〔トピックス〕
あそびの広場「なないろ」について
秩父学園 地域療育支援室 齋藤信哉

 秩父学園では、平成26年1月に地域子育て支援拠点型事業としてあそびの広場「なないろ」をオープンしました。
 この事業を開始するに至った背景は、秩父学園では平成24年度より3ヶ年で「発達障害児及び家族の地域生活支援モデル事業」を行っています。このモデル事業は、在宅の発達障害児等を対象とした支援の実践を通したプログラムの開発や、発達障害児支援に関する関係機関との連絡調整の仕組み作りなどを整備して成果を全国へ発信して行く予定です。
 その会議において、保健センターでの1歳6ヶ月児健診・3歳児健診で問題なしと言われた場合であっても、3歳以降になってから保育所、 幼稚園において配慮が必要な子どもの存在が多く気づかれていることや、3歳以下の段階で、早期の発見から適切な専門的支援につなげる相談体制や支援体制の整備が求められるものの、構築できていないことが挙げられました。
 また、1歳6ヶ月児健診で発達が気になると言われた子どもについては、保健センターから担当保健師の定期的な電話での様子伺いによる現状把握を行ったり、親子教室(育児教室)への参加を声かけしたりしているようですが、 地域によって対応はまちまちです。
 その間に、親子で公園で遊んでいると子どもの特異な様子に周りから敬遠されたり、直接注意を受けたりして外で遊ぶことができなくなってしまう親子もおり、そう言った親子が気兼ねなく遊べる場所を求める声もあります。
 これらのことをふまえ、子育てに不安がある親子を支援するための試みとして、子ども向けの遊び場を作り、そこで相談や早期発見ができるような仕組み作りを考え、事業化したものです。
 このあそびの広場「なないろ」とは、1歳6ヶ月児健診等において発達障害の可能性がある(発達が気になる)子どもとご家族が気軽に使えてのびのび遊べる場を提供した上で、遊ぶ場面を通して子どもの状態や親子関係をチェックするとともに、必要に応じてご家族の悩みなどを聴くことにより発達障害を把握し、子育てに関する助言や、子どもとご家族との接し方や遊び方に対して職員が手本を示すなど日常生活における子どもへの関わり方のヒントを提示するとともに、医療機関・教育機関(保育所や幼稚園)などの情報提供を行います。
 あそびの広場「なないろ」は、秩父学園の独自事業として福祉型障害児入所施設の敷地内に設置せざるを得ないことから、利用者にとって敷居が高くなることを懸念していましたが、実際に利用されている方からは、「こういう場所を早く作って欲しかった」「あそびに行ける場所ができた」と好評です。
 初めて来られた時には疲れ切っていて、笑うこともなかったお母さんが、続けて来ることで笑顔になり、少しずつ話をしてくれるようになりました。
 また、ミニカーで楽しく遊んでいる我が子を見て、「家では投げてしまうので片付けていたけど、楽しく遊べているので帰ったら出して遊ばせます」と笑顔で話してくれた方もいらっしゃいました。
 このように、制度の狭間の事業をモデル的に行うことで検証し、必要なものを政策提言して行きたいと考えています。

写真:あそびの広場「なないろ」の様子