〔野鳥シリーズ47〕
リハセンターに飛来する野鳥を友に
東京都福祉事業協会 母子生活支援施設    
    スタルト方南 見原 捷三(元理療教育部長)



ハチクマ(蜂熊)

 今年は、偉大な作曲家モーツァルトの生誕250年を迎え、世界的にモーツァルトイヤーになりそうです。このモーツァルトは殊の外、旅を愛し、その旅の先々で名曲が生まれたと言われています。人はモーツァルトに限らず旅を愛して娯楽のために、あるいは、仕事のために旅をします。

 ところが、野鳥の旅は寒さから逃れる旅であり、また食物を求めて、まさに生死をかけての旅を春と秋に、目的地に向かって大移動を行います。一昨年、映画「WATARIDORI」(渡り鳥)が封切られ、その後TVで放映、DVDにもなっていますので、生きるための凄まじい渡り鳥の生態をご覧になった方もおられるかと思います。

 さて、前置きが長くなりましたが、タカシリーズの最後にハチクマを掲載します。このハチクマも前々回掲載したサシバ同様、渡り鳥です。大きさは、雄57cm、雌は約60cm、翼開帳時約121〜135cmです。日本では、夏鳥として渡来後、本州以南で繁殖し、秋には再び東南アジアを目指して渡っていきますが、このハチクマが凄いところは、目的地には何丁目何番地のまさにピンポイントで帰ることです。

 日本に飛来したハチクマは、低山や丘陵地に棲み、ハチの幼虫及びさなぎを好んで食べますが、カエルや蛇なども捕食します。名前が示すとおり、地中にある地蜂の巣を見つけると足で掘り起こして食べます。この時、ハチの攻撃から身を守るために、足は羽毛で覆われ、またハチの毒に対する免疫を持っていると言われています。好んで捕食するのは、地蜂の幼虫ですが、残念ながら蜂の巣を掘って食べているところをつぶさに観察した人は少ないそうです。

 繁殖期には、低山帯の大木の枝に、枯枝を積み重ねて皿状の巣に2個産み、抱卵日数約30日、その後巣立ちまでに40日位要します。この時期「ピイヨー」と大きな声で鳴きます。  春は、東南アジアからの渡りの時期を迎えます。この頃になるとサシバやクマタカを市街地の上空でも良く見かけます。

 リハセンター上空を見かけることもありますので、タカの観察をお勧めします。



(写真)大空を舞うタカ