〔野鳥シリーズ68〕
リハセンターに飛来する野鳥を友に
元理療教育部長 見原 捷三



スズメ(雀)
 スズメの記事は、5年前の第249号(平成16年7月号)「野鳥シリーズ38」に掲載しましたので、読者の皆様の中にはご記憶の方も居られるかも知れません。
 にもかかわらず二度目の掲載をしましたのは、前回と違って今回は我が家のマンションのベランダに巣作りをして子育てをしましたので、その様子と写真をご紹介します。
 ところで、数年前に日本野鳥の会から巣箱を購入しベランダに設置していましたが、春になると時折シジュウガラやスズメが飛んできて、巣箱に出入りするものの気に入らないのか或いは人を恐れているのか、巣箱は空き家のままになっていました。
 ところが、私は本年3月中旬から約3ヶ月間再び入院生活を余儀なくされて、この間妻はほぼ毎日入院先の病院に来ておりましたので、留守勝ちになり、ベランダは人の気配が無くなっていました。スズメはこれを千載一遇と思ったのか、巣箱に巣材を運び入れ抱卵したのです。その雛は、約1ヵ月後に巣立っていきました。
 その後私は退院して、現在は安静に努め、趣味のバードウォッチングも自制しているところですが、幸いにも二度目の番が営巣しましたので、自宅に居ながらにしてスズメの子育ての様子を、この目でじっくり観察することが出来ました。
 そろそろ巣立ちの頃と思い、部屋の中からカメラを構え撮影したのがこの写真です。運よく雛が巣箱から顔を出し、雌雄の親鳥が餌を運んで来た時を狙って撮った決定的瞬間の写真になりました。
 このように、生息する環境さえ整えば、あの臆病なスズメでも人間の間近で巣作りし、子育てすることが実証されました。
 興味のある方は、皆様の家の庭やベランダに巣箱を設置してみて下さい。我が家に居ながらにして、自然観察が出来ることと思います。
 さて、昨今のニュースで人間社会の最も身近にいるスズメやミツバチが、めっきり減少していると報道されていました。これらの自然現象は、やはり地球環境の変化が原因であると専門家は指摘しています。
 動植物が生息出来ない自然環境は、所詮人間にとっても住みにくい社会に他なりません。今や地球規模でCO2の削減に社会が一体となって努め後世にこの素晴らしい地球を残すことが、我々一人一人に課せられた使命ではないでしょうか。

(写真)スズメ