〔魚拓シリーズ24〕
「鮎」
元更生訓練所理療指導室長 川政 勲



 サケ目アユ科の魚で、鮭に近い魚である。北海道から南日本、朝鮮半島や中国の一部にも分布する、体長30cmほどの魚である。
 年魚、香魚とも呼ばれるが、年魚とは一生が1年であること、香魚とは特有 の香り、胡瓜に似た匂いからである。
 温泉の余り水が入るような川では時に二年魚がいることがある。
 鮎の一生は秋の終りの産卵から始まる。一尾の雌を追う雄の一団は、雌の腹部を刺激し産卵を促す。雌は河口に近い小砂利のある所を選び、粘着性の卵を産むと雄は競って射精する。受精した卵はやがて孵化し、流れに乗って海へ出る。春になって川の水温が上昇すると、鮎の稚魚は競って川へ向かう。
  鮎は縄張り意識が強く、自分の居るところに他の鮎が来ると、頭で相手の腹にぶつかり追い払う。この習性を利用して「友釣り」という日本独特の釣法が発展してきた。
 私は鮎釣りをしたことがない。鮎釣りは道具がすこぶる高価である。公務員の小遣いでは到底手が出ない。私は凝り性でのめり込むタイプだから始めてしまうと大変である。従って鮎釣りの醍醐味は知らない。
 作品の鮎は友人に頂いたものである。発泡スチロールをカーブにカットしそこへ上から鮎を埋め込んで魚拓にしたものである。胸鰭や腹鰭はカットして後から打つのである。


鮎焼いて釣り師の妻も板につき  いさお



(写真)鮎