〔病院情報〕
フットケア専門外来
病院第一診療部長  飛松 好子


 フットケア専門外来は2008年に開設された。10年間の不在を経て再赴任した私は、岩谷総長のご助言もあり、障害者のニーズに応え、なおかつチームで関われるようなものはないかと思案し、各部署を廻って尋ねたところ、複数の部署からフットケアをやりたい、必要がある、という意見を得た。特に外来看護部は積極的で、医事課、外来看護師、医師、PT、義肢装具士が集まって何回か会議を開き、まもなく、専門外来が開設された。
 一般的なフットケア外来では、糖尿病によるフットケアを必要とする患者さんが多いのだが、当院は障害者センターの病院ということもあり、またスタッフに整形リハビリテーション科、義肢装具士が含まれることもあり、障害の特性に基づいたニーズが多いことが特徴である。たとえば、脊髄損傷者であれば、巻き爪、足趾変形とそれによる褥瘡(じょくそう)、浮腫などの訴えが多い。片麻痺では、装具の不適合とそれに基づく鶏眼、疼痛、指の変形などを持つ人々が訪れる。ポリオの方は足部の変形や進行するポストポリオ症候群による肢体不自由の悪化などが問題となる。自立支援局利用者では、糖尿病による視力障害の方で、足部に潰瘍ができてしまったり、果ては白癬(はくせん)まで、様々な足に関する悩みを抱えている。その他、外反母趾、扁平足、先天性形成不全等様々な足の変形、爪の変形のある人々がやってくる。
 この専門外来の強みは様々なスタッフが関わっていることである。それぞれがそれぞれの専門性を発揮して患者に関わり、また生活の視点から足のケア、治療に関わることである。自立支援局利用者であれば、ケースワーカーを含めて居室の形態を検討し、時には部屋を変えていただき、足のケア(温存)のためにあるべき生活を追求する。
 看護師は足のケアをするとともにその仕方を患者に教え、義肢装具士は装具の製作や、使い方の助言など、専門性を発揮する。それぞれが主役である。
 注意すべきは、専門外のことである。皮膚科が関わっていないので、ウイルス性の易感染性皮膚疾患や、皮膚癌等、見落としのないように細心の注意を払っている。慢性の瘢痕や潰瘍から皮膚癌が発生することはまれならずあり、注意が必要である。血管外科もいないので、循環障害に関しては、血管造影を含めて防衛医大のお世話になっている。
 開設以来2年経って、述べ患者数は1200人近くになっている。私を含めスタッフも多くのことを学んだ。今後とも発展していくよう努力をしている。

(写真)患者さんの装具をチェックする医師、看護師、義肢装具士及び実習の学生
患者さんの装具をチェックする医師、看護師、義肢装具士及び実習の学生