〔平成23年度運営方針(重点事項)①〕
自立支援局(指定障害者支援施設)
 


 自立支援局では、以下の通り平成23年度の運営方針を策定しました。障害者支援施設として質の高いサービスを提供するための取り組みを行ってまいります。


1 障害全体を視野に入れた福祉サービスの提供体制の整備

(1)発達障害への取組み体制の充実

 平成22年度で終了しました「青年期発達障害者の地域生活移行への就労支援に関するモデル事業」の結果をもとに、発達障害支援センターと連携し、今後の一般事業化に向け引き続き事例の蓄積を行いながら、体制整備のための準備を行います。

(2)精神障害者及び知的障害者へのサービス提供体制の整備

① 小規模ユニット型の宿舎に関する情報収集と検討

 昨年度に引き続きユニットケアを行っている施設の見学を行うとともに、これまでに見学を行った施設の情報から、ユニットケアを導入する場合のポイントを検討します。

② 知的障害者へのサービス提供体制に関する情報交換

 昨年度から開始しました職員の見学実習を継続し、現場レベルでの職員の相互理解を深めながら、お互いの業務や技術・技法等に関する勉強会を開催します。

(3) 実情に即した定員の設定と充足率の向上

① 定員の見直し

 塩原、伊東センターの統廃合方針にもとづき、各訓練サービスの定員の設定と受け入れ方針にあわせた宿舎等の整備計画を策定します。

② 募集活動の強化

 市区町村や関係機関へ利用者募集要項やパンフレット等の送付を行うとともに、各県が主催する市区町村担当者会議等に参加したり、関係機関に訪問するなど自立支援局の利用者の募集活動を積極的に展開します。また、自立支援局紹介用のリーフレットを作成してその活用を図ります。

③ 調査活動

 自立支援局各施設が実施している利用者募集のための広報活動の現状を把握し、効果的な広報活動のための検証を行います。また、利用相談業務に資するために市区町村や相談支援事業所を対象として当該機関が行っている障害者に対する相談支援内容を把握します。


2 質の高い福祉サービスの提供

(1)標準的なサービスの体系化

① 訓練プログラム及び訓練マニュアルの作成

 平成22年度に策定した頸髄損傷者、視覚障害者、高次脳機能障害者に対する訓練プログラム及び訓練マニュアル、頸髄損傷者に対する看護プログラム及び看護マニュアルの作成に関する基本方針に基づき、自立支援局各部門と連携しながら、平成24年度完成を目標に、今年度は、各プログラム・マニュアルの作成を開始します。

② 就労移行支援の評価方法及び訓練プログラムの整備と職場体験実習の充実

ア 就労移行支援の評価方法及び訓練プログラムの整備

 就労に必要な社会生活技能や作業能力等についての評価方法の試案を作成します。また、現行の訓練プログラムの改訂を行います。

イ 就労移行支援における職場体験実習の充実

 地域の就労関係機関に加え、商工会議所や市商工課等の協力を求め、新たな実習先の開拓を進めます。

③ 理療教育における実技指導マニュアルの作成

 各教官が行う標準的な実技指導の内容を統一していくため、今年度は、「あマ指基礎実習Tの指導マニュアル」を新たに作成します。

(2)先駆的事業の取り組み

① 「盲ろう者宿泊型生活訓練等モデル事業」の推進と総括

 モデル事業の2年目(最終年)として、運営検討会及び実施委員会、作業部会等における検討結果に基づき、モデル事業を一層充実させるとともに結果を総括し、報告書等にまとめます。

② 「施設外での訪問相談及び短期訓練等のサービス提供に向けた実施計画の具体化」

 平成22年度に策定したアウトリーチによるサービス提供のあり方に基づき、今年度は、自立支援局各部門とも連携し、実施に必要な協働体制や予算確保等も加味した具体案を策定します。


3 事業効率化への取組み

(1)就労移行支援における就業率の向上

① 就労移行支援の取組み

 就労先や実習先の開拓に取り組み、模擬面接や就労支援セミナー等の職業準備訓練、地域就労関係機関と連携した就労マッチング支援を強化します。

② 養成施設の取組み

 施術所や病院等の見学先や実習先を開拓し、見学実習体制をより充実させます。また「ヘルスキーパー導入の手引き」を改訂し就労支援や職場開拓に役立てます。

(2)あはき師国家試験の合格率の向上

模擬試験、補習授業、個別指導等の受験対策を効果的に推進し、合格率の向上を目指します。


4 地域との連携体制の強化

(1)地域の関係団体等社会資源情報の蓄積と公開

 引き続き、利用者支援の過程で関係した社会資源を蓄積し、データ化を図っていきます。また、ホームページで公開しているデータに関しては、必要に応じて見直していきます。

(2)地域関係機関との連携強化

 地域の自立支援協議会等の委嘱を受けるなど、引き続き協力関係を維持し、関係機関等との連携や協議を通じて相互協力を行います。

(3)国立職業リハビリテーションセンターとの連携

 国立職業リハビリテーションセンターとの合同連絡会議を継続して実施するほか、相談者や利用者個々の適切な支援を行うため担当者による情報交換を強化します。

(4)施設機能の地域開放・交流

 センター行事等の開催に当たっては、近隣地域の関係機関との協力関係を活用して広報活動に努めるとともに、地域住民への参加を積極的に働きかけます。また、地域住民を対象とした講習会等の催しを通じて、地域の社会資源として期待される環境づくりを引き続き行います。


5 知的障害児・者に対する取組み(秩父学園)

 秩父学園においては、国立知的障害児施設として、長年にわたり培った知識と技術を活かしながら、入園生一人ひとりのQOLの向上を目指し、質の高いサービスを提供するとともに、発達障害等の政策課題に適切に応えることができるよう、関係機関と連携しながら障害児福祉施策に関する先駆的な事業やモデル構築の実践、検証研究を実施し、これらの成果を全国に情報発信します。

さらに、平成24年4月からの自立支援法等の改正法の施行に向けて、障害児支援の適切な対応モデルを構築し、円滑な地域移行に努力し、本来の障害児施設としての役割を担っていきます。

(1)法施行への対応

① 平成24年4月からの法施行に向けて準備を行い、法施行に対応するモデル的な役割を担っていきます。

② 発達障害における適応障害児を含めた障害児が地域で生活していくための発達支援や、その家族を含めた療育支援の拠点となる、新たな障害児施設を目指し、そのあり方の具体的内容と、それに向けた寮体制の再編のための計画を策定します。また、地域に帰るまでの目標期間を定めた個別支援計画に基づき療育を行うなどの療育のあり方を検討し、新たな療育プログラムを策定します。

(2)QOLの向上と地域移行の推進

① 入園生一人ひとりのQOLの向上に向けて、入園生一人ひとりに個別支援計画(生活寮/グループ活動等園内活動の個別計画)を策定し、サービスの一層の充実を図ります。

② 年齢超過者の地域移行に最大限努力しながら、入園生の状態や生活体験後の状況をアセスメントし、それに基づき、地域移行のための計画を策定します。

③ コスモスの入園生全員を対象として少人数での生活体験を実施するとともに、平成23年4月からウィズ(トレーニングホーム)において1か月から6か月程度の生活体験を行い、地域移行に向けた対応を図ります。

④ 地域移行の実施に当たっては、本人や家族の意思を十分に尊重するとともに、アウトリーチ活動など地域生活を支えるフォローアップシステムを検討していきます。また、関係地方自治体・施設と定期的な連絡会を設けるなどにより、地域移行の受け入れ先を確保するための手順や枠組みを検討していきます。

⑤ 重度化や高齢化等に伴い地域移行が困難な者への対応について研究を行います。

⑥ 地域移行について先駆的な取り組みを行っている施設や機関での実習や、学園内部の講演会の開催などを通じ、地域移行に関する知見を高めるとともに、職員の支援技術の向上を図ります。

(3)新たな事業の展開

① 地域で生活する発達障害児も含めた障害児の療育モデルを構築していくため、通所部門の拡充による新たな療育方法の実践や、母子短期入所を含めた家族支援など、新規事業の実施に向けて、具体的な計画を策定します。

② 知的障害関係施設において質の高いサービスを提供できる職員の養成・研修を実施していくとともに、発達障害に係るアセスメント(PARS等)や支援技法(ペアレントメンター等)など、国の施策との連携のもとに学園の専門性を生かした研修に取り組んでいきます。

③ 研修は、有識者等の会を開催し、障害福祉を取り巻く課題や研修ニーズ等も踏まえながら、平成24年度以降のあり方について検討を行い、新たな研修計画を策定するとともに、研修コースや研修カリキュラムを見直していきます。

④ 児童指導員の養成は、全国的な養成状況や人材の社会的要請等も踏まえながら、そのあり方に関して検討を行います。

⑤ 研究は、知的障害者の地域移行に係るアセスメントや家族支援の手法の研究を行うとともに、有識者等の会を開催し、その意見も踏まえ今後の具体的な研究計画を策定します。

 

6 国立更生援護機関一元化への対応

(1)関係諸規程の整備

 利用者支援に関する関係諸規程の統一的な整備、見直しを継続して行います。

(2)訓練サービスの円滑な移行

 塩原センター(24年度末)、伊東センター(25年度末)の統廃合計画にもとづき、利用者支援に関する事柄に関して、円滑に移行するための検討を開始します。

 

7 サービス内容の透明性と質の向上

(1)第三者評価の受審計画の策定

 自立支援局各施設ごとに施設及びサービスの自己点検等を実施するとともに、評価機関との調整を図りながら、今後の第三者評価の受審計画を策定します。

(2)利用者満足度調査の実施

 訓練等修了者(卒業生)を対象に、サービス内容等に関する満足度調査を実施します。

(3)苦情解決体制の充実

 前年に引き続き、利用者家族に対して苦情解決の仕組みを周知するとともに、職員に対しても制度の趣旨や理解を深めるため学習会を開催します。

(4)事故報告規程の統一化

 昨年度作成した「サービスの提供により事故が発生した場合の取扱規程」に関しては、自立支援局各施設で活用するため統一化を検討します。

(5)感染症マニュアルの整備

 自立支援局各施設において活用している「感染症マニュアル」の整備、点検を行うとともに、統一したマニュアルの作成に向け検討します。

 

8 専門性の高い人材の育成・確保

(1)専門職種別研修の充実

 障害種別に対応したリハビリテーションサービスの展開を視野に入れ、それぞれの障害特性に応じた支援方法を身につけるための研修や実習を継続します。

(2)実地研修の受け入れ及び施設間交流研修の実施

 自立支援局で取り組んでいる障害者に対する支援技術や技法等を他施設へ提供するために、「実地研修のための受け入れ要領」を策定するとともに、関係機関や団体等を通じ、その広報を行い、実地研修を展開します。また、他施設等で実施する事業の展開方法や支援技術を習得するために職員の派遣を行います。

 

(3)福祉職職員の資格保有率の向上

 引き続き、福祉職職員に対し社会福祉士、精神保健福祉士等の国家資格の取得を促すとともに、今年度は、国研修を含むサービス管理責任者講習や実習指導者養成のため社会福祉実習指導者講習会を受講します。

 

9 財務内容の改善

 業務改善による経費削減や業務の効率化に向けた協議を引き続き行い、可能なものから取り組みます。また、積極的な利用者の募集活動を展開し、利用率の向上による財務内容の改善に努めます。

 

10 今後の施設整備計画

本館、病院棟建て替え工事に伴う、自立支援局関連施設の改修計画案を策定します。

 

利用者の皆様に、より良いサービスを提供するために職員一同一丸となって取り組む所存ですので、引き続き、皆様方のご支援をお願いいたします。