〔魚拓シリーズ20〕

「サクラダイ」

前更生訓練所理療指導室長 川政 勲

 


 サクラダイはスズキ目ハタ科で、相模湾〜長崎、八丈島に分布する魚です。
 温帯の沿岸岩礁域の浅所〜深所に群れて生息する。遊泳性。
 サクラダイは全てがメスで生まれ、1年で成魚になり1回か2回の産卵の後オスに性転換する。
 ピンクのサクラダイは下田バケの胴付き仕掛けが大好きで、魚礁のアジ釣りにはサクラダイの子とメバルの子が大敵である。
 仕掛けに掛かるときのひき方で、アジかメバルかサクラダイかはすぐに分かる。
 「桜鯛」は真鯛の季節名。音読みでは紛らわしいが、全くの別物。
 乗っ込みの桜鯛は、腹いっぱいに卵を抱いて味もまた脂が乗って美味であるし、引き味も格別で釣り人を大いに喜ばせてくれる。
 しかし、こちらの「サクラダイ」は釣り人にとっては厄介者。釣り針に掛かるとくるくる回って仕掛けに撚りが出てしまい、その後の釣りに困ってしまうので仕掛けを取り替えなければならない。
 観賞用に高値で取引されるそうだ。味はフライにすると意外に美味だとのこと。私はまだ食べたことが無い。カラー魚拓の恰好の教材であり、釣れたら教材に使いたい魚なので勿体無くて食べられない。何匹でも欲しい魚であるので、これだけを狙って船に乗りたいが、他の客には迷惑千万。しかし、お盆明けの平日、客一人という幸運に恵まれ、船頭にお願いしサクラダイのポイントに案内していただき、数十匹も釣れて大満足の釣行であった。数匹ずつ袋に入れて冷凍し、教室のたびに小出しにして作品作りに勤しむ。

                

イサキ釣る竿もリールも師の形見  いさお


(写真)サクラダイ



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