〔トピックス②〕
リハビリテーション研究国際シンポジウムへの参加報告
研究所 福祉機器開発部 伊藤 和幸

 11月21日に韓国ソウル市で開催された2013リハ ビリテーション研究国際シンポジウム(KKRRI 2013 Annual International Symposium on Rehabilitation Research)へ、赤居病院長、研究所運動機能系障害研究部・緒方部長、研究所福祉機器開発部・伊藤の3人で参加してきました。私自身は1991年と1992年にソウル市で開催されたSIREX'91、'92(Seoul International Rehabilitaion Exhibition '91,'92)に研究所が参加した際に同行して以来の韓国訪問です(私は'92の方へ参加しました)。
写真1:写真01写真01
写真2:写真02写真02
 このシンポジウムは、日中韓のリハビリテーションセンター間の連携事業の活動であり、リハビリテーションの研究と臨床に関する情報交換の機会をもつことを目的として開催されました。開催は3か国の持ち回りで、今年は韓国が担当になりました。会場のオリンピックパークテルは1988年に開催されたソウルオリンピックの会場となったオリンピック公園(写真01)の近くで選手村になったホテルとのことでした。到着日に公園の中を散策すると、各参加国の通貨のレプリカが飾ってありました(写真02:今はほとんど見られなくなった2,000円札もありました)。夕方はそれなりに寒かったのですが、小高い丘から日本より遅い時間の夕焼けを楽しみました。
 21日の国際シンポジウムは主催者や発表者、ゲストの方々との記念撮影に始まり、韓国国立リハビリテーションセンター長のLee SeongJae先生による歓迎挨拶、各セッションの発表へと続きます。シンポジウム会場は約120席程度を用意した大きなホールで、大学からの参加者(先生や多くの生徒)、企業の方々、電動車いすの当事者(頸髄損傷者)が2〜3名参加しており、ほぼ満席の状態でした(写真03,04)。
写真3:写真03写真03
写真4:写真04写真04

 プログラムはセッション1:国際協力、セッション2:福祉機器、リハビリテーション工学、セッション3:臨床リハビリテーション、セッション4:リハビリテーションサービスで、その後、優秀リハビリテーション研究賞の授与式、福祉機器コンテスト賞の授与式がありました。各賞の授与式では賞状を胸にかざして記念撮影する日本と違い、受賞者は授与者と一緒に賞状をみながらの記念撮影となっていました。お国柄によるのでしょうね。賞金1,000,000!ウォンの数字に驚きましたが、ウォンから円へのレート換算(1/10程度)で考えると10万円でした。
 セッション1:国際協力では当センターからは赤居病院長が「障害者スポーツの新たな問題点;生活習慣病への取り組み」を、セッション2:福祉機器、リハビリテーション工学では伊藤が「デジタルペンを利用した透明文字盤コミュニケーションの支援」を、セッション3:臨床リハビリテーションでは緒方部長が「脊髄損傷者の歩行リハビリテーション」として発表を行いました。セッション4:リハビリテーションサービスでの発表も含めて合計15名が発表を行い、いずれの発表でも積極的な質問が出され活発な機論の場になっていました。
 翌日は韓国国立リハセンターの見学に出かけました。センターには病院、研究所が併設されており、隣接した建築中のスポーツトレーニングセンターの中も案内していただきました。完成までにはまだ間があるとのことですがが、広い体育館や運動評価室、屋上に自動車運転教習コースを設置するなど、今後の利用に向け大きな期待が寄せられます。屋上に自動車教習コースがあるとは驚きですが、運転によってはソウル市内に飛び出してしまうのでは?と心配になります(案内していただいたHyun Choiさんは、その心配はないと笑いながらおっしゃっていましたが)。病院にあった自動車運転シミュレータは車いすのまま乗り込めるようになっており、アクセシビリティも配慮されていました。韓国では車いすのまま運転できるとのことで、日本よりは規制が厳しくないようですが、車いすの固定はあまり強固にはしない様で、多少心配ではあります。事故時の衝撃はなく画面上で事故になるだけですが、多少の衝撃があると利用者も事故に対する意識が上がるのではないでしょうか。また、運動機能室にはロコマットが1台と、韓国で製造された同じ機能を持つ機器が2台あり、一部屋に3台の歩行訓練装置が並ぶ光景は壮観です。別室にはコミュニケーションエイドも一通りそろっており、どの装置が適しているか試用することもできるとのことでした。また、スマートフォンやiPadを端末として室内の環境制御を行うシステムや遠隔地とのテレビカンファレンスシステムなど、ディジタル大国の一端を伺うことも出来ました。