質の高い専門教育を円滑に、かつ、確 実に実施できればと考えてのことです。討論に先立ち、 4人のパネリストの方に実践報告をしていただきました 。それぞれが非常に興味深く、わたしたちが心がけなけ ればならないこと、行わなければならないことを示唆す るものでありました。ここで紹介されたノウハウをふま えつつ、秦野部長が力説する、「志をもって問題解決を 。」の実践こそ重要であると再認識させられました。討 論の時間が短かったのが残念です。継続して取り組むべ き重要な課題と考えております。
腹診の指導をする工藤友絡先生
腹診の指導をする工藤友絡先生
 4日目は、臨床研修を中心とした実技実習です。「腰 痛」をテーマに分科会形式で実施しました。講師は、日 本伝統鍼灸学会副会長の工藤先生と、埼玉医大東洋医学 科の山口先生です。お二方の熟練した技と温かいお人柄 が印象に残りました。長時間でしたが、和やかな中にも 真剣な取り組みがみられました。
 最終日は佐藤更生訓練所長の講義、最近失明原因とし て最も多い、糖尿病の病態と訓練実施上の留意点につい て話していただきました。身近な病気であり、訓練を実 施している中、低血糖発作等で戸惑うこともある病気で すので、「sickday」対策のお話等、たいへん有 意義なお話でした。
 最後に、センター見学でお世話になった当センター病 院放射線科の方々はじめ、関係各位のご協力に感謝いた します。

当センター画像診断の見学
当センター画像診断の見学