〔更生訓練所情報〕
身体障害者リハビリテーション研究集会2007に参加して
更生訓練所指導部相談判定課 心理判定専門職 間野 弘道


 平成19年11月15日(木)、16日(金)の2日間、身体障害者リハビリテーション研究集会2007が、さいたま市の彩の国すこやかプラザにて開催されました。「障害者自立支援法における就労支援と自立生活」というテーマのもと行われた集会に、全国から170名以上の方が参加されました。

 初日には特別講演が、2日目には特例子会社の社長や自治体職員が参加してのシンポジウムがあり、障害者の自立の概念や方向性、また今回のテーマでもある就労支援についての制度的な取り組みや現場での方策などについての講演や意見交換が行われました。各個人のできることを生かしてそれを仕事に結び付けている海外の例や、実際に障害者雇用を積極的に行っている企業からの雇用側での配慮点、就職するに当たって当事者にできておいてほしいことなどの要望、また公的機関である自治体の立場での就労移行支援事業の取り組みなど、具体的な意見が多く出されていました。よりよい支援の方向性を探る上での手がかりが多く学び取れる内容で大変刺激になるものでした。

 更生訓練所の役割と課題、重度障害者の社会参加といった、テーマごとの各支援施設からの研究発表が両日とも行われました。5つの部会に分かれての発表であったため、私は第一部会「総合リハビリテーションセンターの機能と役割」と第四部会「高次脳機能障害者への支援について」の二つの部会に参加させていただきました。

 発表は両部会とも各都府県のリハビリテーションセンターの職員の方が中心でした。障害者自立支援法が施行されて1年が過ぎた中で、各センターとも利用者が地域生活に移行していく中で何をすべきかをそれぞれ考え、地域との連携の強化、訓練プログラムの改善などの工夫をしていることが改めて感じられました。

 当センターからは職能部、指導課、生活訓練課、相談判定課よりそれぞれ1題ずつ、4題を発表しました。私も高次脳機能障害がある方の利用相談についてまとめて発表をさせていただいたのですが、発表する内容をまとめる上でこれまでの支援の内容を統計的にまとめたり、困難事例を見直したりする機会ができたことで、日常の業務への取り組み方とは違う視点で現在の業務を見つめ直すことができました。そして、他施設の方々の前で業務の現状や取り組みを外部に発表するという機会があることが、業務に問題意識を持って取り組む、支援の質の向上のために工夫するなど意識することが増える契機になったと感じています。

 障害者自立支援法の施行により制度が変化していくなかで、この会がこれまでとは違う取り組みの情報交換が行える場として、とても有意義な場であったと思います。今回の研究集会という機会で得られたものを現場に還元して行き、そこで得られた成果をまた共有していく、という良い循環ができるよう、日常業務に取り組みたいと思います。




身体障害者リハビリテーション研究集会2007プログラム
11月15日〔第1日目〕

受付(9:30〜10:00)
開会式(10:00〜10:30)
特別講演T(10:30〜12:00)
【障害者の地域自立生活と権利擁護・エンパワメント】
東洋大学ライフデザイン学部 教授 北野 誠一
昼食・休憩(12:00〜13:00)
特別講演U(13:00〜14:30)
【個人と社会との個別的な関係づくりとしての就業支援】
独立行政法人 高齢・障害者雇用支援機構 障害者職業総合センター
上席研究員 春名 由一郎
特別講演V(14:45〜15:45)
【身体障害者の障害者認定基準の最適化研究について】
国立身体障害者リハビリテーションセンター 総長 岩谷 力
研究発表(16:00〜17:00)
第一部会【総合リハビリテーションセンターの機能と役割】
第二部会【自立支援法施行後における更生相談所の役割と課題・身体障害者手帳認定の現状と課題】
懇親会(17:30〜19:30)


11月16日〔第2日目〕

受付(9:00〜9:30)
シンポジウム(9:30〜11:30)
【障害者の就労と自立】
コーディネーター 和洋女子大学家政学部生活環境学科 教授 坂本 洋一
シンポジスト あけぼの123(株) 代表取締役社長 齋藤 光司
  (株)アドバンテストグリーン 代表取締役社長 青木 一男
  (株)JTBデータサービス 代表取締役社長 小林 武弘
  足立区福祉部障害福祉課 障害施策推進担当係長 二見清一
昼食・休憩(11:30〜12:30)
研究発表(12:30〜14:45)
第三部会【重度障害者の社会参加を目指して】
第四部会【高次脳機能障害者への支援について】
第五部会【高次脳機能障害への支援と就労移行支援】
閉会式(14:50〜15:00)