〔学院情報〕
学院 卒業生の活躍状況について
 


 卒業生の活躍状況の最終回として、手話通訳学科とリハビリテーション体育学科の卒業生について紹介します。

手話通訳学科主任教官 市田泰弘

今回は当学科の卒業生である小田部家成さんと秋山泉さんにお話を伺いました。

 小田部さんは平成17年に、秋山さんは18年3月に手話通訳学科をそれぞれ卒業しました。おふたりとも卒業後に手話通訳士の資格を取り、現在は所沢市社会福祉協議会の相談支援課内にある「手話通訳・要約筆記派遣事務所」に勤務されています。
写真 派遣事務所にて撮影 左:小田部さん(14期生) 右:秋山さん(15期生)
派遣事務所にて
左:小田部さん(14期生) 右:秋山さん(15期生)
Q1 お二人はどのような仕事をされているのですか。
A1 (小田部 以下(小)と略) 私も秋山さんも、派遣事務所で所沢市から委託された聴覚障害者のためのコミュニケーション支援事業を担当しています。この事業は所沢市が聴覚障害者のコミュニケーションを支援するために手話通訳者や要約筆記者を派遣するもので、聴覚障害者だけではなく、聴覚障害者とコミュニケーションを図る必要がある方も利用することができます。

   具体的な仕事としては、手話通訳者や要約筆記者の派遣とそれに伴う調整業務、手話講習会・要約筆記者養成講習会の運営、窓口対応、電話通訳などです。もちろん、自分たち自身が手話通訳業務を行うこともあります。

Q2 現在の職場に就職した理由を教えてください。
A2 (小) 学院で学んだ専門知識を活かせる職員の募集があったからです。
(秋山 以下(秋)と略す) 私は、卒業後結婚し子どももできたので、育児と仕事が両立できる職場ということで選びました。

Q3 仕事で心がけている点、やりがい、苦労等について教えてください。
A3 (小) 利用者の希望や思いを大切にすることを心がけています。その利用者のニーズに応えることができているという実感が、一番のやりがいです。苦労する点は・・・・・・業務全般、すべてですね(笑)。
(秋) 私は4月に入職したばかりなので、まずは利用者や登録通訳者の方々に覚えていただくこと、そして、信頼してもらえるよう努めています。苦労といいますか、利用者の方々から、社会福祉協議会内の他の支援部署には聴覚障害者への理解が不十分な部署もあるというご意見をいただきつつ、なかなか双方の橋渡しができないでいるのが、もどかしいです。やりがいは、ろう者や通訳者の皆さんが、信頼してくださって派遣事務所を訪れてくれること。悩みを話してくれたり、私たちのことを応援してくれたり、身近な存在と感じてもらえてるんだな、と思えることです。

Q4 学院の手話通訳学科を志望した理由を教えてください。
A4 (小) 学院に入学する前は営業の仕事をしており、その時に、耳の聞こえない方に出会いました。それまでは指文字(指を使って50音をひと文字ずつあらわすもの)を覚えればコミュニケーションできると思っていたのですが、実際は指文字だけではまったく通じませんでした。このとき、私は手話を学びたいと思いました。
(秋) 私は学院入学前に手話を少し学んでいたのですが、ずっと関わって行きたいと思うようになり、そのためにはもっときちんと手話を学びたいと思ったからです。

Q5 後輩たちへのメッセージをお願いします。
A5 (小) 在学中はきつくて大変でしたが、週5日、朝から晩まで手話を学習できる2年間は、本当に貴重で恵まれた環境だったのだと卒業してから実感しています。卒業後後悔しないよう、手話漬けの2年間を有意義に過ごしてください。
(秋) 卒業してしまうと、手話通訳に関するアドバイスをもらえる機会は少なくなります。学院で学べる期間を大切に過ごしてください。入学を考えている方々には、「手話という言語はとても魅力的です」と伝えたいです。

写真 電話通訳の様子
電話通訳の様子
学院 リハビリテーション体育学科教官 梅崎 多美

今回は当学科の卒業生である廣田真紀さんにお話をうかがいました。廣田さんは、平成21年3月にリハビリテーション体育学科を卒業し、現在、障害者スポーツ文化センター横浜ラポールに勤務しています。ラポールは、スポーツ事業課、管理・文化事業課、聴覚障害支援課の3つの課に分かれており、スポーツだけでなく文化活動ができることが特徴のひとつです。

写真 ラポール正面玄関にて廣田さん撮影
ラポール正面玄関にて
Q1 ラポールでの業務について教えてください。
A1 私は、スポーツ事業課で体育指導員として働いています。私が所属している振興担当では、主に施設巡回、スポーツプログラムの運営・指導、競技会・大会運営を行っています。

 私の仕事の一部を紹介します。スポーツプログラムの中で、卓球教室(中級者クラス)を担当しています。中級者クラスでは、卓球協会の先生方に来ていただいて技術指導をお願いしています。

   私たちの役目は、障害の状況や、卓球を行う際の配慮点などを伝え、先生方から卓球の知識・技術のアドバイスをいただくことです。意見交換しながら、相互に指導のレベルアップを図っています。また、競技会や大会運営も担当しており、全国障害者スポーツ大会の横浜市選手団のスタッフとして帯同しています。

Q2 現在の職場に就職を決めた理由は?
A2  学院で勉強していくなかで、たくさんの人と接していきたいと考えていました。当センターの利用者は、特定の障害に限らず、年齢層も様々であること、また、障害の有無に限らず利用ができるところに魅力を感じ、就職しました。

Q3 仕事で心がけている点や苦労する点、やりがいを感じることを教えてください。
A3  様々な障害の方がいますので、その人に合った対応ができるように心がけています。これは、学院時代に同じ障害でも状態は十人十色であるということを学んだからです。同じ障害=同じ指導とはならないので苦労することもありますが、スポーツをしていくうちに表情が変わっていく姿をみると、とてもやりがいを感じます。

Q4 当学院リハビリテーション体育学科を志望した理由は?
A4  大学時代にツインバスケットボールという競技と出会いました。その時、選手から「指導してくれる人がいない」と言われ、自分が体育学部で勉強していることが、障害のある人のスポーツへ活かせないかと思うようになりました。就職も考えましたが、まずはもっと勉強してみたいと感じ、受験しました。

Q5 後輩達にアドバイスをお願いします。
A5  学生時代に身につけてほしいことは一つ!想像力を養ってください。どんな現場でも必ず必要となると思います。常に相手の立場になって、指導することでいろんな見方ができると思います。

Q6 これから入学しようとする方へのメッセージをお願いします。
A6  リハビリテーション体育は、仕事としてはまだまだ狭い世界かもしれません。でも、学院で学ぶことは皆さんの財産となると思います。2年間という短い時間を有意義に使ってください。

写真 卓球教室にて 利用者の方と
卓球教室にて(利用者の方と)

最後に
 今回、3ヶ月にわたって卒業生の活躍の状況を紹介してきました。卒業生の皆さんは、それぞれの職場で生き生きと力を発揮しているようです。当学院で得た知識や経験、そして仲間とのつながりを活かしながら、卒業生の皆さんが今後ますます活躍されることを期待しています。