〔魚拓シリーズ13〕
イシダイ・タナゴ
前更生訓練所理療指導室長 川政 勲



 イシダイはスズキ目イシダイ科の魚で、近い仲間にイシガキダイがある。

 静かな入り江や港の中で幼魚期を過ごした後、2年魚になると水深50メートルまでの岩礁地帯に移動する。

 イシダイ釣りは磯釣りでは「幻の魚」と呼ばれ、夢の魚である。

 函館の近港では何処ででも釣れるが、成魚になる前に居なくなるから釣れても小さい。しかし、魚拓用には丁度良い大きさである。

 タナゴはスズキ目タナゴ科。北海道中部から九州の日本各地に分布。ホンダワラなどの褐藻類の茂った岩場に多い。タナゴは胎生する魚で有名。山陰地方には逆子を産むから妊婦には食べさせないという迷信があるそうだ。

 函館の入舟漁港へよく釣りに行った。

 灯台の4本手前の電柱のあたりがよく釣れる場所で、いつもそこへ行くとイシダイもタナゴも私を迎えてくれる。

 挨拶代わりにコマセを撒き、竿を取り出して仕掛けに餌を付けおろしてやるとすぐに飛びついてくる。どっちが掛かってきても魚拓用に丁度良い大きさで珍重していた。

 たまに30pぐらいのタナゴが掛かり、腹から赤ん坊が出てくると思わず海へ帰してしまう。

 一度熊石の漁港で60数匹も釣れ、餌が無くなって帰ってきたことがある。

 名人でも餌が無ければ魚は釣れない。

夏霧のほどけて夜景現われり  いさお



イシダイ・タナゴ