〔学院情報〕
平成16年度学院入学式
学院事務室


 去る4月8日(木)の10時から、当センター学院講堂において、新入生89名を迎え、 平成16年度入学式を開催しました。
 この式典では、開会の冒頭、当センターの牛山学院長から式辞がありました。 (別記1)
 続いて、当センターの佐藤総長より祝辞が述べられました。 (別記2)
 引き続き、新入生紹介のあと、言語聴覚学科2年の山口勇主君が、歓迎のことばを 述べました。(別記3)
 次に厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長塩田幸雄様などからいただいた祝電を 披露し、最後に、当日参列された当センターの幹部職員の紹介を行った後、学院歌を 斉唱して終了しました。

 以下、各学科の新入生の寸描などを紹介します。

 言語聴覚学科
 言語聴覚学科には26期生30名の新入生が入りました。平均年齢は23.9歳と若さ溢れる 1年生です。男性陣が6名と多いうえに、元気のよい人が揃い、明るい雰囲気が漂って います。出身は例年通り心理、教育、福祉、語学系が多いのですが、生物や環境、法律、 商学部などの出身者もおり、多様な刺激が受けられそうです。今年は、若いにも かかわらず園芸を趣味とする方が目立ちますが、草花を育てるのと同様に、未来に思い を馳せながら今を楽しむ気持ちをクラスの中にも育ててほしいと願っています。過密 スケジュールですので、学生達が前向きな姿勢を持ち続け、元気に2年間を過ごせる様、 共に努力したいと思います。

 義肢装具学科
 23期生10名を迎え、新学期がスタートしました。
 男女比は5:5で、現在、PO学科の全学年をみても男性17名、女性14名で、開設以来 数年間は女性が全くいないか、せいぜい1〜2名であったことを考えると、最近の女性 の進出が目立ちます。新入生の平均年齢は25.3歳と昨年より若くなっています。高校 新卒者から10年以上の社会人経験者までさまざまです。結構長い間会社勤めしていても、 一大決心をして人生の方向転換を図り入学してくるケースが多いのも最近の傾向のよう です。先日の新入生歓迎コンパでは上級生の歌あり踊りありで、大いに盛り上がりました。 年齢の違いや経験してきたことを生かして、クラスの中でお互いに高め合って欲しいと 願っています。

 視覚障害学科
 この春、視覚障害学科は17人の新入生を迎えました。昨年は初めて男性の多い学年でした が、今年は男性4人、女性13人で例年通りの割合になりました。
 大学新卒者から卒後20年の社会経験者まで経歴も経験も様々、年齢も幅があります。 おとうさん、おかあさん学生も4人おります。それぞれが得意な分野を活かし、クラスの 中で役割を見つけていって欲しいと思います。また、お互いが刺激を与え合いながら、 自分の中にある埋蔵資源を発掘し、専門職として成長していくことを期待しています。

 手話通訳学科
 手話通訳学科が1年制から2年制に移行したのが3年前、15名の定員を倍増したのが 昨年、つまり今年度は学生の人数が3年前と比べると4倍と、過去最多人数でのスタート となりました。うち新入生は28名、男性は4名、女性は24名、平均年齢はおよそ28歳です。 手話を学んだことがある人もない人も「日本手話」を習得するため、まずは頭の中の 日本語から離れようと毎日格闘しているようです。ですが、入学式では硬かった表情も 今ではすっかり柔らかくなり、苦労しながらも楽しく手話を学ぶという良いスタートを 切ったようです。

 リハビリテーション体育学科
 14期生は男性2名、女性2名の計4名です。新卒者と社会経験のある者が半々で、 平均年齢は24.8歳。
 全員が保健体育の教員免許状を取得しています。得意とする種目は水泳、野球、 ラクロス、空手と様々で、すでに入所者の体育系クラブに参加するなど、フットワーク は軽やかです。経歴は異なりますが、人数の少なさを熱いハートと個性でカバーして くれると思います。多くのことを吸収し、充実した学生生活を過ごして欲しいと 願っています。


学院在籍状況(平成16年4月8日現在)

(単位:人)
学科名 1学年 2学年 3学年
言語聴覚学科 30 30 - 60
義肢装具学科 10 11 10 31
視覚障害学科 17 12 - 29
手話通訳学科 28 31 - 59
リハビリテーション体育学科 4 10 - 14
89 94 10 193


厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長祝電


『国立身体障害リハビリテーションセンター学院に晴れて入学された皆様、おめでとう ございます。
 これから本学院で、身体障害のリハビリテーションに関する専門的な理論及び技術を しっかりと身につけていただき、将来、各地域において先導的、指導的役割を果たし、 ひいては、障害者の自立と社会参加を推進していくことを期待しております。
 どうぞ健康に留意されながら一生懸命頑張ってください。
 平成16年4月8日

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長
塩田幸雄』




〔別記1〕
学 院 長 式 辞
 


 ようやく冷たい北風と別れをつげ、爽やかな風の吹く新緑の季節となりました。国立 身体障害者リハビリテーションセンター学院89名の新入生の皆さん!入学おめでとう ございます。このセンターは広大な敷地に加え、様々な障害者と専門家が集まって おります。本日入学された皆さんには短時間で理解することが難しい施設と思われます ので、入学に際しこのセンターができるまでの歴史を簡単にお話しします。御存知の方 もいると思いますがこの大きな施設と組織がいきなり誕生したわけではありません。 この広大な土地はかつて陸軍飛行場であり戦後米軍基地となりましたが返還後、一部が リハビリセンター用地と決まり東京にありました3つの障害者更生施設が統合され移転 してきたのであります。25年前のことであります。3つの施設とは、
 1つは新宿戸山町にありました国立身体障害センター、
 1つは国立国際医療センター近くにありました国立聴力言語障害センター、
 1つは杉並区梅里にありました国立東京視力障害センターであります。
 各センターはそれぞれの障害者の生活訓練、職業訓練をしておりました。身体障害 センターは昭和24年に相模原に創設され、昭和28年に戸山町に移り肢体不自由者の更生 指導を行っておりました。現在の学院と関連付けながらお話しますとこの施設に補装具 研究所があり学院の義肢装具学科開設と深い関係があります。また、リハ体育の源で ある運動療法士が障害を持った入所者に昭和30年代から体育を指導しておりました。 聴力言語障害センターは昭和33年に創設され、聴覚言語障害の方々に医療と更生指導を 行っておりました。そこに今から33年前に日本ではじめて1年課程の聴能言語専門職員 の養成課程が創設されました。センター開設にともない所沢に移転し現在の2年制の 言語聴覚学科となっております。東京視力障害センターは昭和23年に設立され、当初は 国立東京光明寮といい後に国立東京視力障害センターと名称変更しました。視覚障害者 に理療教育と生活訓練をしておりました。3つのセンターは1つに統合され更生訓練所 となってセンターの中枢となっております。統合後、病院と研究所と学院が加わり日本 を代表する総合的リハビリテーションセンターとなりました。
 さて更生訓練所の更生は生きかえる、よみがえるという意味です。今使われている リハビリテーションという言葉は個人がよみがえる更生という意味に加え、 ノーマライゼーションという大きな社会的枠組みの変革、障害者の権利の復権、障害者 の社会参加を含んでいます。砂原茂一先生によれば「人間であることの権利、尊厳が なにかの理由により否定され、人間社会からはじき出されたものが復権する」のが リハビリテーションであるといいます。センター設立までの歴史とリハビリテーション 精神はDNAのように職員に受け継がれております。最期に新しい学生生活に入るに当たり 健康に留意し、これからこのセンターを大いに利用してリハビリテーションの心と技術 を獲得されることを希望して私の式辞といたします。
 平成16年4月8日

国立身体障害者リハビリテーションセンター
学院長 牛山 武久


学院長式辞



〔別記2〕
総 長 祝 辞
 


 本センターの桜も早々と、小さい若葉に衣替えしており、本日、国立身体障害者 リハビリテーションセンター学院の入学式の日を迎えております。皆さん入学 おめでとうございます。皆さんの教育を直接担当する教官をはじめ、センター職員が 入学された皆さんを歓迎致しております。
 最初に、センターについて説明しておきます。本センターは、国立東京視力障害 センター、国立身体障害センター、国立聴力言語障害センターの3施設の統合によって 設立されました。
 これらの身体障害者更生援護施設の機能に加えて、病院機能、研究所機能、養成・研修 機能を段階的に充実して、現在の体制となっております。
 現在、センターでは、医学的リハビリテーションから更生援護に及ぶ総合的リハビリ テーションサービスを実践し、それを基にそれぞれの部署における研究活動を展開して おりますので、実践と研究の成果を皆さんの教育に反映することができます。そのような 体制を組めることから、特に、各学科の実習内容は非常に充実していると考えております。
 入学された皆さんには、実践的教育によって、実力ある専門職に育たれることを期待して おります。
 本センターは、今年で創立25周年になりますので、その充実期に入っており、先駆的 活動の維持が最も重要であると考えております。先駆的取り組みには、外から見て 先駆的であると判断していただける表層的のものと深層的組織力とを考える必要が あります。
 深層的組織力は、新しい取り組みが必要となった時に、対応できる日頃の幅広い リハビリテーションサービスの実践とその技術の研究・開発があります。
 学院の養成事業における先駆性の一つは、社会が求める未開発の領域の養成であります。
 そのような分野においては、学院生諸君も新しい分野の開拓者の一員となり、後輩の 指導や専門性の確立に協力いただく必要があります。一方、すでに一般化されている 学科においては、基本的技術に加え、先駆的で高度な技術の伝承を可能にする取り組み です。本学院の養成課程5学科においては、そのような先駆的な養成活動に努めている ところであります。また、学院におけるこの先駆性を支える深層的組織力としては、 病院、研究所、更生訓練所との協力を強化 することが重要であると考えて、相互協力 の強化を重視しております。本日は、センターの各部署の代表者がそのような意味でも、 皆さんの入学式に参加頂いております。

総長祝辞

 さて、現代は、個人の選択を重視する時代であり、環境の変化も激しいことから、社会 のニーズは益々多様化しております。このような社会のニーズの多様化に対応するには、 単に技術の習得だけでは十分ではありません。応用力も必要となります。
 各技能の理論を理解しながら、実習の結果を常に評価し、修正しながら、理解を深め 応用力を養うことも重要です。その意味で、卒業研究も大変有効であり、当学院では 重視しております。
 皆さんの若さでは、また、選ばれた皆さんであれば、1年で吸収できる知識や技術の量 は相当なものです。本日から、2〜3年にわたり、この恵まれた環境を十二分に活用され、 皆さんにとっても、センターにとってもその成果を大いに誇れるものとなるよう願って おります。どうぞ実践力と応用力を身につけられ、本学院卒業生として高い評価を いただけるよう、研鑚される事を期待して、私の祝辞と致します。
 平成16年4月8日

国立身体障害者リハビリテーションセンター
総長 佐藤 コ太郎




〔別記3〕
歓 迎 の こ と ば
 


 街には様々な花が咲き誇り、春たけなわとなって参りました。
 新入生の皆様、この度はご入学おめでとうございます。在校生一同、心よりお慶び申し 上げます。
 これから2年または3年間、この学院において学ぶこととなりますが、皆さんは今、 希望と意欲に満ちていることと思います。
 学校を卒業してすぐこの学院に来られた方、社会人を経験して来られた方、年齢や 歩んできた道は様々だと思いますが、リハビリテーションの分野に貢献していきたい という志は皆同じと存じます。
 入学式が終わると、早速授業が始まりますが、各学科とも非常に忙しい毎日が待って います。毎日が夜中の帰宅になるのが当たり前という時期もあります。学科によって は課題が終わるまで帰れないこともあります。
 しかし、その忙しい学院生活の中で得るものは大きなものがあります。特にこの学院は  リハビリテーションセンターの一部門として設立されており、病院や更生訓練所、  研究所が隣接しているという恵まれた環境にあり、教室では学べない多くのことを経験  できます。
 学院の先生、職員の方々だけでなく、病院や研究所、更生訓練所などの先生、職員の 方々、センターに来られる様々な方々と接する機会も多くあり、どこでも暖かく学院生 を受け入れてくださります。それら多くの方々に支えられて、私達の学院生活があります。 そのことに感謝の気持ちを持って学んでいくことで、将来リハビリテーションの分野に おいて貢献できる能力や考え方を身につけていくことが出来るでしょう。
 この学院はどの学科も大変少ない人数です。皆で一緒にいる時間も他の学校に比べて 長いものとなります。そのような中で、是非皆で協力し合い、支え合っていってください。 また、何か分からないことがあったら、先生方だけではなく、いつでも私達にも頼って きてください。同じ学院で学ぶものとして一緒に頑張っていきましょう。
 簡単ではございますが、歓迎の言葉とさせていただきます。
 平成16年4月8日

言語聴覚学科2年 山口 勇主


歓迎のことば その1 学院入学式 自己紹介