〔病院情報〕 |
病院での職員研修の紹介 |
病 院 |
病院では、院内に設置されている各種の委員会あるいは各部門などが、個別の専門分野の研修・職員全員を対象とした研修など様々な研修会を実施しています。
今回は、そのうち11月8日(水)に行われた「患者サービスとは−ボランティア活動を通して見えてきたもの−」、11月22日(水)に行われた「患者の権利−医療の倫理−」を紹介いたします。
去る11月8日(水)に患者サービス向上委員会主催の職員研修会が「患者サービスとは−ボランティア活動を通して見
えてきたもの−」というテーマのもと開催されました。講師には江藤更生訓練所長からのご紹介で、「東大病院にこにこ
ボランティア」代表の森田晃弘氏をお迎えしました。
東京大学医学部附属病院では、平成6年から患者サービスの向上を目的としてボランティアを導入したそうです。ボラ
ンティア活動の具体的内容は、病院内の案内や簡単な介助、図書サービス、小児科病棟での遊び相手、入院患者様の買い
物やリハビリ室への送迎などです。病院スタッフだけでは対応が十分とはいえないことに対して、まるで「孫の手」でか
ゆいところに手が届くように、患者様のニーズに合わせたサービスがなされている様子をお話とともにビデオでも拝見す
ることが出来ました。
「つかず、離れず。ボランティアで大切な心構えです。」と森田氏。「患者さんがボランティアの助けを必要としてい
るか、まずは様子を見る。その後、その方が必要としている時に、必要とされることをお手伝いする。そのタイミングの
見極めが大切です。」というお話が印象的でした。たとえば、杖をついて歩いてこられる患者様にさっと車椅子を用意す
ることが望ましいのではなく、その方が本当に車椅子を必要としているのか見極めた上で対応すること。定年退職なさる
まで三越デパートで、サービス業のプロとしてご活躍だった森田氏のご講演に、職員一同、本当の意味での「患者サービ
スとは?」というテーマを考える良い機会となりました。
講演後に参加職員80名を対象に実施したアンケートの結果でも、「講演が有益なものであった」という感想が八割を占
めたこと、講演の最後に岩谷総長にもご挨拶いただき、会を無事に終えることが出来たことは主催したものの一人として
、喜ばしい限りでした。
病院機能評価を受けるに当たって、それぞれの課題や問題点を解決するためにワーキンググループや委員会が設立され
ています。その中の一つとして、「患者の権利」ワーキンググループが設けられ、“患者様の権利”原案の作成・検討を
行ってきました。その原案を病院機能向上委員会や病院部長会議、センター幹部の方々からの助言を得て完成し、すでに
皆様のお手元に配布されていることと思います。
今回の研修会は、ワーキンググループのメンバーでもある病院眼科医長 石田みさ子先生を講師として「患者の権利」
−医療の倫理− というテーマで講演していただきました。「患者の権利」ができてきた歴史的背景や医療現場の現状な
どから、われわれ現場で働く医療従事者が理解しておくべきことを、わかりやすく講義していただきました。そのなかで
、話題にあがったのが「患者様」なのか「患者さん」なのか?という議論です。医療におけるトラブルの多くは、医療側
と利用者側との信頼関係のほころびから起きていることが多いとされております。信頼関係を築くには“言葉”ではなく
お互いの“意識”が重要であって、仮に日常のコミュニケーションにおいては“様”もしくは“さん”のどちらであって
も、お互いの信頼関係と了解があれば表現そのものが問題にはなることは少ないと考えられます。しかしながら、我々ワ
ーキンググループでは、医療側と利用者側が対等の立場でなければならないこと、おまかせ的な医療ではなく説明と同意
に基づいた医療であること、最近の各医療施設での動向、お互いの権利や責務を認め合うという必要性からも、病院とい
う組織の公的な表現としては“様”が望ましいと考えておりました。
今後も、利用する側の立場や見方を忘れずに、利用される方から信頼される医療機関をめざしていくべきと思います。