〔学院情報〕
リハビリテーション体育学科紹介
障害のある学生に対する支援について
学院事務室



 リハビリテーション体育学科は、障害をもつ方で、身体機能が低下した方を対象として、社会で積極的に活動できるよう 運動機能の向上、健康の維持・増進を図り、スポーツを通じて生活の質(QOL)を高めるための適切な運動やスポーツを指導 ・訓練する専門家を養成することを目的として、平成3年に1学年20人の2年制による学科として設置されました。発足以来 15年間で115名の卒業生を送り出しています。リハビリテーション体育学科では、開学当初に聴覚に障害のある学生1名を受 け入れましたが、今春、学科として2人目の障害のある学生(頸髄損傷C6)を迎えることになりました。そこで、当学科に おける障害のある学生への勉学や生活のサポートの取り組みを紹介します。

○学生に対する支援のあり方
 当学科の教育は、理論と実践の結びつきを大切にしており、カリキュラムもこのような考えをもとに編成されています。 実技・実習・特別研究は全ての学生に課しており、自らが直面した問題を独自の取り組みで解決していくという過程を重視 しています。これにより、学生自身の自主的な問題解決能力と、創造性を引き出すことができ、受動的な学習のみからは絶 対に得られない貴重な学習となります。
 障害のある学生に対する支援においても、単に手を差しのべるだけではなく、学生とともに何ができるかを考え、試行錯 誤を繰り返しながら問題解決に取り組むことで、障害のある学生自身が成長するための支援を行うことが重要であると考え ています。

○障害のある学生への支援
 施設・設備の面においては、当センターは身体に障害のある人々に対するリハビリテーションを一貫した体系のもとに総 合的に実施することを目的として設置されていることから、障害のある学生を受け入れる体制が整えられています。当学科 は学院棟2階にありますが、スロープ、エレベーター、身体障害者用トイレの設置は勿論、体育実技で使用する体育施設( 体育館、陸上競技場、プール等)についても障害のある学生に対する配慮がなされています。
 授業では、その科目の担当教官が責任を持って障害に応じた支援を行うことにしています。特に体育実技の授業では、健 常学生があまり経験していないであろう題材を数多く取り入れ、学習開始時に「上手い」「下手」ができるだけ意識されな いよう、スタートラインが同じとなるような環境づくりに配慮しています。また、学科全体として、休憩時間の延長、トイ レ休憩の取得、試験時間の延長等を実施しています。過日、学生を対象に健康診断が行われましたが、障害のある学生は車 いすを利用しており、検診車両での受診が困難であったため、病院の協力を得て無事健康診断を終えることができました。 関係者にお礼を申し上げるとともに、このような対応ができることも当センターの特徴といえます。

○障害のある学生に期待すること
 リハビリテーション体育の目的は、障害者それぞれが生涯にわたって自立したスポーツ活動を行えるように支援すること です。ところが、実際の支援の現場では、指導者は障害の種類・程度を意識するあまり障害者自身の意図とは全く別の種目 を提供し、障害者は与えられた種目を違和感なく受け入れている、そんな場面に遭遇することがあります。そのような支援 では、互いの成長がほとんどみられません。当学科が障害のある学生に期待することは、「できない」、「無理だ」と思っ ている授業(特に実技)に果敢に取り組み、「自分にはどのような支援が必要か」、「どうすればできるようになるか」と いうことを自身が考え、サポートする健常学生・教官に積極的に意見を述べて欲しいと思います。障害のある学生とともに 何ができるかを考え、問題解決に取り組むことで、障害のある学生と健常学生・教官が共に成長しあえる素晴らしい教育環 境が構築できると考えます。

 最後に、リハビリテーション体育専門職員という目標に向けて歩みはじめた障害のある学生Aさんからの感想をご紹介し ます。

−リハビリテーション体育学科に入学して−
 私が学院のリハビリテーション体育学科に入学して、はやくも4ヶ月が過ぎました。入学当初は、初めての一人暮らしや 、学校の勉強についていけるかなど、とにかく不安な気持ちでいっぱいだったように思えます。しかし、1ヶ月、2ヶ月と 日が経つにつれ、ここでの生活にも慣れ、今は気持ちに少し余裕が持てるようになりました。現在、学校で学んでいる事は 、今まで自分が知らなかった新しいことばかりなので、とても興味深く、楽しいです。実技の授業では、なかなかみんなと 一緒にというのは難しい時もありますが、一緒に体を動かすことができなくても、何か私にできる事、私にしかできないこ とがあると思うので、それを探して身につけていきたいと思っています。一日一日を大切に、今自分にできることを精一杯 頑張ろうと思います。