〔魚拓シリーズ6〕 |
ヤ マ メ |
前理療指導室長 川政 勲 |
ヤマメは山女魚と書く。サケ目サケ科の魚で、サケ科の多くが海に居て川へ遡るのに対して
、終生川で生まれ育つ種である。
日本列島の深山に分布し、源流にイワナ、少し下がってヤマメと棲み分けている。腹部に黒
っぽい楕円型の紋が八個並び、背は水中に居ると灰褐色に見え、黒い点が明らかである。
箱根を境に西に居るヤマメは、腹部の楕円の周辺や背にかけて、パーマークと呼ぶ美しい朱
点が散在するが、東に居るヤマメにはこの朱点が無い。そのため東はヤマメ、西はアマゴと呼
ぶのが一般的になった。
作品のヤマメは函館で釣ったものである。
2月号の岩魚の川の下流に、鮎やヤマメの釣れる場所がある。初めてその川の下流から入り
、イワナ釣りを楽しんだことがあった。
イワナが釣れたと思い喜んだらヤマメだった。魚体がイワナより綺麗なヤマメが釣れて、魚
拓を作る身にとっては嬉しい獲物であった。
「北海道ではイワナは馬鹿でも釣れる。川釣りの本分はヤマメ釣りだ」と言い、「釣り狂」
と自認している男たちはヤマメ釣りに研究を重ねエネルギーを注ぐ。
だから、北海道では大きなイワナを釣っても誰も褒めてはくれない。
ヤマメを5匹ほど釣ったが、函館、青森の魚拓教室には20人からの生徒が居る。大きさも数
も教材用に足りなかったため、20日ほど置いて再度その川へヤマメを求めて出かけた。
川の側へ車を置き、クラクションを数回鳴らし、着替えをして、釣竿に仕掛けを繋ぎ、リュ
ックを背負い再度クラクションを数回鳴らし、河原へ2〜3歩降りた途端に20Mほど先の藪か
ら、ヒグマが河原へ降りてきた。
私はびっくり仰天し、慌てて車に戻りすぐにその場から離れた。
ヒグマが私の後を追って走ってきたのか、ヒグマも驚いて藪の中へ消えたのかは見ている
余裕など無かった。
ヒグマとの遭遇は2回目であった。いずれもやられなかったのは悪運が強かったのだろう
。