〔更生訓練所情報〕 |
一般リハビリテーション課程合同野外訓練を終えて |
職能部 職業指導専門職 若林 耕司 指導部指導課 生活支援員 堀 美貴子 |
はじめに
7月25日(火)一般リハビリテーション課程の職能部利用者を対象に、野外訓練(以下「デイキャンプ」という)を実施しました。
全障害(肢体・聴覚・視覚・内部・高次脳機能)合同で行い、参加者は利用者82名、職員27名の計109名です。
今年度は埼玉県秩父市にある「吉田元気村」にて、デイキャンプ形式での実施としました。日帰りのため利用者の身体的負担が軽減
され、医学的な制限も減少したことから対象者のほぼ全員が参加可能となりました。
当日に向けて
今年度のデイキャンプは小集団の中で利用者一人ひとりが役割を持つこと、その中で自主性や協調性を高めることを目的に、企画・
立案から利用者主体で準備を進めていきました。利用者6名程度で1グループを編成し、計14グループが出来ました。
まずはグループごとに顔合わせをし、グループ名の検討です。男だらけの「野郎グループ」、メンバー間のつながりをイメージした
「どーなっつグループ」、天使と悪魔の顔を併せ持つ(?)「ダークエンジェルグループ」、鶴の一声で決まった「とりあえず頑張ろ
うグループ」などなどメンバーを象徴するような、ユニークで個性あふれる名称が揃いました。
その後は班長を中心に、昼食メニューの検討です。時間や場所、調理道具に制限がある中で、ここでも様々なアイデアが飛び出しま
した。キャンプの大道であるカレーやバーベキュー、やきそばはもちろん、おしゃれな「夏野菜のパスタ&ビーフン」、一瞬耳を疑う
ような珍メニュー「お好み焼きバーガー」、「南国サラダ」、「燻製三昧」。極めつけは「自家焙煎コーヒー!」キャンプ場でコーヒ
ー豆を炒る…斬新なアイデアだと思いませんか。
メニューが決定した後は、必要な食材の分量や調理手順、メンバーの役割分担について話し合いを行ってきました。そして全体発表
会を開催し、それぞれのグループからメンバーやメニューの紹介を行うことで当日に向けての決意を新たにしました。
いざ吉田元気村へ
いよいよ当日。大型バス3台に乗り込んで出発です。利用者、職員ともにこれまでの成果を発揮しようと意気込んでいたものの、窓
には残念ながら雨粒が。期待をこめて一足先に準備をしている先発職員に電話をしたところ、現地はさらに大雨との情報を得、落胆し
たのは言うまでもありません。
しかし約2時間の道中、109名の祈りが通じたのか到着する直前になんと晴れ間が…!雨雲の隙間からにっこり顔を出した太陽に、
車内は歓声と拍手に包まれました。現地に到着し、開村式を済ませた後は各グループに分かれて調理開始です。大汗を掻きながら火
起こしをする方、食材を洗って準備する方、包丁で切り分ける方、味見をする方、盛り付けをする方など事前の話し合いに基づいて
、各自役割を果たそうと熱心に取り組む姿が印象的でした。そんな中完成した料理はもちろんのこと、達成感にあふれた利用者のみ
なさんの表情はとても輝いていました。
その後コース別のレクリエーションを実施しました。様々なニーズに合わせてスポーツで汗を流すアクティブコース、空高く打ち
上がる様子に大歓声のペットボトルロケット飛ばしコース、自然の中で思い思いの時間を過ごすのんびりコース、元気村付近の合角
ダムへのハイキングコース、以上の4コースを設け、限られた時間ではありましたが日頃のセンター生活とは異なる大自然の中でリ
フレッシュする機会になったと思います。
おわりに
到着してから出発までの間、天候は私達に味方し一日はあっという間に過ぎていきました。昼食づくりがメインとなり、レクリエーシ
ョンの時間が充分持てなかったことは否めませんが、グループでの活動を通して自主性や協調性を高めるという当初の目的は果たせたの
ではないかと感じています。
また職員にとっても、利用者のみなさんの新たな一面を発見する機会となり、今後の支援に活かしていきたいと強く思っています。実
施形態や内容について課題は残されていますが、利用者のみなさんにとってより良い野外訓練となるよう、今後も検討を重ねていきたいと思います。