〔特集②〕
障害者の健康増進・スポーツ関連事業
 
飛松 好子

 健康増進センターの仕事は健康増進とスポーツに分けられる。それぞれにおいて、25年度においてはそれぞれの事業の継続と発展を目指したい。

1 健康増進事業

(1)ガイドラインの作成(試案)
 昨年度に設置、開催した国内の有識者を集めた基礎および実態調査委員会の検討結果、および国リハ自立支援局利用者を対象とした健康づくりモデル事業(施設入所型)の結果をもとに、データを解析し、各分野の専門家の協力を得てガイドライン(試案)を作成する。これは、病院、自立支援局、健康増進センターの部門間連携であると同時にさらに広く、各地のリハビリテーションセンターの協力も得ながら行うこととしている。引き続き委員会を行って有識者の意見をいただき、また結果の分析を行うこととしている。

(2)障害別の生活習慣病および二次障害の実態調査
 ガイドラインの参考資料とするため、各障害特性に基づいた生活習慣病および二次障害の実態を把握する。ひとつは質問紙法によるアンケート調査(中枢性障害等による片麻痺者)を行うこととしている。脳性麻痺、視覚障害の方の調査は24年度に行った。また広く世界にモデルを求め、先進国実態調査を計画している。昨年度は実態調査を行ったドイツからストローケンデル博士を国際セミナーに招聘し、続いてセンター主催のワークショップも行った。

(3)健康増進モデル事業(地域生活型)
 平成24年度、基礎研究検討委員会で検討された医・科学測定項目に基づき、運動・栄養・保健指導介入を実施する。
 その対象は、各地域で日常生活を送る障害者とし、施設に入所・利用している以外の者とする。ガイドライン作成に伴い、生活形態を考慮した内容とするために、平成25年度にもモデル事業を実施する。これは前年度、センター病院外来受診の方に参加していただいて行ったが、本年度は、他施設に拡大し、国内への普及を目指して、今年度は、モデル的に行い、その結果を分析してその効用を明らかにする予定である。

(4)健康増進に関わる専門職の育成と啓蒙
 昨年に引き続き、研修会を行うこととし、学院、学院リハビリテーション体育学科と連携して行う。

2 スポーツ支援事業

(1)障害者スポーツ選手に対するメディカル・サポート整備事業
 スポーツ基本計画に基づき、JISSおよび日本障害者スポーツ協会と協力し実施する。
(2)強化指定選手のメディカルチェック・システム・ガイドライン(試案)の作成
 昨年に引き続き、メディカルチェックシステム・ガイドライン(試案)作成有識者検討委員会を開催し、24年度検討されたシステムをもとに、一次検査および二次検査等に関るガイドラインの検討および実施に際しての連携体制の構築を行う。
 そのためにも昨年と引き続き現状調査(追加実施)を行う。種目特性・障害特性を考慮した内容に高める予定である。
(3)スポーツ選手への健康管理プログラムの試行
 健康増進・スポーツ外来を充実させ、健康増進とともにスポーツ選手、愛好家のためのコンディショニングサポート、障害および種目特性に基づいたトレーニングサポート、スポーツ外傷・障害予防および治療サポートをおこなう予定である。
(4)スポーツ大会等でのメディカルサポート体制調査
 スペシャルオリンピックス、ジャパンパラリンピック(冬季)等において実態を調査する予定である。
(5)障害者スポーツ用具の開発および改良
 昨年行った実態調査から、障害者スポーツにおいては用具等が未開発ものもの多く、センター研究所、学院の義肢装具士と連携し用具の開発および改良を行う。
(6)合宿・練習環境サポート(継続)
 センター体育館、学院宿泊棟、自立支援局食堂棟を利用して合宿施設を提供すると共に健康管理に関する啓蒙活動も行う。さらには合宿施設、体育施設としての不備を調査し、改善につなげていく。