〔特集〜地域の中の国リハセンター(3)〕
②あん摩マッサージによる地域貢献
理療教育・就労支援部 理療教育課 岩本 稔


 本センター就労移行支援(養成施設)では、視覚障害者の自立支援の一貫として、あん摩マッサージ指圧鍼灸の国家資格の取得に向けた取り組みをしています。その中で、施術室にて外部の患者さんや地域の方々の協力のもと、診察や施術技術など臨床能力の向上に向けた実習を行っています。
 1年生、2年生の時は、あん摩マッサージ指圧鍼灸に必要な知識として解剖学、生理学、経穴など基礎的な内容と、実習室で教官指導のもと利用者同士であん摩や鍼をして、お互いに指摘しあいながら基本的な技術の修得に向けた訓練を行っています。上級学年になるといよいよ施術室で、実際の患者さんを相手に、接し方、診察の仕方、施術方法や刺激量の調整の仕方、万が一の場合の対処法などの実地を学びます。4月にはじまって、2月まで続きますが、利用者の方は4月当初は患者さんとの会話がままならないことや、鍼をする手が震えてしまったり、緊張で汗びっしょりになったり、ついつい施術時間をオーバーしてしまったりといろいろあります。また、患者さんから良かったところ、悪かったところを教えてもらったり、教官の指導や利用者同士の反省を通じて、一歩一歩施術者として臨床に必要な技術を身につけていきます。2月頃になると自信もついて、患者さんへの対応、所見や施術内容がしっかり答えられるようになり施術の技術も向上がみられ、施術後の患者さんより症状が軽くなったと喜びの声を多く聞かれるようになります。今年度はこれまでに、あん摩、鍼灸合わせて約2千人近い患者さんに施術を行っています。実習を通じて一臨床家になるべく必要な知識、技術、接遇などを身につけることはもちろんですが、さらに施術を受けた方の体調が少しでも良くなって頂き、地域住民の方々の健康の保持増進に貢献できればと思っています。
 現在の施術室では、3年生と5年生合わせて5クラスと研修コースの方が、それぞれ月曜日〜金曜日の午前と午後に分かれ、あん摩マッサージ指圧鍼灸の実習を行っています。
 尚、施術料は有料で、完全予約制となっています。利用者の方の実習に協力して頂ける方、あん摩マッサージ指圧、鍼灸に興味のある方は、臨床受付04−2995−3112(直通)へお問い合わせください。

 無料で体験できる機会があります。但し、年1回だけです・・・。
 日頃の臨床実習では施術料を頂いていますが、本センターで10月に開催されます並木祭では、催し物の一つとして無料であん摩体験を実施しています。理療を学ぶ利用者のクラブの一つである、あん摩研究会主催による無料あん摩体験コーナーで地域のみなさまとの交流を目的に行っています。このコーナーは、並木祭の目玉イベントの一つで、ここ数年前からのマッサージブームもあり、たいへん好評を頂いています。先着順ということもあり、今年度は第1部で予約券40枚を用意しましたが、受付開始30分前にはもう40人ちかい長蛇の列ができていました。また第2部では、予約受付に開始1時間前から並ぶお客様もおられ、視覚障害者の方も通る廊下では安全上問題になるということを説明しご遠慮いただくほどでした。
 本センターの施術室は、理療教育の授業の一つとして、患者さんや地域の皆さんの協力を得ながら、臨床実習を行っています。そこで学ぶ利用者の臨床能力の向上に努め、一人でも多くの視覚障害者の方の就労に結びつけ、さらに地域社会に貢献できる施術者を育てていけければと思っております。
 また、同時に地域の皆さんへのあん摩マッサージ指圧、鍼灸の普及と健康増進のお役に立てればと思っています。

(写真)施術室入り口   (写真)予診室
施術室入り口   予診室
     
(写真)ベッド    
ベッド