新成人を祝う会の実施について
更生訓練所 指導課


 平成13年度新成人を祝う会が平成14年1月21日 (月)15時30分より講堂において国リハ・職リハ幹 部職員、入所者が見守るなか実施されました。
 今年度の新成人は、昭和56年4月2日〜昭和57年 4月1日までに生まれた一般リハ課程肢体不自由者11名、 聴覚障害者6名、理療教育課程入所者1名の計18名 でありました。
 式では、新成人の紹介の後、総長、職リハ所長よりお 祝いの言葉をいただきました。
 新成人への記念品の贈呈が、佐藤更生訓練所長、中島 職リハ次長より行われました。
 理療教育課程学友会会長 増田利雄さんよりお祝いの 言葉があり、新成人代表の肢体94期二宮巧さん、聴覚67期 小熊博志さんよりお礼の言葉がありました。
 以下、中村総長、苅部職リハ所長のお祝いの言葉です 。


新成人に記念品を贈る佐藤更生訓練所長
新成人に記念品を贈る佐藤更生訓練所長

新成人代表小熊博志さんのお礼の言葉
新成人代表小熊博志さんのお礼の言葉

新成人二宮巧さんのお礼の言葉を受ける中村総長と苅部職リハ所長
新成人二宮巧さんのお礼の言葉を受ける中村総長と苅部職リハ所長


新成人を祝う会 お祝いの言葉
総長 中村隆一

 平成13年度、大人になられた方々に、まずお祝を申 し上げます。
 先週の月曜日(1月14日)は今年の「成人の日」で した。わが国では、昭和23年(1948年)に「国民 の祝日に関する法律」が定められ、そのひとつとして「 成人の日」が設けられたのです。その目的は「おとなに なったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を 祝いはげます」ことです。
 日本には昔、「元服」といって、男子が成人したこと を示すための儀式があり、着物を変えて、はじめて冠を 身につけました。江戸時代には、女子が結婚して、まゆ をそり、「おはぐろ」といって歯を黒く染め、髪を丸ま げに結ったようです。また、地域社会には、それぞれに 成人式と似たような風習があり、儀式も行われていまし た。
 「国民の祝日に関する法律」は、「自由と平和を求め てやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよ き社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国 民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これ を国民の祝日と名づける」と記しています。
 このような目的を心で今日、ここに、国立身体障害者 リハビリテーションセンターおよび国立職業リハビリテ ーションセンターの「新成人を祝う会」が開かれたこと を、心にとめて下さい。
 文芸に関心のある方は知っていると思いますが、先週 、芥川賞と直木賞が発表されました。いずれも家族をテ ーマにした小説のようです。今、改めて、いろいろな家 族の生活、在り方が話題になってきました。19世紀、 ドイツの哲学者ヘーゲルは、人間と人間との関係を家族 、市民社会、国家に分けて考えています。成人になられ た皆さんは、これからの家族の関係はおとなの関係にな るでしょう。そして、人と人とが対等の関係にある、自 由な契約に基づいた人間関係によって成り立っている市 民社会の一員になります。国家との関係では、まずは国 や地方自治体の政治に、議員の選挙を通して参加するで しょう。しかし、皆さんがこれから経験する社会では、 矛盾したことにぶつかると思います。そうであればこそ 、心の支えとしての家族の見直しが叫ばれているのかも 知れません。
 学生時代に学んだ英語に“charitybeginsathome” 「思いやりは、まず家庭から」という 言葉がありました。皆さんも、家族への思いやりを言葉 や行動で示すことを実行して下さい。それを友人、将来 の職場の人々、そして見知らぬ人へと広げて下さい。
 近代社会は、自由と平等を理想に掲げて建設されてき ました。その理念が、昨年のテロリズム以来、ゆらいで います。もうひとつ残っている理念に、人類愛がありま す。21世紀は、地球規模で掲げるべき理念は人類愛で す。それは、家庭における「思いやり」から始まります 。グローバリゼーションが叫ばれている現在、それを実 現するのが皆さん一人一人の課題です。しっかりと、大 地を踏みしめて、歩みを始めて下さい。


新成人にお祝いの言葉をのべる中村総長
新成人にお祝いの言葉をのべる中村総長


新成人を祝う会 お祝いの言葉
国立職業リハビリテーションセンター所長  苅部 隆

 今回新たに成人となられた18名の皆さんに心からお 祝いを申し上げます。皆さんは成人となったわけですか ら、ここで成人の意味を小学館の国語大辞典から紹介し てみたいと思います。このように書いてあります。   成人とは、
 1 幼い者が成長すること。また、成長した子ども。
 2 おとなになること。成年に達すること。現在、わ が国では、満20歳以上の者をいう。

 このため、国民の祝日と定められている成人の日は、 2番目の意味を受けて、満20歳の成年に達した男女を 祝福する日となっているのです。そして、成年について は、人が完全な行為能力を取得する年齢。わが国の民法 では満20歳。というように書かれております。
 未成年者は判断能力が不完全なので制限されているの ですが、成年に達しますと、判断能力があるとみなされ て単独で法律的な行為を行えますし、選挙権も与えられ ます。未成年者には禁じられている飲酒や喫煙も可能と なりますが、その代わりに、犯罪を起こした場合の少年 としての保護もなくなります。保護者から完全に自立し た一人前の社会人とみなされるわけです。
 自立した社会人にとって最も重要なことは、自分の言 動に責任を持つということと、自分の力で生活ができる ようになるということであります。いままでのような未 成年だから子どもだからといった甘えは許されなくなり ます。厳しい社会ですが、努力し結果や実績を出せばき ちんと評価して認めてくれます。 
 また、一人前の社会人とは、親からやってもらう立場 から、会社や家族の人たちのためにやってあげる立場に 移ったとも言えます。自分が何かしてあげられる、与え られるというのは、人間にとっての大きな喜びでありま す。その喜びをかみしめつつ、自分の可能性を信じて訓 練や勉強に励んでいただきたいと思います。
 冒頭で述べた国語辞典では、成人の意味について、3 番目にこう書いてありました。
 知徳がそなわり人格がすぐれた人。思慮分別をわきま えた人。
 21世紀の社会を支えていく皆さんが、そのような立 派な成人となってもらうことを心から期待するとともに 、今後のご健康とご活躍を祈っております。


新成人にお祝いの言葉をのべる苅部職リハ所長
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