〔お知らせ〕

メンタルヘルス研修会開催報告

管理部 総務課庶務係長 園田 悦子

 

 

 平成20年度第1回メンタルヘルス研修会は、昨年度に引き続き精神科医長 浦上裕子先生を講師に、本年6月13日に本館4階大会議室で開催されました。昨年度は2回講演が実施されたこともあり参加者は合わせて181名、本年度は1回の講演でしたが当日の参加者は78名と、メンタルヘルスに対する職員の関心の高さがうかがえました。
 研修会は「職場におけるメンタルヘルス〜こころの健康を維持するために〜」というテーマでおおよそ1時間行われました。はじめに、こころの病は疾病であり、どのように起こるか、ストレスとはなにか、ストレスに関連する障害はどのようなものがあるか、ストレスと仕事量の関係などについてお話しがありました。また日頃からストレスに対処できるよう予防していくことが重要で、その中でも睡眠を見直すことが非常に重要であるとのことでした。

 次に、こころの健康に関するケアについて説明がありました。こころの健康のケアの第1歩はセルフケアであり、自らがストレスに気づきストレスマネジメントを行うこと、規則正しい生活を送り、時間の管理と物事の優先順位をつけることが重要とのことでした。セルフケアのほかに「ラインによるケア(管理監督者による職場環境の改善・個別の相談対応)」や「事業内産業保健スタッフ(産業医・衛生管理者・健康管理スタッフ)によるケア」、「事業場外資源によるケア(事業場外の機関や専門家の活用、心の電話相談、電子メールによる相談)」などがあることがわかりました。

 ストレスが重なることで脳が機能不全を起こしさらにストレスが積み重なり「うつ病」を発症すること、「うつ病」にはさまざまな病態があること、「うつ病」と自殺との関係などについて話がありました。自殺者のほとんどはなんらかの精神疾患をかかえているということや、自殺予防の十カ条について、また相談をうけたときの心構えなどについて知ることができました。几帳面で仕事熱心など、「うつ病」になりやすい性格があるようです。また、「うつ病」の前段階の軽うつ状態という状態があり、もし職場内で周囲の人間がこの状態に気がついた場合には、本人に対し、早めに心理的休養をとるような配慮を行い、時間はかかるが必ず治癒すると話すことや、相談を受けた時にはきちんと対応するなどの予防や早期発見が必要であることを再認識しました。「うつ病」のほかにもこころの健康に関する障害として「不安障害」「適応障害」「心的外傷後ストレス障害」などがあり、突然パニック発作におそわれたり、行為障害(無断欠席・破壊行為など)が生じたり、強い不安や自律神経亢進症状に悩まされたりと日常生活にさまざまな影響を及ぼすことが多いようです。

 今回、こころの健康づくりの重要性について具体的な事例をあげて説明をしていただきました。家庭においても職場においても、自分の身近な人が普段と様子が違う、といった様子がみられたときは、早めに声をかけて本人の話を聞き、ストレスを軽減するよう環境を整えたり必要に応じて受診を勧めたりすることが大切だとわかりました。本人・家族だけでは解決が難しい場合には、精神保健福祉センターや市町村の相談窓口、自助グループ・福祉関係機関などの社会資源を活用できることを知っておくことも重要のようです。長期休養されていた方が円滑に職場復帰できるような環境調整やリハビリテーションも必要です。

 最後に、ストレスの多い現代社会をこころの健康を保ちながら生きていくためには、「ワークライフバランス」を良好な状態に保つこと、モチベーションをもち続けること、お互いに相手を尊重し信用し、誠実に対応するといった姿勢でいることが重要なポイントとなるというお話しで終了しました。

(本稿は浦上先生のご承諾を得たうえで、当日の講義内容をご紹介しました。)



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