〔特集〕
平成26年度運営方針
 

⑦障害者の健康増進・スポーツ関連事業

 当該事業においては、これまでと同様、スポーツ・栄養指導・保健指導による健康維持方法の開発・普及と、パラリンピックの日本代表選手を含むスポーツ選手への支援を実施していく。

障害者スポーツ支援・普及に関する事業
 障害者スポーツについての医学的・科学的知見は健常者スポーツにおけるものと比べると立ち遅れている。こうした知見は現在、競技を行っているアスリートの競技力向上の観点だけでなく、これからスポーツを始める障害者にどのように指導するかという点でも重要となる。26年度は競技に向けた体調管理(コンディショニング)プログラムの開発と、スポーツによる外傷・障害の予防に関する研究を重点的に実施する。
 また、パラリンピックの日本代表選手レベルの競技者においては、その医学データを計測し、選手に情報還元を実施する、練習環境を提供する、といったサポート事業を日本パラリンピック委員会との連携を通じて実施する。すでに複数の競技の日本代表チームが国リハを利用して合宿練習を実施している。体育館での練習の他、自立支援局の食堂の利用、学院宿泊施設の利用は選手当事者達のニーズに合ったものであり、今後も利用競技団体の増加が見込まれる。

健康増進に関する事業
 前年度から実施している、多施設研究としての健康増進モデル事業では視力障害・肢体不自由を中心に身体データと、運動・栄養・保健指導の介入を行っている。26年度はこれまでのデータをもとにプロトコールの作成を行い、参加施設も現在の4施設からの拡充を目指していく。
 こうした介入研究の他に、これまで実施した障害別の生活習慣病の実態調査や、外来・自立支援局利用者のデータをもとに障害者の健康づくりガイドラインの作成を進める。検討にあたってはセンター外の識者を含めた委員会を開催し、エビデンスと実用性を兼ね備えたガイドラインを目指していく。
 その他、自立支援局における健康管理、障害者用人間ドックの実施、健康情報の発信(外来での掲示、健康教室の開催)といった健康増進活動も引き続き拡充を図る。26年度は特にホームページを活用した情報発信の強化を目指す方針である。
 健康増進・スポーツ関連事業は障害者健康増進・スポ―ツ科学支援センターを中心に推進するものの、その実施においては病院・研究所・学院・自立支援局といった他部門の協力によって実施が可能となっている。健康増進もスポーツ支援も内容的に拡充しつつある段階であり、今後もさらなる連携強化が求められる。したがって、こうした連携が円滑に行えるような環境整備もまた26年度の課題となっている。