〔ワンポイントマッサージシリーズ19〕
〜東洋の経験と知恵を活かして健やかな毎日を〜
更生訓練所理療教育部主任教官 柳澤 春樹


19.「冷え症」

 今回からしばらく女性に多くみられる症状を取り上げてみましょう。「冷え症」もその代表的なものです。女性の約7割が冷え症だといわれるくらい多く耳にするものです。手や足、腰などに異常な冷えを感じるものを冷え症と呼んでいます。しかし触ってみて必ずしも冷たくなっていない場合もあります。それに伴って頭痛、肩こり、腰痛、のぼせめまいなどの症状を訴える方も多いのです。身体の冷え以外の症状がつらくて病院で診てもらったら「自律神経失調症」だと言われたという方も多いようです。

 自律神経失調症とは、検査をしてもどこにも異常が見当たらないのに頭痛やめまい、肩こり、疲労感、腰痛、動悸・息切れ、腹部の不快感、食欲不振、手足の冷え感などの様々な症状を訴えている場合(不定愁訴症候群などともいう)にしばしばつけられる病名です。自律神経系は女性ホルモンの影響を受けやすいと言われており、冷え症が女性に多いのもそのためでもあるのです。

 勿論、男性にも足などが冷えてつらくて仕方がないという方は多くみられます。やはりそのような方には、肩こりや腰痛などを訴えている方が多いようです。中には高血圧や動脈硬化などがあるという方もみられますので、気にかかるようなら専門医にご相談ください。





 1.椅子に座って、両手の中指を臍の両側にあるポイント(図)に当て前かがみになりながら指圧します。1,2,3で息を吐きながら力を加えて指圧していき、4,5,6で息を吸いながら力を抜きもとの姿勢に戻ります。

 (肓兪「こうゆ」)(図1)



(図1)肓兪「こうゆ」





 2.あぐらをかくようにしても、椅子に座って片方の足を反対側の大腿部に乗せるようにしても行なえます。脛の骨の内側にある部(図)を中心にしてくるぶしから膝のほうに向かっての部位を手掌でやや強めに往復するようにマッサージしたり、浴用ブラシを使って気持ちの良い程度の強さで往復運動をしたりします。マッサージの幅は10センチぐらいでいいでしょう。マッサージは上に挙げるときにやや強くするとよいのです。

 (三陰交「さんいんこう」)(図2)



(図2)三陰交「さんいんこう」





 3.両側の腰骨(腸骨)の間にある骨(仙骨)にいろいろな症状に用いられる重要な経穴(ツボ)があります。ここを目安として温湿布などで暖めるのが効果的です。市販の使い捨てカイロのような簡単なものでもよいのです。針灸や指圧などでも、よく使用される部位です。

 (次?「じりょう」)(図3)



(図3)次?「じりょう」


 両手で冷たい足を包むようにしながらゆっくりと揉んでみたり、青竹踏みのようなものも試してみてください。

 「冷えは万病のもと」とも言われます。体の冷えは、生理不順や不妊症、子宮内膜症などの婦人科系の病気をはじめ、リウマチや胃腸障害、さらにはアトピー性皮膚炎など、様々な病気と深いかかわりがあります。

 だから、「ただの冷え」と軽く考えず、適切なケアが大切なのです。もちろん、普段から体を冷やさないように心がけることも重要です。

 冬場のオフィスでは、カーディガンを重ね着したり、スカーフを首に巻く、ひざかけやカイロを用意する、ストッキングの上から靴下をはくなど、冷えが気になるところはとくになんらかの対策をとりいれてください。また、毎日の冷えとりには、半身浴や足湯などもおすすめです。冬場だけでなく、夏の冷房も同じですので注意しましょう。