〔学院情報〕
平成17年度学院入学式
学院事務室


 去る4月7日(木)の10時から、当センター学院講堂において、新入生85名を迎え、 平成17年度入学式を開催しました。
 この式典では、開会の冒頭、当センターの牛山学院長から式辞がありました。 (別記1)
 続いて、当センターの佐藤総長より祝辞が述べられました。 (別記2)
 引き続き、新入生紹介のあと、義肢装具学科3年の根本和彦君が、歓迎のことばを 述べました。(別記3)
 次に厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長塩田幸雄様などからいただいた祝電を 披露し、最後に、当日参列された当センターの幹部職員の紹介を行った後、学院歌を 斉唱して終了しました。

 以下、各学科の新入生の寸描などを紹介します。

 言語聴覚学科
 満開の桜に祝福されて入学したST学科27期生は、2年制の14期生になります。
 平均年齢25.1歳と現在の2年生よりやや高めです。なぜか熊本出身者が5名もいます。 男性3名は女性陣に圧倒され気味ですが、初日から明るい笑い声が溢れ、活発な発言の みられる元気いっぱいのクラスです。講義1日目は土曜日、しかも9時から18時30分ま で5時限のハードスケジュールでしたが、新鮮な充実感を堪能しているようです。この カリキュラムを乗り切るには体力も気力も必要です。心身の健康にも十分気をつけ、励 んで欲しいと願っています。

 義肢装具学科
 24期生として10名の新入生が入学し、緊張した雰囲気の中で授業がスタートしました。 男女比は6:4で平均年齢24.5歳のクラスです。高校新卒の18歳からその約2倍の年齢 まで幅広く、社会人経験者も多く、また既婚者もいます。今年は10名中、3名が北海道 出身者で占められています。義肢装具士法に基づく義肢装具士養成所指導要領が改訂され、 これに伴い昨年、当学科でも養成カリキュラムの改訂を行いましたので、今年の新入生 からこのカリキュラムに基づいた授業が行われることになります。より実践的な義肢装 具士の育成を目指していますが、年齢差やさまざまな経験の違いを上手く利用してお互 いに刺激し合い、専門職として成長して欲しいと願っています。

 視覚障害学科
 視覚障害学科16期生は15名(男性3名、女性12名)が入学しました。大学での専攻は 相変わらず多岐にわたりますが、例年以上に社会学系の出身者が7名と半数を占めてい ます。福祉系は2名と少なく、心理系が3名です。視能訓練士の有資格者が2名います。
 さらに今年の傾向として新卒者が5名と少ないことが上げられます。社会人経験者は 経験年数0.5年という短期間の人から10年までのベテランの人までいますが、1年生全 体の平均年齢は25.7歳で、さすがに教官の平均年齢よりも遥かに若い(!)です。 
 クラスの雰囲気はなかなか活発で、互選により選出されたクラス委員長、副委員長が 良い雰囲気を醸し出してくれています。今後の成長に大いに期待したいと思います。


 手話通訳学科
 今年もいよいよコミュニケーションのプロを目指すべく26名(うち1名休学)が新たに 手話の世界に飛び込みました。平均年齢26歳。教官4名の平均年齢はおよそ39歳!
 この13歳のギャップは毎日いろいな事件となって表面化し話題を提供してくれています。 (ろう文化と聴文化の間から「若者文化」の台頭か?)2年後の手話通訳者を目指し、今 は恒例の「手話のシャワー」を浴びているところです。


 リハビリテーション体育学科
 15期生は男性1名、女性3名の計4名です。全員が大学新卒者で、平均年齢は22.8歳と フレッシュなメンバーが揃いました。例年、保健体育の教員免許状を取得済みの新入生が 多いのですが、本年度は福祉学部や政治経済学部出身者などキャリアチェンジをした新入 生が多いのが特徴です。大学で履修した学問領域はそれぞれ異なりますが、“リハビリテ ーション体育を学ぶ”という初志を貫き、新たな学問領域に挑んでくれることを期待して います。学生生活の中で多くのことを吸収し、充実した2年間を過ごして欲しいと願って います。



学院在籍状況(平成17年4月7日現在)

(単位:人)
学科名 1学年 2学年 3学年
言語聴覚学科 30 30 - 60
義肢装具学科 10 9 10 29
視覚障害学科 15 12 - 27
手話通訳学科 26 25 - 51
リハビリテーション体育学科 5 4 - 9
86 80 10 176



厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長祝電

『国立身体障害者リハビリテーションセンター学院に晴れて入学された皆様、おめでとうございます。
 これから本学院で、身体障害者のリハビリテーションに関する専門的な理論及び技術をしっかりと 身につけていただき、将来、各地域において先導的、指導的役割を果たし、ひいては、障害者の自立 と社会参加を推進していくことを期待しております。

  平成17年4月7日

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長 塩田幸雄』




〔別記1〕
学 院 長 式 辞
 


 心待ちにしていた桜の開花がようやく見みられ、めでたく今日の学院入学式を迎えました。17年度 新入生の皆さん!入学おめでとうございます。この学院はリハビリテーション専門職員の養成という 使命を持って、センターの主要な一部門として設立され、今年度も85名の意欲ある優秀な皆さん方を 迎えることができました。皆さんが在籍する言語聴覚、義肢装具、視覚障害、手話通訳、リハビリテ ーション体育の5学科は我が国の医療・福祉を取り巻くリハビリテーションの分野で障害者が必要と していることをいち早く受け止め、その専門職の養成を先駆的に果たして来ました。障害者リハビリ テーションをめぐる提言は年々新たになされておりますが本質的に大きくは変わっていないと思いま す。故・津山直一名誉総長はリハビリテーションに携わるすべての専門職に必要なことはリハビリテ ーションマインドを持つことであると強調されました。障害者を支援しようとする気持ちを持つこと がなによりも重要であると思います。これから2年間あるいは3年間、厳しい教育が待ち受けています。 どうか、目指す学科の基礎と応用をじっくり掘り下げ身につけて頂きたいと思います。
 WHOによる新しい障害分類、International Classification of Functioning, Disability and Health、 ICF(2001)と呼んでいますがkey wordの一つは障害者の社会参加です。この社会参加に必要な障害者 を取り巻く制度あるいは物理的環境の整備が必要なことが一つあげられます。同時にリハビリテーシ ョン技術者を養成することが求められています。リハビリテーションは日本では医学的リハビリテー ションという意味合いが強く先行しておりますが、アメリカでは今から85年前、1920年に障害者職業 リハビリテーション法(スミス・フェス法)が成立しリハビリテーションとは職業リハビリテーショ ンをさしておりました。また視覚障害者の生活訓練で象徴されるような生活力をつけ、社会生活技術 の獲得や経済的、心理的問題の解決を図り、その結果豊かな社会参加を実現する社会リハビリテーシ ョンといわれる分野が強調されるようになりました。本質的に変わらないとはいいながら、一方でこ のようにリハビリテーションの領域、内容は職業、医学、社会と多様に拡大しております。現在進め られているノーマライゼイション、障害者の権利擁護といった思想の流れとを踏まえ、リハビリテー ションの広がりを考えると、みなさんが選択した学科はいずれも非常に重要であり、貴重な選択をな されたと思います。
 現在、このセンターには多くの様々な障害者が社会に出ていくために訓練に励んでおります。こう した総合センターは世界で希でありセンターの誇りであります。どうか障害者と接しながら、障害者 のために役立つ技術を修得して下さい。本校の在校生は少ないとは言いながら卒業生は今年で1,611名 になり、現在各地で活躍しております。これから折に触れ卒業生の活躍する状況をお聞きする機会が あるかと思います。そうしたお話しも参考にして下さい。
 最後に皆さんの学生生活が明日からすばらしいものであることを念願し、私の式辞といたします。

 平成17年4月7日

国立身体障害者リハビリテーションセンター
学院長 牛山 武久


学院長式辞



〔別記2〕
総 長 祝 辞
 


 まさに春爛漫、桜の花が満開の中、本日入学生の皆さんを迎えることができました。国立リハビリ テーションセンター・学院に入学された85名の皆さん入学おめでとうございます。センター職員一同 皆さんを歓迎すると共に、皆さんの学院における研鑽の成果が今日の桜のごとく充実したものとなる ことを期待します。
 皆さんは医療・福祉分野で活動するという高い志を持って入学して来られたことと思います。この 医療・福祉分野では、病気や障害を持たれる人々を全人的に受け入れることがまず重要です。その場 合に、同じ程度の障害があり、同じ様な支援が可能であっても、それぞれのケースが求めるところに は大きな違いがあり得ます。ある人は予想以上の支援が必要であり、ある人はほとんど支援が不要で あると考えることがあった場合に、それぞれのケースに適切な支援を専門的立場で判断することが求 められます。そのような時のための基本的知識と活動の進め方についてしっかりと学んで下さい。
 また、医療・福祉分野が今大きく変革しようとしております。それは、介護予防や障害者の自立支 援など、障害者や高齢者の社会参加をより充実したものとする事であり、将来の皆さんの活動の目標 がより高いレベルのものとなり、社会的意義もさらに高いものとなる方向にあります。皆さんが互い に協力、啓発しあって全員が初期の目的を達成されることを願っております。
 ここで、皆さんがこれから学ばれる当学院の歴史について簡単に紹介しておきます。当センターは、 国立東京視力障害センター、国立身体障害センター、国立聴力言語障害センターの3施設の統合によ って26年前に設立されました。これらの身体障害者更生援護三施設にあった機能に加えて、病院機能、 研究所機能、養成・研修機能を段階的に充実して、現在の体制となっております。
 言語聴覚についての養成は国立聴力言語障害センターの時代に開始されております。また、義肢装 具についての養成は国立身体障害センターの時代に開始されております。視覚障害者の生活訓練や障 害者スポーツの指導はそれぞれ国立東京視力障害センターと国立身体障害センターにおいてアメリカ の先進的指導法を導入しながら行われておりました。それを基に担当者の熱意によって、視覚障害生 活訓練専門職員養成課程とリハビリテーション体育専門職員養成課程が、当センター創立12年、13年 目に設立されております。さらに、手話は国立聴力言語障害センターにおけるコミュニケーション手 段でありましたが、その高度な専門職の養成を目的として本センターに設置され、近年一層充実して おります。
 これらの学科はいずれも統合前の施設の伝統を受け継ぎ、それぞれの分野における我が国における パイオニアとなっており、皆さんの多くの先輩は各分野において指導的立場で活躍しております。皆 さんはこのような伝統ある養成課程を選択し、難しい試験をパスして入学されました。是非初志貫徹 し、実力のある専門職となられることを期待しております。
 ことを遂行する過程は五つに区別することが出来ます。最初に目的設定、次に計画作成、目的に向 かった効果的実行、結果の評価、さらに調整の段階に区別されます。皆さんはそれぞれに目標を持っ て入学されておりますので、今後は、是非生活設計をしっかりと立てて、効率的に学習されることを 願っております。もし問題があれば早めに問題点を整理し、生活設計の調整を行い、初期の目的を達 成して下さい。また、余裕をみて、学院の他学科の内容やセンターで展開されております医療・福祉 サービスについて見聞することをおすすめします。今後の皆さんの活動に役立つ点があるものと思い ます。
 改めて、皆さんの入学をお祝いすると共に、実り多い学院生活を送られることを祈念して祝辞と致 します。

総長祝辞

 平成17年4月7日

国立身体障害者リハビリテーションセンター
総長 佐藤 コ太郎





センター内の桜



〔別記3〕
歓 迎 の こ と ば
 


 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。在校生一同、心よりお喜び申し上げます。桜の花も咲き始め、ようやく春らしくなってきました。皆さんはこれからの新しい出会いや始まりに対して、大きな希望に満ちていることと思います。こうして希望に満ちた顔を見ていると、私たちも心が洗われるようで、心機一転がんばろうという気持ちになってきます。私たちもまだまだ学ぶ身であり、たいしたことは言えませんが、この学院の仲間として、皆さんに三つほどの助言をしたいと思います。
 はじめに、今日のこの希望に満ちた気持ちをずっと忘れないでください。入学式が終わると早速授業が始まります。各学科とも密度の濃いカリキュラムが組まれ、実習や課題などで帰宅するのが夜遅くになることもあるでしょう。忙しい日々に疲れ、そっと逃げ出したくなることもあるかもしれません。そんなときは今日のこの決意を思い出してください。きっと乗り越えられるはずです。幸いなことにこの学院は環境に恵まれ、病院や研究所、更生訓練所なども隣接していますので、意欲があれば数多くのことを吸収できると思います。今日のこの気持ちを胸に、貪欲に学業に励んでください。
 つぎに、今となりにいる仲間を大切にしてください。これからの学院生活において、順調に過ぎる日もあれば、様々な岐路に立たされる日もあることと思います。遠回りをしようか、引き返そうか、あるいは立ち止まろうかと思い悩むこともあるかもしれません。そんなときは隣を見てみてください。2年または3年間苦楽を共にする仲間がそこにはいるはずです。これからの人生においても、かけがえのない存在となる仲間だと思います。そっと手を差し伸べてくれることでしょう。また、この学院には球技大会や体育祭、交流会などのイベントも用意されており、これらを通じて他学科との親睦も深めることができます。学科や学年の壁を超えて、どんどん輪を広げていってください。私たちもちょっとしたアドバイスぐらいならできるかと思います。参考になるかどうかはわかりませんが、皆さんの学院生活が充実したものとなるのに、少しでもお役に立てればと思います。いつでも声をかけてください。
 以上簡単ではございますが、歓迎の言葉とさせていただきます。
 平成17年4月7日 

在校生代表 義肢装具学科3年 根本和彦


歓迎のことば