〔更生訓練情報〕
身体障害者リハビリテーション研究集会2001の開催について
身体障害者リハビリテーション研究集会2001 事務局


施設長会会長(国リハ更生訓練所長)あいさつ
施設長会会長(国リハ更生訓練所長)あいさつ
 去る10月18日、19日の2日間、身体障害者リハ ビリテーション研究集会2001が北海道札幌市にある 道民活動振興センター「かでる2・7」で開催されまし た。この研究集会は、全国身体障害者更生施設長会、全 国身体障害者更生相談所長協議会及びテクノエイド協会 の主催で、厚生労働省及び開催地である北海道の後援を いただいて実施したもので、全国の身体障害者更生施設 、更生相談所の職員等約250名が参加して日頃の実践 や研究の内容について活発な発表と討議が行われ盛会裡 に終了しました。
 研究発表テーマは次の5課題で、32題の発表があり ました。
T 「利用者のニーズに応えるために」
  8題
U 「重度・重複障害者のニーズに応えるために」
  7題
V 「更生施設、更生相談所における業務のあり方」
  5題
W 「専門的技術的機能を発揮するために」
  5題
X 「障害者の自立と社会参加を支援するために」
  7題
研究発表
研究発表

 発表数が多いため、2会場に分かれての発表となり、 参加者はそれぞれ関心のある研究課題に出席され、全国 各地で行われている様々な実践・研究結果の報告に熱心 に耳を傾けていました。
 また、18日には、はじめに墨野倉指導部長から基調 報告として、平成15年度以降の支援費制度への移行に ともなう施策の変更点や課題等についての説明と問題提 起がなされた後、つづいて「求められるサービスの質と は」と題するシンポジウムを開催しました。大滝わらし べ園施設長の川本明良氏、北湯沢リハビリセンター更生 部事業部長の松倉拓美氏、宮城県択杏園園長の樫本修氏 の3名をシンポジストに、北海道教育大学岩見沢校助教 授の安井友康氏をコーディネイターにお迎えしました。 川本氏からはわらしべ園での実践活動として、乗馬療法 など様々なものを取り入れつつ、一般住民との交流の拡 大によってサービスの質を検証していくというユニーク な報告があり、松倉氏は長年リハビリ病院でソーシャル ワーカーとして勤務した経験や介護保険の現状などの視 点から、今後の身体障害者福祉と利用制度についての提 言をされました。また、樫本氏は身体障害者更生援護施 設実態調査のアンケート結果をふまえながら、利用契約 制度の実施に向けた取り組みを医療機関と在宅・地域と を結ぶ経過施設としての役割を重視しつつ提言されまし た。
 その後、安井氏の進行により以上の内容について討議 が行われました。
シンポジウム
シンポジウム
 また同日は、兵庫県身体障害者更生相談所所長の中島 咲哉氏を座長として、クラーク病院リハビリテーション 科医師の桂律也氏、東京都心身障害者福祉センター作業 療法士の大海善弘氏及び財団法人テクノエイド協会開発 部長兼企画部長の宇都宮邦義氏の3名をパネリストにお 迎えして「介護保険施行後における障害者の補装具給付 〜現状と問題点」と題するパネルディスカッションも開 催され、桂氏が介護保険により給付する立場から、大海 氏は身体障害者福祉法による判定の立場から、また宇都 宮氏は福祉用具プランナー育成の立場からそれぞれ報告 と提言が行われ、活発な討議が行われました。
 さらに「ハイテク福祉機器」というテーマでワークシ ョップも開かれ、北海道立心身障害者総合相談所医務課 長の内山英一氏を座長として、「意思伝達装置(伝の心 )」(パシフィックサプライ株式会社・日立製作所)「 食事支援ロボット」(セコム株式会社)及び「人間のバ ランス機能を再現した新しい移動機器」(ジョンソン・ エンド・ジョンソン株式会社)についての紹介と福祉用 具の展示等も行われました。
 19日には「身体障害者更生相談所・更生施設のあり 方」と題して横浜市総合リハビリテーションセンター長 の伊藤利之氏の特別講演が行われました。伊藤氏は、社 会福祉法の施行などにより、わが国の社会保障制度全体 の枠組みが大きく変換されつつある中で、地域・在宅リ ハビリテーションの本質的な目標を達成できる制度の構 築のため、更生相談所や更生施設の役割やあり方などに ついて、様々な視点から問題点の指摘や提言がなされま した。
 最後に、この紙面をお借りして、お忙しい中ご講演を 頂いた先生方、研究発表をして頂いた方々に厚く御礼申 し上げます。また、開催地運営委員長の北海道心身障害 者総合相談所長の佐々木鐵人様、副委員長の北海道立肢 体不自由者訓練センター所長の坂本博様、同じく副委員 長の北海道立身体障害者リハビリテーションセンター所 長の高田康雄様をはじめ、関係職員の皆様には準備から 当日の運営まで多大な御苦労をいただき、この研究集会 をとどこおりなく実施することができました。誠にあり がとうございました。
 なお、来年度は埼玉県のさいたま市で開催する予定で す。多くの方々の御参加をお待ちしております。