一般リハ合同野外訓練報告
指導部指導課 春日井 中・山下 庄二・納富 祐輔


はじめに
 今年度の一般リハビリテーション課程の野外訓練(以下キャンプと言う。)は、昨年の 自己選択制(「1泊」と「日帰り」の2コースから、参加するキャンプを選ぶ)ではなく、 全入所者が同じ条件で、同じ目的のもと相互理解・相互協力していくという意識を明確に 持ってもらうため、「全障害合同(肢体・聴覚・視覚・内部)での1泊2日」という形で 実施しました。
 これは、「入所者が普段共に国リハで生活していながら、なかなか障害間で交流できる 場が少ないこと」また、「お互いの障害特性を理解しながら、同じ目的に向かって協力し 合う中で、幅広い人間性や社会性を培う機会として活用してもらいたい」との理由から 今回の実施となりました。以下、項目に分けて報告致します。

参加者数について
 参加者は、入所者122名(肢体82名・聴覚27名・視覚12名・内部1名)。他に、職員26名、 職リハ5名、手話通訳2名、学院リハ体育学科4名が実習として加わり、総勢約160名、 大型バス5台を貸しきっての大所帯での参加でした。

日程・場所について
 日程は、7月15日(木)から16日(金)にかけての1泊2日。場所は、昨年同様、 「東京YMCA山中湖センター」でした。7月に入ってから猛暑が続いており、熱中症や 脱水症状が大変心配されましたが、期間中は大きな病気や事故もなく、予定していた プログラムは、全て最後まで進めることができました。

様々な場面で
 今回のキャンプは、参加者数が大変多く、あらゆる場面での交流はなかなか難しかった ものの、「役割別の班打ち合せ」や「実行委員会」、「野外炊事」や「食堂での班ごとの 食事タイム」、「キャンプファイヤー」や「野外レクリエーション」等々主要な場面では、 入所者同士がいろいろなメンバーと交流し、お互いをより理解しよう、協力しよう、 とする様子が伺えました。
 例えば、「役割別の班打ち合せ」や「実行委員会」では、班長さんを中心に、筆談や 手話通訳を利用し、四苦八苦しながら、各障害の意見を聞いたり、まとめようと一生懸命 でした。最終的にコミュニケーションがうまくいかなくても、相手の意見を聞いてみよう、 自分の意見を伝えてみようとする場面は多く見られました。
 「野外炊事」や「食堂での班ごとの食事タイム」では、肢体入所者が行動・移動する上で うまくいかない時に、同じ班の聴覚入所者が食事を運んであげたり、荷物を持ってあげたり していました。また逆に、状況を理解していない聴覚入所者に対し、肢体入所者が身振り 手振りで指示出しをしたりといった場面も見られました。
 また、「キャンプファイヤー」や「野外レクリエーション」では、司会進行や内容・構成 については肢体入所者が中心となり、会場準備や緊急対応については聴覚入所者が率先して 担当する、というような役割分担がしっかりできていて、一人一人が責任を持って動くこと ができたため、とても楽しい企画が実現できたと思います。

炊事場にて

ボート体験中

反省点について
 今回のキャンプについては、いくつか反省課題があります。例えば、視覚の入所者に 対するサポートが足りなかった点です。具体的には、行き帰りの高速サービスエリア内での 環境認知や野外炊事場面での支援、レクリエーション場面での支援等、視覚入所者の場合は、 障害特性をしっかり理解した上で支援可能な人的サポートが一定数、常に必要となります。 この点に関しては事前準備が足らず、視覚入所者だけが取り残されてしまう状況もあり、 今後検討していかなければなりません。
 また、参加者人数が倍増したため、各班の話し合いがスムーズにいかなかったこと、 視覚障害と聴覚障害とのコミュニケーションをどうすればよいか、より配慮した安全管理 について何が必要か等、考えていかなければならない課題も見えました。

今後に向けて
 本年度は、入所者を中心とした実行委員会を5月の連休明けより毎週月曜日のホームルーム 後に実施してきました。今回の野外訓練の良かった点、難しかった点を改めて整理し、 各部署との連携を見直し、また来年度に向けて検討していきたいと思っています。

おわりに
 最後になりましたが、今回、大きなケガや病気・事故もなく、計画していたプログラム を無事に終えることができました。参加者全員がキャンプを実りあるものにしようという 意気込みが、今回の成果に結びついたと感じています。また、いろいろな面でサポートを 頂いた職員の方々に、この場をかりて御礼を申し上げます。
 あわせて、今回のキャンプについてのアンケート結果をまとめましたので、御報告致します。


桟橋に集合



平成16年度 野外訓練後の入所者に対する アンケート調査結果

(1) 参加入所者数   122名
(2) 回答者数      76名
(3) 回収率        62.2%
(4) アンケート結果

  アンケート項目 ※T U V
1 日程(7月15日〜16日について) 62% 37% 1%
2 期間(1泊2日)について 44% 36% 20%
3 食事 1日目夜(炊事)について 41% 37% 22%
2日目朝(食堂)について 42% 41% 17%
2日目昼(食堂)について 56% 34% 10%
4 レクリエーション 1日目夜について 79% 20% 1%
2日目について YMCA山中湖 (A) 89% 5% 6%
高村美術館 (B) 84% 16% 0%
ダラスヴィレッジ (C) 55% 36% 9%
5 キャンプファイヤーについて 57% 39% 4%
6 しおりについて 56% 37% 7%
7 宿泊施設(YMCA山中湖センター)について 38% 48% 14%
8 係りの打ち合わせ、実行委員会のやり方について 38% 44% 18%
9 障害合同(肢体・聴覚・視覚・内部)実施について 52% 37% 11%
10 入所者の全員参加について 51% 36% 13%
11 希望者だけの参加になった場合、どうするか。 33% 46% 21%
12 野外訓練は今後も必要な行事か。 54% 33% 13%

※T…よい、楽しかった、参加する、はい
 U…どちらともいえない
 V…よくない、つまらなかった、参加しない、いいえ



(6) 今回の野外訓練全体に関する感想・意見
●半数以上は、「楽しかった」「自信になった」という意見でしたが、その他様々な 参考意見が出ましたので、掲載致します。