〔特集〕
リハビリテーション専門職の養成における高齢障害者の対応
学院事務室

 我が国は、人口の高齢化が進む中で、障害のある人の高齢化も顕著となり、障害が加齢により拡大し、重度化するとともに加齢による身体機能の低下から重複障害が増加しています。学院では、先駆的・指導的役割を担える専門職の養成・研修を目指し、常に社会のニーズに対応できる教育を実践しています。以下では具体的に高齢障害者に対する専門職養成、研修の取り組みについていくつか紹介します。

【言語聴覚学科】
  全ての年代の方を対象に、聴覚・言語・コミュニケーション障害や摂食嚥下障害に対する言語聴覚士を養成しています。カリキュラムでは高齢障害者にかかわる上で必要な知識やコミュニケーション技術を学ぶことを目的に老年学、地域・在宅リハビリテーション等の科目を組み込んでいます。デイサービスの実習等をとおしてコミュニケーションの取り方等の技術を学びます。

【視覚障害学科】
  卒業後の現場では高齢視覚障害者への対応頻度が高いことから、老年心理学、老年病医学、高齢視覚障害者の訓練等の科目をカリキュラムに組み込み、高齢視覚障害者への支援も可能な専門職を養成しています。

【リハビリテーション体育学科】
  障害のある方や高齢者は運動の機会が乏しくなりがちであり、心身機能の低下に陥りやすくなります。取り組みやすさ、続けやすさ等を考慮した種目や支援法で運動指導を行うことができる専門職を養成しています。

【研修部門】
  障害者支援施設や病院等で視覚障害者の支援に携わっている方等を対象に実施している「視覚障害生活支援研修会」において、今年度、「地域における高齢視覚障害者に対する支援について〜訪問形態による在宅支援を念頭に置いて」というテーマで2日間の研修を行いました。受講者からは「高齢(視覚障害)者の実態から支援法、関わり方まで参考になるプログラムでした」等、意見をいただいています。
 また、「脳卒中リハビリテーション看護認定看護師教育課程」では、セルフケアの自立に向け、新たな生活や生き方を構築するケアに重点をおいた教育を7ヶ月の期間行います。人は血管とともに年をとります。近年では脳梗塞や、脳出血といった脳卒中を発症すると後遺症を残したまま在宅療養をする方が増えています。後遺症は心身に大きな苦痛であり、家族の負担となり、脳卒中発症の急性期では専門的な病態アセスメントを軸に在宅の生活へスムーズに移行できるよう一連の回復過程への視野をもつことが重要です。重篤化を回避し回復を促し、急性期からの早期リハビリテーションの開始の方法、意識覚醒につながる日常生活行動の細やかなケアやその援助の多様性を学び、より専門生の高い看護実践をするなどリーダー的役割を発揮できる認定看護師を育成しています。
写真:学生がマンドリンを弾き、利用者さんと歌を歌っている様子
デイサービスのお花見会(言語聴覚学科)
学生がマンドリンを弾き、利用者さんと歌を歌っている様子