〔センター中期目標〕
国立障害者リハビリテーションセンター中期目標
〜時代を切り拓く先進的障害研究センターを目指して〜
の策定について
企画統括官 玉川 淳



 この度、国立障害者リハビリテーションセンター中期目標(以下「中期目標」という。)が策定された。
 その背景であるが、国の行政機関については、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」に基づき、その所掌に係る政策について、自ら評価しその評価結果を当該政策に反映されなければならないこととされている。
 また、国の予算においては、厳しい財政状況の下、不要不急な事業の根絶等が進められている。
 他方、センターの事業運営については、昨年3月、厚生労働省が「国立更生援護機関の今後のあり方に関する検討会」の報告書を取りまとめたが、同報告書では、国立更生援護機関の持つべき機能として総合的リハビリテーション医療の提供など7つが挙げられ、統一的な方針の下に事業運営をすることが提言されている。
 このような状況の下、今後5年間にセンターが取り組むべき事項を目標として明示したのが中期目標であり、今後センターは、この中期目標に基づき毎年の運営方針を策定していくこととしている。
 中期目標の策定に当たっては、昨年10月にセンターに設置された企画経営本部(本部長;江藤更生訓練所長)において、同本部の幹事会を含め7回にわたる会合を開催し、各部門から集まった幹事を通じたボトムアップ方式による議論を積み重ねて、盛り込むべき事項を具体化していった。
 そして、3月の運営委員会の審議を経て内容を確定し、センターのホームページ(http://www.rehab.go.jp/kanribu/japanese/chuukimokuhyou.pdf)において中期目標の全文が掲載されている。
 以下では、その概要を紹介することとしたい。
 中期目標の冒頭には「前文」が置かれ、センターとして果たすべき役割(ミッションポリシー)が総論的に提示されている。
 続いて「中期目標の期間」として平成22年度から26年度までの5年間とすることが規定されているが、期間中であっても必要に応じて随時改定していく予定である。
 その次にある「サービス等業務の質の向上に関する事項」は最も多くの分量を占めており、利用者側にも関心の高い内容となっているものと思われる。その項目立てについては、「総合的リハビリテーション医療の提供」、「リハビリテーション技術・福祉機器の研究開発」、「リハビリテーション専門職員の人材育成」、「障害福祉サービスの提供」、「リハビリテーション健康増進プログラムの提供」、「リハビリテーションに関する情報収集及び提供」、「リハビリテーションに関する企画・立案」、「リハビリテーションに関する国際協力」と、センターの部門ごとではなく、取り組むべき機能ごとにまとめられている。
 これらの取組みには、従来からの実践を発展させるものもあるが、健康増進プログラムのように新たに本格的に取り組み始めるものもある。いずれにおいても、各部門が一体となって利用者主体のサービス提供、時代の科学を動員した障害研究、機能的制限の軽減・能力開発の実践・研究が求められている。
 その後に、「業務運営の効率化に関する事項」、「財務内容の改善に関する事項」、「その他業務の運営に関する事項」が記載されている。独立行政法人においても、主務大臣が中期目標を定め、各法人が目標を達成するための中期計画を定めることにより業務運営の効率化を図っており、その項目立てもほぼ同様であるが、「業務運営の効率化に関する事項」等については、詳細な記載を持つところが通例である独立行政法人と比較すれば、センターは簡潔な記載となっている。
 なお、センターは、本年度より自立支援局の下に視力障害センター、重度障害者センター、秩父学園を位置付けることとなったが、これらの部門において取り組むべき事項については今後対応を図る予定としている。
 昨年、センターは創立30周年を迎えた。人間であれば、論語に「三十而立(三十にして立つ)」とあるように、自立を迎える時期に当たる。関係者が力を合わせて中期目標の進捗状況を検証し、センターの業務運営を年度を超えて考えていくことにより、センターの自立的な運営に一歩づつ近付いていくものと期待している。