〔特集〕
自立支援局における新たな取り組み (1/2)
自立支援局

○ 発達障害者のための就労移行支援を開始しました

理療教育・就労支援部就労移行支援課発達障害支援室 四ノ宮美惠子

写真1:訓練風景訓練風景
写真2:発達障害支援室のスタッフ発達障害支援室のスタッフ
 平成20年度から実施された「青年期発達障害者の地域生活移行への就労支援に関するモデル事業(以下、モデル事業)」において、当時の更生訓練所(現、自立支援局)では初めて発達障害者の受け入れを行いました。初めての受け入れということもあり、支援のノウハウも全くない状況からスタートし、埼玉県発達障害者支援センターや今は同じ自立支援局に統合された秩父学園等から講師をお招きして研修会を開催したり、カンファレンス等で助言をいただきながら障害福祉サービスを試行的に提供いたしました。あわせてポストモデル事業の支援体制や支援プログラムについて検討を重ね、その結果平成24年10月から就労移行支援事業において正式に発達障害者の受け入れを開始しました。さらに、平成25年4月には就労移行支援課に発達障害支援室が新設され、現在室長以下6名(うち2名は併任)の職員が配置されています。
 ポストモデル事業の検討においては、モデル事業で学んだ自閉症スペクトラム障害のある方々の特性を最大限配慮することから議論を開始しました。まず、相貌認知の苦手さや自己と他者の役割認知の苦手さを踏まえ、利用者からの支援者チームの見える化を図りました。それが現在の発達障害支援室となり、サービス管理責任者、ケースワーカー、就労支援員、職業指導員、作業療法士から構成される職員の一元配置が実現しました。また、利用者の訓練室を就労移行支援課事務室内に配置することにより、見える化とともに日頃接する職員をとおして組織を体験的に理解していただく場として整備しました。
 支援内容については、「働く」ことを目標として、職業訓練はもとより、就労に必要な生活習慣の確立など、衣食住にわたる生活上の支援にも力を入れています。職業訓練では、従来の訓練内容別のコース選択型ではなく、作業系から事務系まで色々な作業体験を重ねる中で、作業の意味について学習するとともに、自分自身の強みや弱みを理解していただきながら、就労マッチング支援につないでいます。
11月に実施した秩父での宿泊体験訓練
写真3:飯盒炊飯に初めて挑戦飯盒炊飯に初めて挑戦
写真4:慣れない山道、足元に気をつけて…慣れない山道、足元に気をつけて…
 また、並木祭などの諸行事への参加も重要な体験訓練の場として捉え、積極的に参加していただいております。模擬店出店などをとおして「おもてなし」のこころを学ぶことで、人に喜ばれることを初めて知り仕事のやりがいを見出して就職活動に活かしている利用者もおられます。
こうして、すべての訓練は体験をベースにし、作業内容も基本的に実際の業務などから切り出したものを用いています。体験後には必ず職員とともに振り返りを行い、社会的文脈に即して体験について意味づけを再構成する支援を行っています。
 最近は、徐々にではありますが、支援の考え方に関心をもっていただき、見学希望や講演依頼もくるようになってまいりました。少しでも、発達障害のある方々の支援に役立てられるように発達障害支援室一丸となって努力してまいりたいと思いますので、皆様のご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。