〔特集〕
平成28年度運営方針
自立支援局(指定障害者支援施設)
自立支援局長 飯島 節

 自立支援局では、国立障害者リハビリテーションセンター第2期中期目標の達成と障害者支援施設として質の高いサービスを提供するため以下の運営方針を策定しました。

 自立支援局内全施設の一体的事業運営
 利用者にとって分かりやすく利用しやすいサービスの提供を促進します。
(1) 医療から訓練、社会参加までの一貫した障害福祉サービスの提供
病院医療相談室と連携し、患者の意向等を踏まえ障害福祉サービスの利用促進を図ります。
秩父学園では、センター病院との連携による療育の充実を図ります。
障害福祉サービス利用者の就労を促進するため、国立職業リハビリテーションセンターと連携した就労支援サービスの提供を図ります。
(2) 自立支援局内全施設との一体的な運営の充実
自立支援局内全施設の運営状況を整理・分析し、施設間の情報共有の充実を目指します。
(3) 実情に即した利用定員の見直し
これまでの募集活動の実績から、利用者の動向を整理し、利用定員の見直しの検討を開始します。

 質の高い障害福祉サービスの提供
(1) サービス提供データの集積・分析と情報発信
高齢視覚障害者の訪問訓練データを更に集積し、支援の必要性等を情報発信します。
高次脳機能障害者の自動車運転評価と神経心理学的検査データの集積を継続し、その関連性の分析結果を情報発信します。
高次脳機能障害者の生活訓練終了後の生活状況について把握し、訓練効果や支援ニーズ等を分析・検討します。
頸髄損傷者に関する支援データの蓄積を継続するとともに、介護量や介護内容の変化等について分析を行います。
就労移行支援(養成施設)における利用者への支援サービスのデータ蓄積を継続します。
福祉型障害児入所施設として、入所部門と通所部門における支援サービスの向上を目標に、実践記録のデータ化を進めます。
これまでの実践の蓄積と「就労移行支援事業所による就労アセスメント実施マニュアル」(厚労省)等を参考に、就労アセスメントシートの見直しを行います。
(2) 標準的なサービスの体系化と効率化
視覚障害者に対する機能訓練データの集積を継続し、標準的なサービス体系の改善を図ります。
就労移行支援(養成施設)において、実技力を向上するための補習等を実施します。
発達障害者の就労支援に資する「支援プログラム実践ポイント集」を作成するため、事例の集積を継続して行い、29年の作成を目指します。
行動障害が著しい自閉症児、虐待を受けた発達障害児等の受け入れを進め、学校、児童相談所と協働した支援の実践を行います。
在宅での就労訓練を基本とする就労移行支援のあり方について検討します。
(3) リスク管理の強化
利用者サービスの透明性と質の確保を目的に、福祉サービス第三者評価を受審し、受審結果を公表します。
就労移行支援(養成施設)における教育活動等の改善を図るために、学校評価(自己評価)を行います。
ヒヤリハットやインシデント報告等の活用により、事故の未然防止に努めます。
(4) 職員の資質向上に向けた取組
福祉職職員に対し社会福祉士や精神保健福祉士、サービス管理責任者等の資格取得を促します。
自立支援局全施設において、施設内の研修を充実させるとともに、施設外の研修会への参加を促します。また、学会や研究会での発表や大学院進学を奨励する等職員の質向上に努めます。
(5) 各部門との連携によるサービスの質の向上
知識・技術の公表に努めるため、病院が担当する研修会等の開催に積極的に協力します。
知識・技術の公表に努めるため、学院と連携して研修会の開催に協力します。
研究所と連携し支援機器等の共同研究を促進し、最新機器の臨床での効果の検証を行います。
(6) 利用者の健康保持・増進
給食会議等の活動を通じて、利用者への安全安心な食事の提供と利用者個々の健康状態に配慮した食事の提供を行います。
障害者健康増進・運動医科学支援センターと連携し、利用者個々の健康に関する意識を高める取り組みを行います。

 重度障害者に対するサービス提供の充実
(1) 伊東重度障害者センターとの統合に向けて、利用者の生活・訓練環境を整備するとともに支援体制充実に向けた調整を継続します。
(2) 頸髄損傷者に対するサービスの提供について、利用者のニーズや年齢等を踏まえた支援プログラムを検討します。

 事業成果向上への取組み
(1) 利用者の就労、地域移行の推進
就労移行支援については、職場開拓や職場実習等で訪問した企業等に対して、事業の見学説明会を開催し、障害者の就労状況に関する情報交換を行い就業率及び職場定着率の維持・向上を図ります。
就労移行支援(養成施設)において、就労に対する意識づけや動機づけを高めるための取組みを計画的に実施し、就業率の維持・向上を図ります。
(2) あはき師国家試験の合格率の維持・向上
模擬試験結果等の分析を利用者ごとに行い、学習到達度に応じた補習授業を実施し、あはき師国家試験の合格率の維持・向上を図ります。
(3) 独自事業の一般事業化に向けての検討
自動車訓練の独自事業について、伊東センター統合後の利用状況・訓練体制等を確認しつつ、引き続き一般事業化へ向けての課題の整理・検討を行います。
(4) 知的障害児・者の地域生活への移行の推進
高等部に在学する児童及び保護者に向けた地域生活への移行の取組を積極的に行います。
年齢超過者の地域生活への移行に向けて、家族の施設見学や体験ショートステイなどの取組を積極的に実施します。
発達障害児とその家族に対する年齢層に応じた療育の実践
地域で生活する発達障害児とその家族に対して、幼児期から学童期、少年期と年齢層に応じた支援を行うとともに、療育の実践を通じて、療育技術の向上と切れ目ない支援を蓄積し、全国へ発信します。
年齢に応じた発達支援のための生活形態の小規模化(ユニット化)の推進
全ての寮に家庭的な環境と特別な空間を備えた小規模ユニットの導入を目指し、支援の難しい児童に対する情緒の安定化及び年齢や特性などに応じた発達支援を行い、支援内容を評価・分析します。

 地域貢献への取組み
(1) 施設機能の地域提供・開放
地域の障害児・者をはじめその家族や地域住民、関係機関を対象とした講習会等の開催や事業の公開などにより施設機能の提供・開放を行い、自治体や関係機関との協力関係を活用し、広報を行います。
(2) 地域の関係機関との連携
自立支援協議会や指定特定相談事業者が開催するサービス等担当者会議への積極的参加を通じて、地域関係機関との連携を図ります。
(3) 専門職員の実習・研修の実施
障害者等の訓練・支援に従事する専門職員等の実習・研修を積極的に受け入れます。
社会福祉士実習及び作業療法士等の実習生を積極的に受け入れます。

 利用率の向上
平成27年度に候補として定めた指標(利用相談データ、利用者基本情報データ等)を、今後、第2期中期目標の期間中用い、利用率の向上につとめます。